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浜辺の粘菌 Slime on the beach  作者: 外山淑
第二部 邂逅
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Gwen in Fever

 グエンは気を失っていた。抱き上げて、山の家まで運んでいる間に痙攣は収まった。

 ただ、体温が異常に高い。可怪しい。自分が母乳をみんなに飲ませてからは、虫を寄せ付けないだけでなく、誰かが感染症に罹ったことも無いはずだ。

 家の中に入り、グエンの寝床に寝かせる。自分の手足は乾いた泥がこびり付いている。自分に付いてきたアーデルに暫くグエンの様子を見てもらう。

 アーデルがグエンを見守っている間、小川で自分の体の泥を洗い落とした後、壺に沢水を汲んで家に持ち帰る。

 グエンの体を、持ち帰った沢水で濡らした麻布で拭き清める。頭の熱を下げるために、沢水に浸して絞った別の麻布をグエンの額に載せる。

 その間に、グエンが倒れたという知らせを聞いたみんなが集まってきた。

 もう隠していてもしょうがない。みんなに明らかにすべき時だ。

 自分は、全員が揃っている事を確認して、立ち上がる。

 "Gwen is pregnant." グエンは妊娠している、と告げた。

 インガ、ヒルダ、そして、エンマは、やっぱりそうか、という表情を浮かべた。アーデルとヘルガは、吃驚している。

 鷺姫と千鳥は自分が何を言ったか理解していないので、回りの反応を見て不思議そうな顔だ。

 "It is my baby." 自分の子だ、と説明を加えた。これに驚きは無かった。当然だ。グエンを妊娠させることが出来るのは自分しかしない。

 "We made love twenty days ago," 自分達は20日前に愛し合った、と続けた。

 インガとエンマが、お互いを見ながら何回か頷く。

 そして、エンマが声を上げた。

 "But, why?" でも、なんで?と聞いてきた。

 "If we did not, she would have left us." もしそうしなければ、グエンは自分達から離れただろう、と答えた。

 "Like Freya?" フレイヤみたいに?と、エンマは、ヒルダの方を気にしながら、更に質問した。

 "Maybe. But I was afraid of the worst case." そうかもしれない、だが、自分は最悪の事態を心配した。

 "What is it?" それは何?とインガが口を挟んだ。

 "Killing herself." 自殺だ、と答えると、鷺姫と千鳥以外の、みんなが息を飲んだ。

 "She had thought herself as useless." グエンは自らを役立たずだと思っていた、と説明を加えた。

 ヘルガとアーデルが泣きそうな顔をしている。

 "It hurts!" 痛い!と大きな叫び声がした。グエンだ。目が冷めたのか。

 みんなの視線がグエンに向いた。グエンは右目の所に両手を当てて、呻き始めた。

 "It hurts!...It hurts!...It hurts!..."

 ヘルガとアーデルがグエンに駆け寄る。自分も膝を付き、グエンと目線を合わせる。

 "Where does it hurt?" どこが痛い?と尋ねた。

 "It hurts everywhere! But here and here most!" 体中が痛い!でも、こことここが一番痛い!と言って、右目と左手を右手で指差した。


 グエンの様子を見るために、製鉄の作業は中断し、インガに木炭作りに回ってもらうことにした。

 自分とエンマはグエンの看病を交代で行い、陶器と木炭の作業はそのまま作業を継続する。

 グエンの体温は下がらず、熱がある状態が続いているが、熱でうなされる様子はない。

 体中の痛みは収まらないようだが、食欲はある。いや、ありすぎる位だ!普段よりも多く食べている。

 2日目から、右目から目ヤニが出るようになった。

 4日目の朝、自分とエンマが、グエンの様子を見ると、熱は収まったようだ。

 グエンが目を開けた!

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― 新着の感想 ―
ナノマシンの拒絶反応や嫉妬から毒を盛られた可能性を心配したんだ グエン、救われてくれ~
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