Gwen's Frustration
自分は、鷺姫に血を飲ませている内に乳が再び出るようになった。そのまま、鷺姫に乳を飲ませていたら、姫の傷口の出血はその日の内に止まった。翌朝、止血帯を外してみると、全ての傷口に薄い被膜が出来ていた。
自分の体内にあるナノマシンか何かの働きは、相変わらず凄い。鷺姫と千鳥は傷の状態を見て驚いていた。
自分は、自分の乳房と傷口を交互に指し示して、「てぃてぃがいやち」乳の癒やし、と説明する。しかし、二人はまだ信じられない様子だ。
それならばと、自分は鷺姫に左の乳房を吸わせた状態で、千鳥に向かって「なれもつうべち」お前も吸いなさい、と良い、千鳥の頭を右の乳房に押し付ける。
千鳥は、最初は抵抗していたが、途中から諦めた様子で、おずおずと乳首に口を付け。乳を吸い始めた。暫く乳を吸っていると、もうお決まりになったことだが、髪からシラミがポロポロ落ちてきた。
ふたりはようやく自分の乳の効能に納得したようだ。
戦闘の3日後、硝石採取のために再び川を遡って、洞窟に向かう。敵がいつ襲ってきても撃退出来るように、火薬は常に準備しておきたい。
本当は、戦闘の翌日に行きたかったのだが、自分とヒルダが出血していたため、出血が無くなる今日まで延期することにした。
血の匂いを振りまいて、洞窟に入ると、獣を寄せ付ける可能性がある。特に、洞窟のコウモリがどんな反応をするか分からない。
出発の時、自分達が乗り込むトリマランを見た鷺姫と千鳥は、興味深そうに船の構造を観察していた。
息栖や、息栖に隣接する鹿嶋と香取の土地は川や湖が多い地域だから舟は見慣れているはずだろうに。もしかしたら、この近辺にはトリマランやカタマランみたいな舟がないのか?
川岸に置かれていた、鹿嶋の者達の筏は、引き上げて、蔓を外し、丸太として川岸の側に積み上げている。建材として活用するか、あるいは、木炭の材料とするか考えないといけない。
今回乗り組む者は、前回と全く同じで、自分と、インガ、ヒルダ、そしてエンマだ。今回も硝石を載せる分、漕ぎ手の数が減るから、腕力の強い順で選んだからだ。
今回も留守番に回された者は、みんな一様に不満そうな顔をしている。
特に、グエンは、あからさまに不機嫌さを表情に出している。グエンは、左手と右目のハンディがあるため、色々な役割から外されることが多い。
本人もそのことは良く分かっているはずだが。それでも、仲間はずれにされているという意識が、どうしても、グエンの不満を募らせることになるのだろう。
前回と同様に、舟に乗り込む際に衣服は身に着けない。服を着ていても、上陸する際に脱がなければならないし、洞窟内に入るときも脱がなければならない。
硝石や火薬の危険性は、実験や戦いの場面で、みんなしっかり目の当たりにしている。硝石を扱う際に、火や可燃物を避けなければならないことは十分理解したはずだ。
今回は硝石を入れる壺を1個増やし、4個にした。漕ぎ手の前に1個づつ置けば、船内の荷重のバランスに問題はないだろう。
壺の数以外は、前回と同様の手順で、問題なく硝石を採取して帰還した。
洞窟に入った者達は、自分を含めて、まだ洞窟内の糞尿の匂いが取れていない気がする。
この際だから、みんなで温泉に行き、体を洗うことにする。
今は夏の真っ盛りだ。温泉から上がっても、毛皮を纏う必要はない。みんなで連れ立って温泉に向かう。
鷺姫と千鳥は温泉に驚いていたが、温泉に裸で入ることには抵抗を示さなかった。海に入る時に裸になることに慣れてしまっているから、当然だろう。
鷺姫の傷跡はもう目立たなくなりつつある。乳の効果だろう。我ながら、改めて、その効果に感心する。
温泉からの帰り道、グエンが自分の手を引き、呼び止める。
"We need to talk." 話がある、と。
自分は立ち止まって話を聞こうとした。
"Alone. Tomorrow." 二人だけで、明日、と言った。




