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浜辺の粘菌 Slime on the beach  作者: 外山淑
第二部 邂逅
129/134

Another Attack

 129 Another Attack


 ヒルダが矢を射た見張りが弓を構えていた。ただ、そいつは二の矢を射る様子はない。いや、もう矢を射れる状態ではなさそうだ。毒が回ってきたのか。ならば、こいつに無駄に矢を射てもしょうがない。

 エンマに、ヒルダを連れて帰るように命じた。エンマの矢筒はここに残すよう付け加えた。幸い、敵の本隊はまだ矢が何処から飛んできたか分かっていないようだ。

 ヒルダの矢筒から毒矢を補充し、矢継ぎ早に敵の本隊に撃ち込む。本隊の奴らに見張りのところまで来られると、あの見張りに自分達の位置を告げられてしまう。

 敵の本隊は、このまま固まっていては、矢の恰好の的になることに気づいて、散開し始めた。前に出ようとしている奴を狙って、矢を射掛ける。

 毒矢が残り少なくなってきた。ヒルダとエンマを送り出してから暫くたったので、自分も引き時だ。多分、見張り以外に5人程に毒矢が刺さったと思う。毒矢が刺さってさえいれば、そいつは戦闘員としてまともに働くことはできないはずだ。

 問題はリーダーを倒したかどうかだ。あのリーダーがピンピンしていると不味い。

 叢や薮の影に隠れながら、後退していく。敵の何人かが前に出てきて様子を伺う。矢が残り少ないので、確実に当てられる奴以外は、無視する。

 何とか扇状地の下に着いた。後は一気に山の入り口まで駆け上がる。途中、何本か矢が後ろから飛んできた。幸いなことに、泥田を抜けるまで、一本も当たらなかった。

 泥田を抜けると、後はジグザグに走る。矢が飛んでこなくなった。前を見るとインガが矢を射掛けている。後ろを振り返ると、敵は、泥田の手前で、二三人が盾のような板を前に押し出して、こちらの様子を伺っている。

 インガに無駄に矢を射ることは止めるよう合図する。しばらくすると、こちらの様子を伺っていた奴らは姿を消した。奴らは、帰ってこなかった偵察隊の代わりだ。

 奴らにはこちらの人数が少ないことはバレている。奴らに矢を射掛けたのは二三人だということは、矢の飛んでくる間隔などから容易に見当がついたはずだ。大人数で襲えば制圧できると踏んでくる。

 直ぐに準備を整えて、一挙に襲ってくる。偵察隊の8人は殺した。見張りの2人は毒矢を受けている。少なくとも、戦闘能力は奪った。後、5から6人は、毒矢で矢傷を与えたと思う。とすると、残りは多くても25人位か。

 こちらの負傷者はヒルダ一人だが、弓を使える3人の内の一人だ。かなり痛い。こちらで戦える者は8名だ。敵はほぼ3倍だ。

 インガに山の警備を強化し、敵の姿が見えたら直ぐ知らせるよう指示し、エンマを連れて、山の家に向かう。

 崖の上で浜の様子を監視しているヘルガに近づき、敵の様子について尋ねる。ヘルガによると、自分を追いかけたのは5人位だという。残った連中の中で倒れたり、座り込んだりしているの8人だという。

 動けない奴が8人か。その中に見張りが2人含まれているとして、毒矢を受けたのは、6人ということか。そうすると、自分を追ってきた奴らが全員無傷だとしても、戦えるのは24人。

 敵の様子をヘルガと一緒に見ている内に、2人が川上から戻って来た。2人は、座っている男達の一人に話し掛けた。多分、2人が話し掛けた相手がリーダーだ。

 話し掛けられた男は、座ったまま、指示を出している様子だ。ただ、その動作はゆっくりで、キビキビした感じがない。よし、あのリーダーは戦えない状態だ。

 立ち上がっている男達が手に武器を取り、川上に向かって歩き始めた。動き始めた男達の数は18人か。まだ、自分達の様子を偵察している奴がこの近くに潜んでいるはずだ。残った奴らで、立って歩いている者は4人だ。

 そうすると、ここを襲ってくるのは20人か。

 エンマと一緒に小屋のなから竹ロケットを運び出す。二人で合わせて10個を山の入り口まで運んで、敵の襲撃に備える。竹ロケットは、たとえ爆発しなくても、直撃すれば、その衝撃だけで二三人は倒せる。

 アーデルのスリング用の火薬の壺も2個用意する。

 1時間程経った頃、扇状地の下方の薮にチラチラ動く影が見えた。敵がやって来た!

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