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浜辺の粘菌 Slime on the beach  作者: 外山淑
第二部 邂逅
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Too Many Mysteries

 嵐が去って三日目、やはり空は快晴だ。地面もかなり乾いてきた。紐で縛ったたアワやヒエ、イネは順調に乾燥している。

 沢水はまだ勢いよく流れていて、水を汲むと少し濁りがある。この水は、後1日位で綺麗になるかどうかだな。

 昨日泥にした、煙突の粘土は、程よく水が抜けて整形しやすくなってきた。煙突作りを再開するか。インガとエンマを呼び、作業を開始する。

 海はまだ荒れているが、昨日よりは穏やかになった。ハマグリ採りにはまだ危ないが、砂鉄集めに支障はない。煙突作りのメンバー以外は全員で砂鉄集めだ。

 製鉄に使う砂鉄の量は壺4個分だ。だが、浜辺で採取した砂鉄を小川の水で精選すると、5分の4程に減ってしまう。砂鉄集めの面々は、ヒルダが先導し、壺5個を背負い籠に入れて浜辺に向かう。

 インガ達と粘土を捏ね、太い棒状にした粘土を円形にして、積み重ねていく。30センチ程積み重ねたら、中で火を焚き、乾燥させる。十分に乾燥させないと、重みで下の方が押しつぶされ崩壊してしまう。

 順調に積み重ねることができても、必要な高さに至るまで少なくても5日は掛かる。実際に粘土を積み上げる時間より、乾燥させる時間の割合が大半を占める。

 裸で作業しているインガとエンマを見てると、ふと、疑問が浮かんだ。古代の房総半島にアングロサクソン人の少女達がいる。どう考えてもおかしい。このことにどんな意味があるのだろう?

 まず、ここは地球ではない。そのことは月の姿が違うことから明らかだ。

 しかし、植物相や動物相は地球の日本と同じだ。そして、緯度の計測などから、自分はここが房総半島の南だと結論づけた。地球ではないのに日本の房総半島がある!

 ここが房総半島に位置しているならば、矛盾する点がある。房総半島には火山が無いはずだ。でもここには、浜辺の東端に明らかなカルデラの地形がある。

 房総半島は、プレートテクトニクス的に見れば、火山があってもおかしくない。しかし、実際には火山が存在しない。だから、ここは、房総半島っぽいどこかだ。

 ここに一番近い本物の房総半島の場所は、ここの地形と海の方角などから考えると、鴨川あたりだろうか。鴨川には温泉はある。だが、たぶん、硝石の採れる洞窟は無いだろう。

 だから、ここは鴨川っぽい場所にすぎない。

 地理的な側面だけを考えると、ここは、地球っぽい惑星の日本っぽい場所の房総半島っぽいところの…。似てるけれど明らかに本物じゃない。

 似てるけれど本物ではないという要素は、たぶん、歴史の設定にもあるのではないだろうか?

 インガやエンマがいた場所は、自分はブリテン島かその近辺と考えたが、それは正しいのだろうか?そこにも、どこか、現実の世界と乖離した部分があるのではないか?

 そうすると、鷺姫の出自に関しても、実際の歴史と異なる状況が展開しているのかもしれない。自分は、ここの時代を5世紀か6世紀頃の日本の関東地方と想定した。

 しかし、この時代のこの地域の歴史についてはよく知らない。よく分かっていないと言ったほうが正しい。

 その時代ならばインガ達の世界と思われるブリテン島の情勢の方が詳しい位だ。

 そう考えると、インガ達にもおかしい点がある。名前があまりにもドイツ的あるいは北欧的なのだ。ブリテン島に定着した民族であればキリスト教的な名前があっても良さそうなのだが、一切無い。

 ここは地球に似ているけれど、地球ではない。そのことを常に意識しておかないと、いつか足をすくわれるぞ!「彼等」は至る所に罠を仕掛けていると思ったほうが良い。

 ここは日本だから、房総半島だから、ここは古墳時代だから、これこれはありえない。こんな考えに固執していると落とし穴にハマるぞ!

 目の前にその証拠があるだろう!古代の房総半島にアングロサクソン人だぞ!


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