表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/161

59.もう一つ

「で?もう一つは何?」

 あらかたの料理を食べ終わり、最後に運ばれてくる飲み物を待つ間、オリバーが唐突に口を開いた。


「もう一つ?」

「今さら僕に隠し事できると思わないでよ。昼休み…何があったの?」

「……!」

 どうして…わかるの?

 私、何も…一言も……

「君の行動はね、ほんっとうにワンパターンなんだよ。どうせ今日も邸からサンドイッチか何か持って来たんだろ?そして最後に注文したのはアイスティー」

「オリバー…探偵になれるわ…!」

「君がわかりやすすぎるんだよ。そのワンパターンな君が、中庭以外の場所で昼食を取る…。つまり、誰かと一緒に食堂に行った」

「…本当にお見通しなのね」

「別に監視してる訳じゃないけどね。相手と場合によっては僕の命も…」


 ごにょごにょしているオリバーの茶色い瞳をジッと見つめる。

「オリバー、私、あなたに聞いて欲しい事があるの。……あなたにしか話せない」

 オリバーの顔がやや緊張した事がわかる。

 さっき怒っていた時よりも、もっとずっと、目が鋭い。

「…婚約者にも言えないこと?」

 私は頷く。

「彼が私に…隠している事、だから」

「!!」

「その事で彼を責めるつもりは無いの。時が来れば…という気もしているし、一生聞かされない変な覚悟みたいなものもあるの」

 けれど、私だけではどうしても……いい方向に考えられない。


「エドワーズ様の事で間違った選択をしたくないの。私に理解が足りないところがあったら教えて欲しい。…知恵を、貸してもらえないかしら」

 オリバーの目が大きく開く。

「ベゼル…エドワーズさんの事、本気で好きなんだね…!正直言ってビックリ!」

「……変かしら」

「いやいや、いいと思うよ!君、いい顔してるよ」

「…ありがとう」

 他人から聞かされる自分の恋心が恥ずかしくて、それを誤魔化すように、そっと運ばれて来たアイスティーをストローでクルクルと回した。



「オリバーは、エドワーズ様の仕事のこと…気づいているでしょう?多分、私以上に」

「…そうだね。あのパーティーの日に……ね」

 私は頷く。

 お互い具体的な事は口にしなかったけれど、それで十分だった。

「…おそらく、私の父も……同じ仕事をしていたと思う」

「!!」

「…ずっと、父には隠し事があることはわかっていたの。エドワーズ様と接するうちに、何となく気づいたのだけど…」

「だけど…?」

「今日それを、私に伝えに来た人がいたの」

「…え?」

「すごく上手に会話に織り交ぜて…。でも明らかに私を誘導していた」

 オリバーの顔が焦りの色を映す。

「その人…普通じゃないよ!何でそんな危険な話を食堂なんかで!」

「そうね…。でもそれはいいの。それはいい。聞かされた所で、やっぱりねって思っただけだから」


 一口アイスティーを飲んで、気持ちを落ち着ける。

「オリバー、父とエドワーズ様に共通点があったとして、私が彼の仕事に関わるような事って何かしら。何度考えても……わからないの。今日私に会いに来た人は、エドワーズ様は……仕事で私の側にいるんだって、そういう事を言ってたの。…多分」

「…仕事で?」

「ええ…。私みたいな世間知らずは、自分が特別だって勘違いする……みたいな話だった」

 

 オリバーの眉がへの字に曲がる。

「…ベゼル、つかぬ事を聞くけど、今日君に会いに来た人って…女性…だったりする?」

「どうしてわかったの…?オリバー、本当に探偵?」

 オリバーがガクッと首を項垂れる。

「何やってんだよあの人…!まずは足元を固めろって話だろ!」

「オリバー…?」

「ああ…構図は何となくわかった。君は勘違いしたままでいい。それが一番うまく纏まる。けれどそれじゃあ君の気が済まないだろうし、悪い方へ考えてこじれてもいけないから、話を二つに分けよう」

 私は深く頷く。

 私一人で考えていたら、こんがらがっていただろうレイチェルさんの話。

 オリバーが紐解いてくれる言葉を、私がどう受け止めるのか、きっとそれが問われている。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ