Battle against the Bear
120 Battle against the Bear
自分を殺した時よりだいぶ大きくなっている。自分が何回もあいつに殺された時期はほぼ同じだ。その頃から大体2年位経っているから、大きなっていて当たり前だ。
自分を殺した時でもかなり大きかった。その時より一回り以上大きくなっている。普通の弓が1本や2本刺さったところで、大したダメージは与えられないだろう。
毒矢を試す良い機会だ。エンマに毒の入った壺を開けるように指示する。自分は矢筒から矢を3本取り出し、その鏃の部分を毒壺に突っ込む。
インガとヒルダには、矢を1本選び、それを毒壺に浸けるよう指示する。インガ達に複数の毒矢を番わせることはまだ早い。まだ、複数の矢を短時間の内にスムースに番えることができないため、下手をすると毒矢で自らの体を傷つけてしまうかもしれない。
他の子達には、弩に普通の矢を装填するよう指示する。
クマまでの距離は大体100メートル程だ。自分の弓力であればこの距離でも問題なく、当てることはできる。
インガ達は50メートル程の距離であれば問題なく的に当てることができるようになった。インガとヒルダには、50メートル位までクマが近づいたら、落ち着いて、毒矢を放つよう念を押す。クマがこちらに向かってくる勢いに気圧されて、あわてて矢を射てしまっては、当たるものも当てられない。
他の子達には、クマが20メートル位に来て、自分が撃てと言うまでは、矢を放たないよう厳命する。弩で狙って当てられるのは20メートル程だし、一斉に矢を放って弾幕を作らなければ、クマを怯ませる効果がない。
クマがこちらに対して横を向けた時、腹の真ん中を狙って、一の矢を放つ。横腹の左の方に命中した。クマは一瞬倒れたが、直ぐに起き上がって辺りを見回す。その間に二の矢を番え、放つ。矢は尻近くに刺さった。
クマは今度は倒れなかった。吠えながら頭を振り回す。クマの頭がこっちに向いた。見つかった!クマは口を開けながらこちらに向かって奔ってくる。毒はまだ効いていないようだ。凄い速さで迫ってくる。
三の矢を番え、頭を狙って射る。当たった!だが、矢が弾かれた。骨に当たって、刺さらなかったのだ!矢が当たったことで、クマはちょっとの間立ち止まったが、再び自分達に向かって駆け出した。
もう、クマは、50メートル程の距離まで迫ってきた。インガとヒルダの矢が放たれた。2本ともクマの背中に刺さった。
突然、クマのスピードが落ちた。クマの口からは涎がダラダラと流れ出す。毒が効いてきたか。
こちらまでの距離が20メートルを切った。クマはもう走ってはいない。ゆっくりと自分達に向かってくる。しかし、その歩みは力強くない。多少ふらついているようだ。今だ!
"Shoot!" 撃て!と、みんなに向かって叫ぶ。一斉に矢が放たれた。1、2本外れたようだが、大半の矢はクマに刺さっている。だが、クマは歩みを止めない。
自分と、インガ、そして、ヒルダが飛び出す。クマの横に回り、胸の辺りに矢を射込む。クマはよろよろと数歩進み、倒れた。
弩に矢を装填し直したエンマとアーデル、そして、グエンが進み出て、クマの腹に矢を撃ち込む。クマはもう反応しない。
クマを仕留めた!クマが走り迫ってくる恐怖から開放され、クマを討ち取った高揚感がみんなを包む。みんな側にいる者と抱き合い、手を叩いて喜びを表している。
自分は、毒矢が刺さった部分を確認し、その回りの肉を抉り出す。トリカブトの矢毒は、刺さった部分の近くを取り去れば、他の部分は問題なく食べられるはずだ。
毒矢は他の矢と区別して回収する。トリカブトの毒の威力は確認できた。このクマの巨体に対して5本の毒矢、いや、自分の1本は刺さらなかったし、インガとヒルダの矢は後から刺さったから、実質は2本か。
2本の毒矢で大きなクマをすぐにふらつかせることができた。人一人なら1本の毒矢で行動不能に陥るだろう。
ふと、喜び合っている子達を見ると、グエンの姿が目に入った。グエンは、左手をエンマとアーデルに見せている。グエンの左手の指は、第二関節を過ぎたところまで再生している。これまで苦労していた弩の扱いが楽に行えることが嬉しいのだ。
喜んでいるみんなを落ち着かせ、クマの処理を早く始めるよう促した。今夜はクマ肉のパーティか。




