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浜辺の粘菌 Slime on the beach  作者: 外山淑
第二部 邂逅
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Uneasy Tension

 次の日、洞窟から採取してきた硝石を粉砕する。

 小屋の中に入る前に褌を外し、入り口に引っ掛けておく。エンマも腰布を外し、入り口に掛ける。

 今回は、エンマにも作業を割り当てる。エンマはこれまでの自分の作業の様子をつぶさに観察していた。

 エンマの作業する様子に問題は無い。エンマは、擂り鉢と擂粉木を使い、ゆっくり慎重に硝石を砕いていく。

 二人で作業を進めたことで、昼前に、採取してきた硝石は全て粉末になった。

 自分達は、小屋の外に出て、神経を使う作業の緊張から開放され、暫く日の光を浴びながら草の上に寝転んでいた。

 ふと、エンマが顔を上げて、"Can I ask a question?" 質問して良い?と自分に聞いてきた。

 "Yes. What is it?" 良いよ、何だい?火薬のことについて質問があるのかと思い、気軽に答えた。

 "About Gwen." グエンに関して。と、エンマが言い辛そうに言った。

 "Ah! We had a talk." ああ、話し合った。と、自分は気まずい思いで答えた。

 "Is that all?" それだけ?と、エンマは更に言い辛そうに続けた。

 "That is all!" それだけだ!と、自分は不機嫌に答えた。

 気不味い沈黙が暫く続いた。

 エンマが再び口を開こうとした時、アーデルが駆け込んできた。

 "Grey is pregnant!" グレイが妊娠した!と、嬉しそうに叫んだ。

 "Are you sure!" 確かなの?とエンマが尋ねた。

 "Yes! I am sure!" ええ。確実よ!と、アーデルが息を弾ませて言った。

 "That is a great news!" それは良い知らせね!と、エンマも嬉しそうだ。

 "Let’s share the good news!" みんなに知らせよう。と言いながら、自分は立ち上がる。


 昼飯は、馬の話で持ち切りだ。

 いつも、昼飯の時は、浜辺に出てハマグリを採って食べている。しかし、今日は、鹿の肉がある。昨日、自分とグエンが獲ってきた鹿だ。

 昼までに、硝石の作業をしていた自分とエンマ以外のみんなが、皮剥や肉の切り分けなどの処理をしていた。既に、燻製に回す部分と今日食べる部分に分け終えていた。

 鹿の肉を焼きながら、みんなお喋りに夢中だ。グエンは特に明るく、歳の近いヘルガやアーデルと話している。グエンは、鹿を撃った時の様子を二人に誇らしげに語っているようだ。

 インガとヘルガは話をしながら、時折、グエンや自分の方を見ている。二人からは何か言いたげな視線を感じる。

 エンマは、鷺姫と千鳥に言葉を教えながら、鹿の肉を焼いている。食べることより、教えることの方が楽しいようだ。

 馬の妊娠か。ここに連れてきた馬が雄と雌だったのは、明らかに「彼等」の作為が入っている。

 小さな馬しかいない地域に、大きな馬の番いを持ち込ませる。この馬達を繁殖させて増やせということだろう。

 それによって勢力拡大の一助にしろと言うのだろう。

 それより問題なのはグエンだ。昨日の件で多分グエンは妊娠するだろう。これはほぼ確実だ。

 自分の生殖能力は異常な程に高められている。1年毎に見せられる悪夢で、自分は簡単に妊娠していた。自分自身が妊娠しやすいだけでなく、自分の相手も妊娠させやすくなっていると考えなければならない。

 グエンは急速に体が大きくなりつつあるがまだまだ小さい。あの体で出産に耐えられるのかどうか、それが心配だ。


 エンマ達との間の気不味い緊張を解消できないまま、火薬の製造、そして、竹ロケットの製作の作業を淡々と進める。

 3日後、7個の弾頭付き竹ロケットが完成した。前回、上手く着火しなかったファイアピストンの雷管も付けてある。火矢攻撃に使う火薬入りの壺も2個用意した。

 7個の竹ロケットの内3個を新しく発見した山の洞窟に、火薬の壺1個と共に、隠しておいた。

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