Demonstration!!
次の日の昼、みんなを連れて浜辺に向かう。最近は、昼飯としてハマグリを採って食べることが多くなった。
そして、ついでに硝石の確認をしてみようと思う。硝石は自分の頭の中の知識としてしか知らない。
採取してきた石が本当に硝石かどうかは、実験してみないと分からないのだ。
この石が本当に硝石ならば、可燃物と接触させて着火すれば爆発的な燃焼を引き起こすはずだ。
壺に入れて持ってきた硝石の中から、一番小さいものを選び、小さな蓋付きの壺に入れて、浜辺に持ってきた。
まずは腹ごしらえからだ。いつものように、みんな服を脱ぎ、海に入り、それぞれが食べる分のハマグリを採る。
流木を集め、火を起こし、それぞれ、ハマグリを焼く。みんな食いざかりだ。1人5、6個程食べている。
腹がいっぱいになったところで、デモンストレーションを兼ねた硝石の確認の作業に入る。
流木の焚き火の中から、小さい燃えさしを選び、みんなからかなり離れた砂浜に置く。
燃えさしの火を大きくするために息を吹きかけ、砂に接触して火が消えてしまわないように、小枝で支える。
燃えさしの火の点いていない端に、硝石を載せ、走ってみんなの所に戻った。
みんな、何が起こるのだろうと、興味津々の様子だ。立っている子達は、そのままでは危険なので、砂の上に腹這いにさせた。
みんな、なぜ、腹這いにならなければいけないのか分からず、不満そうな表情を見せる。だが、そのまま、じっと、離れた燃えさしを見つめる。
しかし、暫く待っても、何の変化も無い。だんだん、みんなのささやき声が大きくなってきた。エンマが、質問したくてたまらない表情を隠さず、自分を見た。
自分は、燃えさしの火が消えてしまったのかと思い、立ち上がろうとした。その時、パーンと音がして、大量の砂が辺りに飛び散った。
砂は腹這いになっていた自分達にも降ってきた。
みんな、吃驚して、口を大きく開けている。
自分は、立ち上がり、燃えさしのあった場所に向かう。みんなも自分の後をついてくる。
燃えさしを置いた場所には、直径30センチ位の穴が開いていた。
回りには、砂ではない、白くて小さい粒が散乱している。硝石の残骸だ。そうすると、さっきの爆発は置いた硝石全部が反応したわけではないのか。
燃えさしは、火薬の原料となる木炭の粉より、かなり燃焼しにくい。木炭の粉を使い、硝石を細かく粉砕して、全てが反応するようにした場合は、爆発の威力は2倍か3倍位に高まるだろう。
みんな、穴の回りに集まって、穴の中を覗き込む。エンマが、硝石の粒を摘み上げて、興味深そうに観察している。
自分も小さい硝石の粒を何個か拾い、みんなについて来るように言った。ハマグリを焼いていた焚き火に近づき、焚き火の中に1粒放り込んだ。一瞬、炎が大きく立ち上がる。
硝石の小さい粒をみんなに示す。
"This is saltpeter. It makes fire far greater."
これは硝石だ。これは火をものすごく大きくする。と説明しながら、みんなの見ている前で、もう一度、硝石の粒を焚き火に放り込む。再び、大きな炎が立ち上がる。
エンマも、自分が持っていた硝石の粒を焚き火に放り込む。また、炎が大きくなる。
"Watch out! It catches fire easily!"
気をつけろ!それは火が点きやすいんだ!とエンマに向かって叫ぶ。エンマが、少し怯えた表情をした。
"When you treat saltpeter, you should not wear any clothes. Even rubbing it with cloth starts a fire!"
硝石を扱う時は、服を着ては駄目だ。布で擦るだけでも火が点くんだ!こう説明すると、みんな、吃驚して、ヘルガは手に持っていた硝石の粒を遠くに放った。
火薬づくりの小屋を作らないといけないな。どこに作れば良いだろうか。
エンマが期待を込めた目付きで自分を見ている。




