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浜辺の粘菌 Slime on the beach  作者: 外山淑
第二部 邂逅
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Under the Chestnut Tree

 穀物の収穫の合間に、鹿皮を使って、手袋を3組作った。自分とインガ、そして、ヒルダが弓で毒矢を射る際に使うためだ。鹿皮にそれぞれの手の指を広げて当て、寸法を測り、切り取る。竹で作った針を使って天蚕糸で縫い合わせた。

 着け始めはまだ硬いが、暫く使っていけば、馴染んで動き安くなるだろう。

 天蚕糸布の褌は、既に全員分が出来上がっていて、みんな身に着けている。

 ただ、残りの天蚕糸は、全員分のブラジャーを作るには足りない。精々、3人分出来れば良い方だろう。自分のブラジャーは既にあるので、誰にブラジャーを割り当てるべきか。

 まず、グエンか。妊娠していて、これから乳房がどんどん大きくなる様子を見せている。既に、乳房の大きさはインガやヒルダを越えそうだ。歩く度に乳房が上下左右に揺れて気になっているようだ。自分も経験したことだから、その感覚はよく分かる。

 あとは、インガとヒルダだな。弓を射ることが多くなり、鹿皮の胸当てを着ける機会が多いが、乳房に直に胸当てを着けるのはやはり具合が悪そうだ。ブラジャーに真綿を入れて、皮のざらついた硬い表面に乳房が直接触れないようにしなければいけない。


 イネの収穫が終わって、次はエンバクの秋播きを試して見ようと思う。この場所の気候であれば、エンバクの二期作もできそうな気がする。

 それから、海側の湿地にイネやヒエを植える実験も行うつもりだ。これまで見落としていたが、イネもヒエも海側の湿地に生えていたものだ。塩害に強い品種に違いない。

 丁度、海側の湿地沿いに栗と柿の木がある。これらも、そろそろ収穫の時期だ。栗と柿を収穫するついでに、イネとヒエの種をその経路沿いに蒔いて行こう。


 イネの収穫を終えてから2日後、全員を引き連れて、湿地の山側を探索する。留守番は、家にはロムとレム、そして厩舎にはグレイだ。

 ハーゲンも一緒に連れて行く。ハーゲンは、ブラウンの両脇にぶら下げられた背負い籠の中に入ってはしゃいでいる。もう言葉らしきものを呟いている。

 反対側に釣ってある背負い籠には、食事用の沢水を入れた壺がはいっている。勿論、水が漏れないように蓋をしている。飲水は竹の水筒に入れて各自腰にぶら下げている。

 エンマの腰には、皮の袋がぶら下がっている。袋の中には、蓋をした小さな壺が入っている。トリカブトの汁が入った壺だ。

 今回は、栗と柿の収穫も兼ねている。どちらも、イノシシやクマの好物だ。ひょっとしたらどちらかに出くわすかもしれない。

 東端辺りにはクマがいる。自分は2年目の悪夢で散々殺されたからよく分かっている。あのクマは、自分が殺したクマとは違う個体だ。あの顔はよく覚えている。

 まず、水辺の草を交代で刈りながら、道を作っていく。道を作っていく傍らで、水辺にイネの粒を一つ一つ蒔いていく。まずは、塩分の少ない山側の湿地でちゃんと育つか確認する必要がある。

 自分達の住む家の真下の湿地でイネを見つけたので、その近くの湿地はこのイネの成長に適しているはずだ。ヒエは、湿地の東端近くで見つけたので、そちらに近づいたらヒエを蒔くつもりだ。

 昼近くになった。一旦、休憩にする。草を刈りながら道を作るのはかなりの重労働だ。みんな汗だくだ。みんな上半身裸で作業している。しかし、こんな汗だくで、ほとんど裸でも虫が寄ってこない。ナノマシン様様だ。

 この湿地からはハマグリを採りに行けない。食事は鹿の燻製を齧りながら、水筒から沢水を飲むだけだ。

 少し休んだ後、作業を再開する。栗の木まで辿り着いた時は夕方近くになっていた。栗の木の回りには沢山のいがの付いた栗の実が転がっていたが、木にはまだ一杯実が付いている。それらの実を竹の棒で落とす。

 夕飯は、焼き栗だ。今夜はここで野営する。最初の見張りは、インガとアーデルだ。他の者は、今日の作業の疲れで直ぐに眠りに落ちる。


 夜中、ヒルダに起こされる。自分は、ヘルガを起こし、二人で見張りに立つ。何事もなく、夜が明けた。

 朝の粥を準備し、みんなを起こす。朝食の後、昨日の作業の繰り返しだ。

 昼過ぎ、柿の木ある当たりに来た。柿の木の下に黒いものが見える。あいつだ。自分を何回も殺したクマだ。


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