第17話:道具扱い
「待て、テイよ。ルーと言ったか、貴様、光は消せるか?」
「シー様?」
突然のシーの問いに俺だけでなくテイも驚いたようだ。
「あ、あの、光?え、いや……」
一瞬前に人生の終幕を覚悟した俺は回答にまごついてしまった。
「貴様!!シー様が聞いているであろう。即刻答えよ!」
テイがさらに俺にプレッシャーをかける。
光を消せるとは、電気のようにスイッチでということではないだろう。放たれた光をということか。
「も、申し訳ありません。え、放たれた光を消す物理現象は存在します。私の思力でできるかは、試したことがないので分かりませんが……」
俺は頭にその物理現象を思い浮かべながら答えた。
「ほう、なるほどな。テイよ、こやつ使えるかもしれないぞ」
「テイ様?それはどういう?」
「ボアの思力様式は光だ。それへの対策になるかもということですね。シー様」
テイの疑問にオウが代わりに答えた。
「ああ。ボアとの対決は避けれないであろう。その時に備えて、可能性が少しでもあるなら試しておきたい。ボアの始末は次期総書記の私の役目だ。テイよ、こやつが使い物になるか試しておけ」
「え、は、はい。シー様。しかし、男をですか?」
「捨てるのは簡単だろう。オウへの対抗がまぐれなら、その時処分すればいいだろう。万が一にもボアの思力に対抗できるなら儲けものだ」
シーの言葉には、俺を人扱いするような様子はまったくなかった。
まさに消耗品。
百円ショップの便利グッズのように役に立たなければ捨てればいいの精神だ。
「ワーハッハッハ、シー様。ご存知のようにボア様、いや、ボアはプライドが非常に高い人間です。そんなボアが男に思力を丸裸にされ、足元を掬われるのを想像すると、とても愉快です。私自身、やられて腸が煮えくり返りましたが、ハハハ、それをボアが受けると考えると、たまりません」
オウは豪快に笑いながらそう、シーに伝えた。そして、厳しい表情に戻して、俺にこういい放った。
「ルーとか言ったな。貴様。貴様の説明はまったく分からんかったが、死ぬ気でボアの思力に対抗できる術を見つけろよ。一ヶ月後には私が試してやる」
「は、ハイ。必ずやシー様のお役に立てるよう最大限の努力をいたします」
オウに睨まれて、俺はそう、返事をするしかなかった。
「シー様、ご命令通り、この男については、私が管理いたします。役に立ちそうであればまた報告いたします」
テイがシーにそう言った後、間髪なく俺に向かって何かを放った。
俺には全く見えなかったが、何かが俺の胸に刺さった。痛いのか苦しいのかよくわからない感覚が俺を襲った。
鼓動の速さが急激に上がり、俺は胸を抑えてうずくまった。
「お前。今夜のこと他言すれば命はないぞ。今、私の思力でお前にトラウマを作った。他言しようとすればそれだけで、貴様は、もがき苦しみながら死ぬであろう」
テイは冷徹な声で俺に告げた。
「も、もちろんです。テ、テイ様。私は常にシー様、いや、党に忠誠を誓っております。と、党への裏切りは絶対におかしません」
俺は党への忠誠を見せるというこの国で生きていく上での模範解答を使ってテイに答えた。
胸の苦しさのためなんとか声に出したくらいであったが、テイには届いたのか、「フン」という声だけテイから発せられた。
なんとか俺はこの状況から無事に逃れることができそうだ。
さらに厄介な状況になっているのかもだが、まずは、命があったことに感謝しよう。
胸の苦しみを抑えながら、俺はそう少し安堵していた。
ここまで読んでくださった方ありがとうございます☆
なんとかルーは命拾いをしましたね。
しかも、なんと党の幹部クラスのシーに頼りにされました。
テイからもプレゼントを受け取ったし、オウからは、楽しみだ、と言われました。
こんな美女達にチヤホヤ(?)されて羨ましいです。
ルーがどうやって美女の期待に応えるのか気になった方はブックマークよろしくお願いいたします。
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