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浜辺の粘菌 Slime on the beach  作者: 外山淑
第二部 邂逅
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Another Casualty

 敵は盾となる幅広い板を体の前に掲げている。いわゆる盾の壁ってやつか。毒矢を警戒しているのだろうな。

 流石に、泥田には入り込まない。身を屈め、横2列でゆっくりと進んでくる。頭の上と横にも板を掲げている。矢で倒すことは難しいな。

 竹ロケットで攻撃するしか無いか。確実に仕留めるためには、もっと前に進んでもらって、泥田の半ば辺りに来るまで待ったほうが良いだろう。

 自分は竹ロケットの狙いを盾の壁の先頭に定めて、発射のタイミングを計る。エンマは、次の竹ロケットを抱えて、手渡しできるように自分の傍らに立つ。グエンは火の点いた小枝を持って、側に控えている。

 盾の壁の先頭が泥田の半ば当たりに来た。自分がグエンに頷くと、グエンは火を竹ロケットの噴射口に近づける。シューという音と共に、竹ロケットが自分の手から飛び出す。

 竹ロケットは、盾の壁の真正面にぶち当たり、五六人を薙ぎ倒した。しかし、爆発はしなかった。

 自分は、エンマから次の竹ロケットを受け取り、倒れなかった奴らに狙いを定める。再び、グエンに頷くと、竹ロケットが唸りを上げて敵に向かっていった。

 敵は、最初の竹ロケットを受けたショックで、少しの間呆然としていた。何が起こったか分からなかったのだろう。しかし、直ぐに気を取り直し、何か叫びながら、再び盾の壁を作ろうとしていた。

 まだ、盾を掲げていない敵に再び竹ロケットが突入していった。再び、前の方にいた敵が倒れた。六人くらいだろうか。竹ロケットは今度も爆発しなかった。

 3発目の竹ロケットをエンマから受け取り、グエンに合図しようとした瞬間、突然、自分の眼の前に千鳥が現れた。次の瞬間、千鳥の腕に矢が刺さった。叫び声を上げながら千鳥が倒れ込む。

 敵を見ると列の後方に弓を持った奴が次の矢を射ようとしている。自分はとっさに、そいつに竹ロケットを向けグエンに合図する。竹ロケットは、そいつを目掛けて飛び立っていった。

 竹ロケットは、そいつの腹に吸い込まれたと見えた瞬間、爆発した。ようやく起爆装置が上手く働いたのだ。弓を射た奴は、その原型を留めていない。

 そいつの回りの五六人程が倒れていて、泥田にも数人飛ばされている。倒れた敵の塊の中から3人這い出しきて、川の方に逃げようとして、駆け出した。

 逃げる最後尾の男に、インガの矢が刺さる。他の2人はそれを見て、一目散に走り出した。

 自分は、目の前に倒れた千鳥の様子を確認する。千鳥の左前腕部に矢が刺さっている。見覚えのある矢だ。自分がさっき敵から逃げるときに敵に向けて放った矢だ。

 毒矢だ。不味い。急いで、麻紐で千鳥の左肘の所をきつく縛る。すぐに血流を止めなければ毒が全身に回ってしまう。

 取り敢えず、応急措置はした。だが、敵を殲滅しないことにはちゃんとした手当ができない。インガ達と共に、弓や弩をいつでも撃てる状態で、敵の止めを刺しにいく。

 一人一人、慎重に止めを刺して、その人数を数える。全部で16人だ。残った戦闘可能な奴は8人か。

 不味い。8人に逃げられて、鹿嶋に報告されたら、大変だ。

 アーデルを呼び、ブラウンを連れてくるよう指示した。自分はブラウンに跨ると、エンマには竹ロケットを4個持って、自分の後ろに乗るよう言った。

 エンマを後ろに乗せ、浜辺に向かう。回りを警戒しながらも、馬を走らせる。ただ、後ろに竹ロケットを抱えたエンマがいるためそれほど早くは走らせない。

 もうすぐ日が暮れようとしている。薄暗くなりかけた道を浜辺の近くまで、何の攻撃も受けずに進むと、浜辺から大声が聞こえる。

 馬を止め、エンマを下ろし、自分も馬から下りる。ブラウンを、近くの木に繋ぎ、浜辺の様子を伺う。

 男達が掛け声を挙げながら、舟を海に押し出していた。不味い。このまま舟で逃げられたら大変なことになる。今回は、敵の不意を突くことで、犠牲を出しながらも、何とか撃退できた。しかし、警戒心を持ってここを大人数で責められたら一溜りもない。

 エンマに火の準備を指示し、自分は弓を構える。


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