48 拝金主義者 ダンジョンマスターの話を聞く。
攻略完了からのー
パチパチと心がこもっているのかいないのか、分からない拍手とともにクトゥグアとともにダンジョン関係者が闘技場へと入ってきた。
「お疲れ様です、こちらのドリンクを。」
いや、それはいらない。差し出されたドリンクは断ってアイテム袋から取り出した水筒から水分を補給していると、キアリーさんとエーフィが駆け寄ってくる。
「おめでとうございますー、これで「炎残」のダンジョンクリアーですね。」
「肉を切らせて骨を断つ。言葉では簡単ですが、無茶をしますねー。コピーフレイムのゴーレム相手に捨て身の戦術とか普通はありえませんよ。」
すっかりこちら側になって俺の攻略を喜んでくれているけど、君たちって一応がダンジョン側だよね、攻略されたダンジョンマスターの前でその態度は大丈夫なのか?
「ははは、ゴーレムのパターンを読まれた上に、あんな捨て身の攻撃をされたらな。その執念が清々しいいぞ、ゼムド。誇っていい、お前は「炎残」を完璧に攻略した。」
バンバンとフレンドリーに俺の肩を叩きながらクトゥグアは、闘技場の向こうへと俺を誘っていく。
「というわけで、宴会だ。好きなだけ食って楽しめ。お土産もたくさんあるぞ。」
闘技場を向けた先は、食卓だった。
10人掛けの丸いテーブルに所せましと並べられた食事の数々。うっすらと湯気が見えるそれらにごくりと喉がなる。命がけのダンジョンのはずなのに、まるで一流の料理屋だ。
どうやらダンジョンマスターと呼ばれる存在はおもてなしが好きらしい。
「おお、これ美味しいですねー、お肉をパンで挟んで食べることはあってもこのボリューム感はすごいです。」
さっそく席についたキアリーさんが目を輝かせているのは分厚いバンズと野菜の上下を固めのパンでサンドした特大のハンバーガーだ。長い櫛で固定されたそれは、手で持ってかじりつくのではなく上からフォークとナイフで押し固めたものを切り分けて食べるスタイルだ。パンにしみこむ肉の味と噛むごとに変わる歯ごたえがかなりうまい。
「こちらはマグマシリーズの肉を配合して噛むごとに味が変わる特性バーガーでございます、付け合わせの野菜のフライと一緒に食べるのがおすすめですよ。」
さらっとサーブしているのはウミサキと、コピーフレイムで作られたゴーレムたちだ。あれだけ苦労したゴーレムに囲まれた状態というのは非常に心臓にわるいが。
「安心しろ、こいつらは調理の補助のためのゴーレムだから、ちょっかいを出さない限りは攻撃しないぞ。」
なんという技術の無駄遣い。スープの表面を揺らさずに運ぶ繊細な動きをしながら、頑丈な鎧ごと俺を両断するほどの攻撃をくりだすゴーレムとかどこで使うんだ。
「いや、複雑な動きに対応できるゴーレムを作ることができれば、料理の幅が広がると思ってな。」
俺の感情を読み取って勝手に照れだすクトゥグアは無視して俺は、ごちそうを食べる。うん、肉も旨いが魚も旨いな。失った血や体力はスキルで回復しているが、精神的な疲労の回復には健康な食事と睡眠が大事だ。
「ちくしょう、うまいな。」
どんな材料なのかとか、作ったのは誰かとかはこの際隅っこに置いておこう。ここがダンジョンということを除けば世界最高の料理だ。
「うれしいですねー。違いの分かる人に食べてもらえるのは作り手としてはうれしい限りです。」
新たな料理を持ってきながらウミサキはご満悦だ。
「ゼムドさまの動きをプログラミングしたおかげゴーレムたちの解体技術が一段と向上しました。今までは私やマスターがおこなっていた作業もゴーレムたちに任せられるので楽になりましたよ。」
「俺の技術は戦闘用なんだけどなー。」
効率的な戦い方というのは無駄なく仕留めるということ。突き詰めればどこかで料理にも通じるということだろうか?いやないだろ。
「このダンジョンを作ったのはなあ。俺たちが自分の調理の天辺に気づいてしまったからなんだ。食材の加工や火加減、無駄に長いこと生きているからな古今東西の料理は極めてしまって飽きちゃったんだ。」
クトゥグアさん、その話長くなりそう?
「そんな時だ、気まぐれにはいったダンジョンできれいに解体された魔物を見てな。これだと思ったんだ。傭兵や挑戦者たちの動きは、俺たち魔族と違い、素材の確保を目的としているから実に効率的でそれでいて突拍子もない。だからこそあらたな調理法のヒントになるってな。」
「実際、今回のゼムド様の剣技はマグマ系だけでなくほかの魔物も効率的にお肉をとれそうですし。」
なんというか、ダンジョンの関係者は変わり者を究極系だな。
「俺との闘いは、ダンジョンの窯の火力の意地に必要な熱量の確保だ。」
「クレイジーコングは興奮すればするほど、エネルギーを生み出す特性があってな。戦闘での高揚感でダンジョンないの調理器具に必要な圧倒的な火力を生み出してもらっている。いやー最近はお客が少ないから助かっぞ。これでしばらくは火力には困らない。」
わあ、無駄がない。ダンジョン挑戦者の技術も体力も精神も、骨の髄まで搾り取るシステム。
それがすべて料理のためとは、
ダンジョンというのはホント、人間の理解には及ばないところだ。
キアリー「おいしいものがいっぱいでした、また来たいです。★5」
エーフィ「おいしいものたくさんですし、システマチックな構造もよき ★5」
ゼムド「無理ゲーがすぎる。普通に料理屋にしとけ ★1」
グレイス「安心して眠れる街があるのはいいですねー、すやー。★3」




