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浜辺の粘菌 Slime on the beach  作者: 外山淑
第二部 邂逅
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Out of Cage!

 夕方近く、家に着いた。グエンを寝床に寝かせ、ヘルガに看病を任せる。

 残りの子達全員を連れて、檻のある場所に向かう。

 檻は、一旦川に浸けて糞尿を洗い落とした後、川の側の叢に放置したままだった。

 檻の扉を開け、中を確認する。問題はない。錠前の状態も確認する。3ヶ月以上風雨に曝されていたのでかなり錆びついている。しかし、鍵は上手く入った。鍵はちゃんと機能している。

 フレイヤを縛っていた紐を解き、着ているものを剥ぎ取る。寝具としていつもフレイヤが使っている毛皮を持たせ、檻に入れる。

 扉を閉ざし、鍵を掛ける。フレイヤが何か喚き始めた。喚いているフレイヤをそのまま放置して、みんなと家に帰る。見張りは置かない。


 錠前は機能しているが、あの状態では、扉を強い力で押したり叩いたりを繰り返せば、早ければ数時間ぐらいで、錠前は壊れるだろう。

 この檻は、常に見張りが監視している状態で使うものだ。側に見張りがいなければ、屈強な男だったら1時間もかからずに出てこれる。

 フレイヤの力でも、扉を継続的に足で蹴っていれば、数時間で壊れる。

 フレイアがそれに気づいたらどうするか。それが重要だ。


 フレイヤが、錠前を容易に壊すことが出来ることに気が付かないほど馬鹿だったら、最悪だ。フレイヤが刑期を勤め上げて戻ってくることになる。

 自分達は、馬鹿な上に、傲慢なお荷物を、いや、お荷物どころではないな、トラブルメイカーを飼い殺しの状態で養っていかなければならない。


 フレイヤが、錠前を壊して出てきた場合、自分達を襲うか、他の場所に逃げ出すかのどちらかしか無い。


 自分達を襲う場合、フレイヤは、直接、自分達の誰かを殺そうとするだろう。まあ、自分あたりが第一の目標になるだろうが。その場合、自分は心置きなくフレイヤを殺すことが出来る。

 残った子達の分断は避けられて、後腐れはない。まあ、ヒルダは悲しむだろうが。どのみち、ヒルダが悲しまなくて済む選択肢はほとんどない。


 フレイヤが、何らかの形で自分達に損害を与えることも考えられる。例えば、舟を盗むか壊す、農作物を荒らす、馬を盗む、などが考えられる。

 これもフレイヤを殺す理由として十分だ。フレイヤが自分達の生存を脅かしていることが明らかだからだ。自分達を殺そうとしていることと同じだ。


 フレイヤが、他の土地に逃げることもあり得る。ただ、その結果は、フレイヤにとってより苛酷なものになるだろう。山や川を越えて、どこか他の土地に出て、人に出逢えば、即、奴隷落ちだ。

 そのことはフレイヤも分かっているはずだ。だから、フレイヤは人目を避けて生きていかなければならない。3年前の自分と同様に、裸で見知らぬ土地で行きていかなければならない。

 フレイヤにそれが出来るか。自己肯定感はやたら高いが、一人では何もできない甘ったれが、一人だけで生きていけるか?

 ただ、フレイヤに救いのチャンスがあるのは、フレイヤが一人で生きてみて、一人ではこの世界で生きていけないことに気づくことだ。それに気づけば、完全に改心することができる。ものすごく小さい可能性だがな。


 十中八九、自分はフレイヤを殺すことになる。問題は何時かだ。

 アーデルに馬は家の側に繋ぐよう指示し、他の子達に鍋などの重要な道具類は全て家にしまい込むように言った。

 小さい竹を何個か紐で結び、鳴子を作る。それを、フレイヤが忍び込む際に通りそうな道筋に仕掛ける。

 自分とインガ、そして、エンマで交代で、夜の間の見張りを務める。


 次の朝まで何事もなかった。

 ヒルダと一緒に朝飯の碗を持って、檻に向かう。フレイヤが中にいた。

 ヒルダがフレイヤに碗を差し出すと、フレイヤは黙々と食べる。

 フレイヤが食べている間、錠前を確認する。昨日より少し緩んでいる。


 今日は乾燥させた煉瓦を焼く日だ。前回より3人も人手が少ない。みんな忙しく作業をこなす。


 夕食時、再びヒルダと檻に向かう。フレイヤは朝と同じ所にいた。

 フレイヤの食事の間、錠前を見る。更に緩んでいて、直に外れそうだ。今夜か。


 インガが見張りの時、鳴子が鳴った。

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