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浜辺の粘菌 Slime on the beach  作者: 外山淑
第二部 邂逅
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New Comrades

「ととぅくんにが…」とつくにが、外つ国のか。異国のということだな。

「ことのば…」ことのは、言の葉か。

「いとあやち」いとあやし、いと怪しか。変だということか。「あやし」はいろんな意味があるから難しいな。

 昨夜と同じく、話をしているのは千鳥の方だ。

「かのびと…」おや、鷺姫の声だ。かのひと、かの人か。自分の事かな?

「つぐれてたのもち…」すぐれてたのもし、優れて頼もしか。

「わがかくろべごと…」わがかくろへごと、我が隠ろへ事。私の秘密ということかな?

「うてぃあけるべち」うちあけるべし、打ち明けるべし。打ち明けようかな?

 まあ、逃げる相談をしてるようではないから、盗み聞きはここまでにするか。物音立てないように注意して、外に出る。


 身分の高いお姫様がお付きの侍女と共にどこからか逃れてきた。このことは、既に分かっていたことだ。鷺姫はその事情を打ち明けたいようだが、どうするか?

 鷺姫達の言葉が分かることを伝えるべきかどうか。鷺姫達を匿うことに問題はない。

 いや、問題がないわけではない。だが、鷺姫達を探す追手がここに来たならば、自分達には戦うしか選択肢がない。鷺姫達を差し出して、「はい、お終い」という訳にはいかない。

 自分達も追手にとっては美味しい獲物なのだ。いや、鷺姫より大きく美味しい獲物になってしまうだろう。

 ここに追手が来たら、そいつらは殲滅しなければならない。そうしなければ、破滅するのは自分達だ。

 鷺姫達は、自分達が匿う対象ではなく、共に戦う仲間になって貰わなければならない。望むと望まざるとに拘らず、自分達と鷺姫達は一蓮托生だ。


 何事もなく夜が明けた。昨日と同じく、朝のルーティンを済ませ、家の前で朝飯の支度をする。

 朝飯を済ませた後、鷺姫を手招きし、弩を手渡す。フレイヤのものだったやつだ。鷺姫は驚いた表情を浮かべる。

 ヘルガに声を掛ける。

 "Helga! Show her your crossbow skill!" 鷺姫にお前の弩の腕前を見せてやれ!と。

 ヘルガは嬉しそうに鷺姫の手を取り、弩の練習場所に連れて行く。

 ヘルガは足で弓の部分を踏みつけ、弦を張り、矢を番える。的に狙いを定め、引き金を引く。矢は的に命中した。

 ヘルガはかなり弩の扱いが上達した。20メートル位の距離であれば、ほとんど狙いを外さない。

 鷺姫は弩の使い方を初めて見たようだ。戸惑っている鷺姫に、ヘルガが自分の弩を使ながら、その扱い方を、文字通り、手取り足取り教えている。

 鷺姫が弩を構えている。弓を放った。的には全然届かない。ヘルガは鷺姫に次の矢を番えるよう促す。言葉が分からなくても十分にコミュニケーションは取れている。


 インガとヒルダが、それぞれ、天蚕糸布を持って駆け寄ってきた。褌用の天蚕糸布が織り上がったようだ。

 自分は天蚕糸布の片方の端に竹製の針で、天蚕糸の紐を縫い付ける。これだけで褌の完成だ。自分の回りにはみんなが集まり、興味津々で自分が褌を作っている様子を覗き込む。

 千鳥までが、何事が始まったのかと痛いはずの足を引きずりながらやって来た。出来上がった褌をみんなで撫で回す。鷺姫も千鳥もだ。二人は天蚕糸布の滑らかさに驚いている。

 出来上がった褌を、それぞれ、インガとヒルダに渡す。二人は、その場で、身に着けていた麻の腰布を外し、褌を着け始める。

 鷺姫と千鳥は口を開けるほど吃驚している。陰茎を持つ自分の目の前で、女が陰部を剥き出しにしたことに驚いているに違いない。

 自分達は、ハマグリを採りに海に入る時、温泉で湯に浸かる時、舟に乗り降りする時など、しょっちゅう、裸になるので、陰部を目にすることに抵抗がなくなっている。

 インガとヒルダは、問題なく、1人で褌を身に着けた。自分が褌を身に着ける様子を何度も目にしているので、褌の着け方はよく分かっているのだ。

 まだ褌を持っていない他の子たちが羨ましそうに、嬉しそうなインガとヒルダの様子を見つめている。


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