表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
浜辺の粘菌 Slime on the beach  作者: 外山淑
第二部 邂逅
141/150

The Beach Group

 浜の話を聞いて、浜辺にある舟のことが気がかりになった。舟をこのまま浜に置いておけば、鹿嶋の偵察隊がこの浜を訪れた場合、ここで南に派遣した部隊が消息を絶ったことが分かってしまう。

 早い内に、川岸の船着き場に移動させて隠したほうが良い。

 しかし、漕ぎ手の問題がある。負傷者の3人、ヒルダ、エンマ、千鳥は、暫く舟を漕ぐことは出来ないだろう。

 いや、ヒルダとエンマは、脚の怪我だから、舟への乗り降りを手助けすれば、舟を漕ぐことは可能だろう。二人の傷が癒えて、体力が回復するまでに10日は見ておいたほうが良い。

 千鳥の方は左腕の怪我だから、当分は無理だろう。

 あと10日後辺りから舟の移動を行うとすれば、漕ぎ手は確保できるな。

 ただ、その間に花組と浜組の面々の人となりを確かめておかないといけない。彼女達が自分達にどのような感情を抱いているか分からない状態では、何事も上手く進めることは出来ない。

 浜の次に、浜組の二人から話を聞くことにした。浜を一旦開放すると、浜はみんなから離れた舟の陰に座り込んだ。花組と浜組の女達は浜の方に冷ややかな視線を送る。

 浜組の風と凪を呼ぶ。二人は、少し怯えた表情を浮かべながら、自分と鷺姫の所にやって来る。改めてこの二人をじっくり観察すると、この二人が、新しい女達の中で一番年嵩に見える。

 二人に、まず、襲われた集落の状況について聞いてみる。

 二人が暮らしていたのは漁業を中心にした数件の家からなる小さな集落のようだ。その集落近くにより大きな集落があるが、そちらの集落は、鹿嶋のような海賊に備えていたので狙われず、守りが手薄な風達の集落が襲われたようだ。

 風と凪は鹿嶋の賊が襲ってきた時、磯にいたが、賊を見て慌てて岩場に隠れた。賊は、奪うものが少なかったことと、集落の者達が抵抗して、手こずったことへの腹いせに、集落の全ての家に火を点けた。

 岩場に隠れていた風達を見つけ出して捕まえた後、それを見て追ってきた集落者達の舟に火矢を放ち、沈めたというのだ。

 風達に家に帰りたいかと尋ねると、首を横に振る。

 鹿嶋に家を焼き払われ、魚を採るための舟も無い。風達の家族は、たとえ生き残っていたとしても、生計を維持するための手段を全て奪われてしまった。家族がこれから生きるためには、近くの集落の奴隷となる道しか残されていない。

 そんな所に戻ってもしょうがない。奴隷になるのならどこでも同じだからと諦めの混じった様子で話す。

 二人にここで暮らすことはどうかと尋ねる。もちろん、きつい労働をしなければならないが、奴隷として扱うことはないと告げる。ただ、これから鹿嶋が襲ってくるだろうから、そいつらと戦わなければならないと付け加える。

 風と凪は、大きく頷き、ここで暮らすとハッキリと口にする。自分達が持っている弓や弩を指して、使い方を教えてくれれば、一緒に戦いたいとも述べる。風達を襲った鹿嶋の手の者ならばなおさらだと、凪が言い放つ。

 二人に舟を漕ぐことは出来るか尋ねた。勿論出来るという答えが即座に返ってきた。泳ぎはどうかと尋ねると、貝を採るために潜っていたので、泳ぐことも問題ないとのことだ。

 これで舟の漕ぎ手を二人新たに確保することが出来た。舟を漕いだ経験があって、泳ぎも出来るなら、新たに訓練を施す必要がない。

 弓を使いこなすにはかなり時間が必要だが、弩であれば20日もあれば問題なく使いこなすことが出来るだろう。

 インガとヒルダに与えた弩は、千鳥と鷺姫に与えたが、千鳥は当分使うことは出来ない。そして、フレイヤに与えた弩も残っている。千鳥とフレイヤの弩をこの二人に与えることにしよう。

 次は、花組との面談か。5人組というのは、ここではかなり大きな集団だ。変に固まって行動されると厄介なことになりかねない。どうなるだろうか?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ