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浜辺の粘菌 Slime on the beach  作者: 外山淑
第二部 邂逅
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Thoughts around the Missing Disk

 帰りのルートは浜辺を通ることにした。そろそろ海風が冷たく感じる季節だ。柿と栗の入った重い背負い籠はブラウンに載せられている。インガ達は、毛皮や什器などを入れた背負い籠を担いでいる。

 途中、自分が打ち上げられていた場所を通る。その際、エンマと共に石盤があった場所に行ってみた。石盤は何処にも無かった。念の為、辺りの砂を掘ってみたが、やはり、見つからない。

 明らかに石盤は持ち去られている。いや、消されていると言ったほうが良いか。何故、消されたんだ?

 あの石盤には、JURI 0526という文字と数字が彫られていた。石盤を見た時、自分は、その数字から最高9999人の競争相手がいるゲームかもしれないと考えた。

 だが、それで正しいのだろうか?1万人が参加するゲームか何かであれば数字だけで十分なのではないか。JURIという文字を入れる必要はない。

 もし、この世界がゲームの世界、例えばロールプレイング・ゲームであれば、ゲーマーは多数の選択肢から自分がプレイするキャラクターを選んでプレイするだろう。キャラクターの選択肢は何千、いや、万を越えるかもしれない。

 その場合、競争相手は億を軽く越えることになるだろう。

 各プレーヤーは記憶を消され、裸でこの世界の何処かに放り出され、まず一人で生き残ることを強制される。1年毎の悪夢やあの石盤のような手掛かりを提示されて、この世界がゲームか何かだということを理解していく。

 このゲームか何かには、明らかにフェーズかモードみたいな区切りがある。

 最初の1000日は、明らかに、ソロ・フェーズというべきものだろう。自分は、単独で、全く他の人間の気配あるいは痕跡を目にすることなく、生き抜いていかねばならなかった。他の人間が関与したと思われる物は何一つ無かった。

 今年に入ってからは、何度も侵入者がここに入って来た。それ以前は痕跡もなかったのに。これはあまりにも不自然だ。おそらく、ソロ・フェーズでは、この場所は回りの人間からは見えない結界のようなもので保護されていたのだろう。

 いや、この場所以外は存在していなかったのかもしれない。1000日が過ぎてから、回りの世界が生成されたと考えることもできる。

 今のフェーズは、多分、チーム・フェーズとでも言うべきか。インガ達を与えられて、チームとしてこの世界を生き抜くことが要求されているのだろう。

 インガ達には、ハッキリとした個性がある。インガは統率力が優れているし、エンマは知的能力で抜きん出ている。アーデルは動物の扱いに秀でている。

 ヒルダは何だろうか?まだ特徴がよく掴めていないが、責任感は強い。ヘルガは、最年少だが、母性かな。ヘルガはみんなを優しく包み込む。自分さえも。

 グエンはどうだろう?右目と左手のせいで、今までは劣等感に苛まれていたが、右目と左手が回復したことで、これから本来の性格が明らかになってくるだろう。

 鷺姫と千鳥はまだ加わったばかりなので、よく分からない。

 フレイヤはどうだったのだろうか?自分が上手く引き出せなかっただけで、何か秀でている面があったのかもしれない。それとも、自分の足を引っ張る、いや、破滅させる地雷的な役割を与えられていたのか。

 ソロ・フェーズが1000日続いたことを考えると、チーム・フェーズも1000日続くことになるのか。チーム・フェーズの次は何のフェーズなのだろうか?

 JURIという文字列が、ゲームで選択されるキャラクターかロールの名前だとすると、いずれは、自分のような存在と接触することになるのだろうか?その接触が有効的なものになるか、それとも。敵対的なものになるのか?

 0526。待てよ。自分がここに打ち上げられていたのは5月27日だ。前日に自分をここに置いたとすれば、0526は日付のことか?そう考えると、JURIのキャラクターの上限は365人か?

 今まで悪夢の中で経験した死は毎回100回以上だった。JURIの上限が365か366だと、JURIのキャラクターで生き残ってるのは、ほぼ自分だけかもしれない。さすがにそれはないか。

 答えは4年目の悪夢で分かる。それまで生きていればだが。

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