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浜辺の粘菌 Slime on the beach  作者: 外山淑
第二部 邂逅
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Prank in a Muddy Stream

 日の照る中、アワやヒエを紐で束ねて、地面から引き起こす。イネの場合もすることは同じだが、足元の泥濘が深い。これらを引き起こした後、天蚕糸の網を掛け直す。足元が泥濘んでいるので、みんな泥まみれになりながら作業している。

 湿気が高く、汗で着物もビショビショだ。しかし、喉が渇いても、沢は泥水だ。そのまま飲むことはできない。先日、汲んでおいた壺の水がドンドン減っていく。

 以前に製作しておいた浄化器の壺に沢の泥水を入れて浄化し、空いた壺に貯める。後数日は、このようにして飲用水を確保しなければならない。今日の水当番はヘルガだ。

 全ての田畑の手当で丸一日潰れた。


 次の日、辺りの様子を確認する。

 まず、インガ、エンマ、アーデル、鷺姫、そして千鳥を率いて、舟の様子を見に川に向かう。舟は、2艘とも引き上げておいた場所にあった。良かった!

 ただし、舟に水がたっぷり溜まっていた。これは掻き出さないと木が腐ってしまう。片方の竹のフロートを持ち上げて、中央の船体の水を抜く。水を溜めた船体は重い。その場いる全員で力を合わせてやっと持ち上げることが出来た。

 船体から水を抜いた後、日の当たる場所まで引き出し、乾燥させる。

 これだけの作業をしただけで、もう昼近い時間になった。一旦、家に戻り、昼飯を食べる。食事は、勿論、先日獲ってきたイノシシの肉だ。燻製用の設備も水を被っているため、燻製にすることができない。早めに食べてしまうしかないのだ。

 午後は、同じメンバーで、洞窟に保存したエンバクや竹ロケットの確認に向かう。山道はまだまだ泥濘んでいて歩きにくい。いつもは1時間程で行けるところを2時間異常かけて歩く。

 洞窟に到着した。入り口は荒らされている様子はない。中に入ると、流石に入口付近は水がかなり入り込んでいて、泥濘んでいる。しかし、少し奥に入ると、床は乾燥していた。

 エンバクや竹ロケットを置いた場所の床に何かが入り込んだ痕跡が無い。一先ず、安心した。ただ、この場所にエンバクをずっと保存しておくことはできない。ネズミなどの小動物に見つかって、食べられてしまう可能性がある。

 各自が背負ってきた籠にエンバクを全てと、竹ロケットの半分を入れて、家に持ち帰る。家の小屋に保存しておけば、ロムやレムの目が光っている。

 この洞窟はあくまで一時的な退避場所だ。ただ、今回の嵐のおかげで、第二の拠点として十分に機能することが確かめられた。


 次の日も雲一つ無い快晴だ。地面はようやく乾燥し始めた。

 今日から、煙突の再建だ。まず、倒れた煙突を泥にすることから始めよう。煙突を構成する泥は、高熱で焼き固めたものではない。煙突の中で火を焚いて内側から乾燥させただけだ。

 一度、製鉄の作業を行ってしまうと、煙突は内部を通る高熱の炎で陶器と同じ様に焼き締められる。そうなったら、煙突の泥の再利用はできない。

 しかし、この煙突はまだ使われない状態で、強風によって倒された。だから、水と混ぜれば、ほとんどが、また泥に戻る。

 自分と、インガ、そして、エンマは、倒れた煙突の欠片を放り込んだ後、穴に沢から汲んだ泥水を入れる。褌を外し、穴に入り、足で煙突の欠片を砕いていく。

 最初は、まだ硬い欠片の角が足の裏に当たり痛い。しかし、次第に、欠片に水が住み込んでいくと、踏みつけた足の下で容易に砕けるようになる。暫くこの作業を続けていると、足元は滑らかな泥になってくる。足に当たる硬い欠片が無くなった時点で作業を切り上げた。

 3人共、顔まで泥まみれだ。作業が終わると、3人連れ立って、下の小川に向かう。小川はまだ薄茶色の泥水が流れている。だが、こびり付いた泥を体に付けたままよりは遥かにましだ。

 3人で一斉に小川に跳び込む。泥を洗い落とした後、お互い顔を見合わせる。自然に笑いがこみ上げる。エンマが自分に泥水を掛けてきた。自分もエンマとインガに泥水を掛け返す。泥水の掛け合いは暫く続いた。


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