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浜辺の粘菌 Slime on the beach  作者: 外山淑
第二部 邂逅
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The Number is Eight!

 舟に乗り、川を下る。右の脇腹がじくじく痛む。帰りは川の流れに任せれば良いから、あまり動く必要がないことが救いだ。

 船着き場に着くと、ヒルダが舟から下りてみんなを呼びに行った。みんなが集まってきて、自分の様子を見て、心配そうな表情を浮かべる。

 グエンとヒルダに抱えられて舟を下りる。沢のところまで二人に抱えながら歩いた。石鹸を持ってきてもらい、沢水で入念に体を洗う。もう10月だ。流石に沢水が冷たい。

 麻布の包帯を胸から腹にかけて蒔いた。自分の体の治癒能力であれば、数日で薄皮が張るだろう。しかし、それまでは痛みが続くはずだ。

 鷺姫が千鳥を連れて、謝罪に来た。千鳥には、硝石に火を絶対に近づけないよう大きな声で厳命した。そして、これからの作業についてはエンマに従うようとだけ言った。やはり、大きな声を出すと傷が痛む。

 側にいたエンマに、硝石の壺を千鳥と一緒に山の家まで運ぶよう小声で指示した。さらに、千鳥だけでなく、みんなに、硝石に火を近づけてはならないことをきちんと理解させるようにと、付け加えた。

 みんなに各自の分担作業に戻るよう述べた後、ヒルダとグエンに抱えられながら、家に戻る。

 家に入り、寝床に横たわる。痛みで中々寝つけない。悶々としている内に、夕飯の時間となった。取り敢えず、食事を摂ることに問題はなかった。

 満腹になったためか、それとも、疲れが溜まっていたためか、食事の後、寝床に横になると、いつの間にか眠っていた。


 次の日、眠りから覚めると、まだ右腹の火傷が痛い。麻布の包帯を外すと、早くも薄皮が張り始めていた。だが、まだ一部だけで、傷口はじゅくじゅくしている。

 沢に降りて、朝のルーティンを済ませた後、傷口を沢水で洗い、新しい包帯を巻く。

 朝食を済ませた後、エンマを呼ぶ。エンマに硝石の粉砕を行うよう指示した。本来は、自分がする予定だったが、今日はできない。動くと傷が痛むし、麻布の包帯を身に着けてるので発火の危険がある。

 エンマはこれまでの自分の作業をつぶさに観察していた。エンマならできるはずだ。自分は小屋の入り口の所に腰掛けて、離れた所からエンマの作業の様子を監督する。何か問題点がある場合は声を掛ければ良い。

 エンマは、始め、躊躇っていたが、自分がエンマなら出来ると断言すると、頷いて、服を脱ぎ、小屋の中に入る。擂り鉢と擂粉木を使い、硝石を細かく粉砕し始めた。

 エンマの作業手順には何も問題は無かった。しかし、エンマは、作業の節目節目に、やっていることに問題はないか聞きに来た。その都度、何も問題は無いと告げた。エンマは、その言葉を聞くと、嬉しそうに作業に戻る。

 採集した硝石は、1日で全て、細かく粉砕され、壺に収められた。

 その次の日の火薬の調合もエンマに任せた。やはり、何の問題もなく、硝石、木炭、そして、硫黄が黒色火薬に変わっていた。

 自分の火傷の傷には既に薄皮が張り、包帯を巻く必要が無くなった。

 その後、2日を掛けて、竹ロケットを製作した。この作業は、自分とエンマの二人で行った。竹ロケットは全部で16個作った。今まで作って置いたものを加えると23個になる。

 ロケットを作り終えた頃には、自分の火傷は、傷跡はまだハッキリと残ってはいるが、動かしても痛くなくなった。

 鷺姫と千鳥は傷の回復の速さに驚いている。他のみんなは、自分がフレイヤに乳を飲ませた時の傷の回復状況を目の当たりにしている。だから、多少は驚いているかもしれないが、当然のことのように振る舞っている。


 東端から帰ってからずっと、崖の上から海岸線を監視する見張りを昼夜配置していた。

 崖から海を監視していたヒルダから舟発見の合図があったのは、東端から帰って14日目の朝だった。

 急いで崖の側にいるヒルダの元に匍匐しながら近づく。ヒルダが、東側を指差す。確かに船影が見える。何艘か?

 1、2、3、… 8。8艘!8艘だって!?


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