第2話:ルーの仕事は現場保全
「今日の予定はキャンセルして、至急ナンシャンホテルにむかってくれ」
職場に着くなり、上司からそう言われた。
今日は市のお偉いさんが小学校を訪問するので、その警備の予定であった。
警備といっても、SPなんかでなく、周辺の交通整理だ。
とは言え、お偉いさんの仕事より優先するような仕事などほとんどない。
「何かあったのですか?」
「ああ、何でも死体が出たらしいのだが、かん口令が引かれててね、よく分からないんだ。ただ、現場の保全に人が必要とのことなんだ」
――なるほど、いずれにせよ雑用か。
「わかりました。すぐに向かいます」
そう言って交番を出ようとする俺に上司は、こう声をかけた。
「ルー、わかってるね。ヘマはしても目立っちゃダメだよ」
「分かってますよ。この国の鉄則ですから」
「その通り。今回は何故か武装警官の連中まで出てるそうだよ」
「それは、物騒ですね、仕事するふりして隠れてますよ」
「じゃ、今日の日当は、必要ないかな。」
上司はそうニヤリと笑って俺を送り出してくれた。
「勘弁してくださいよ、帰りにホテルのお土産でも買ってきますから」
俺も軽口で返して、部屋を出た。
俺の上司、交番の副所長は、とてもいい人だ。伊達に男で副所長まで出世した訳じゃない。
この国、いやこの世界は、女性が支配している。
国や組織の主要ポストは、例外なく女性だし、役職が付くポストならどんな低いポストでも大抵は女性だ。
『すべての男は消耗品である』なんて本が日本では売っていたが、この世界では文字通り、ほとんどの男は肉体労働を提供するだけの消耗品であった。
そんな世界で男が肩書き持つためには、能力だけでなく、性格、信条、そして、運も最大限に持っていなくてはならない。
圧倒的女性優位、それがこの世界だ。
(主要ポストがおっさんどころか、前期高齢者だった日本よりはましなのかな。)
ここ数日、日本の記憶もある俺は、こうやって、それぞれの世界を反対側の立場から見ることを楽しんでいた。
ナンシャンホテルに着くと、すでに現場は、整理された後で、立ち入り禁止のゾーニングまでされている。
俺は、現場監督者らしき人物を見つけ、声をかけた。
「ルーと言います。応援に来ました」
「あ、男か、使えねーな、来るのも遅いし。お前は現場の前で見張りだ。関係者以外入れるなよ」
現場監督(もちろん女性だ。)は、そう俺を罵倒しながら指示を出した。
見張り。
つまり、1日中動かず立っとけという指示だ。
「そ、そのどのような事件で?」
俺は情報整理のため、そっと聞こうとした。
「あ、とっとと行かないか!!」
現場監督は、ギロりと睨みながら、俺に叫んだ。
「は。はい。申し訳ありませんでした」
そう答えて、俺は逃げるように持ち場に向かった。
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まだ二話目なので全くストーリー動いてなくて恐縮です。
あと、美女も全然出てこなく。
まだおっさんと中身おっさんしか出てないですが。
あ、現場監督はモブですが美女です!!
ぜひもっと美女達が出てくるまで読んで下さい。
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