誘拐
国王が呼んだ執事によって客間に案内された
「こちらの部屋です。お連れ様もお着きになっております」
「ありがとうございます」
執事に礼を言うと、レオンはサラと目配せをする
「エマ達ね」
「だろうな」
客間の扉をディックが開け、中に入る
俺はその後ろに続いた
すると、前のディックの首筋に短剣が突き付けられた
「おい、お前ら。ちゃんと人は確認しろよ?」
ディックは後退る事もなく、相手に凄む
「「ディック!」」
短剣を持っていたのは5歳くらいの男女
「危ないってんだろうが!」
ゴンッ
ディックは2人の頭に拳骨を入れると、部屋の奥へ進む
「お前ら、またやったのか...」
入り口で蹲っている2人を見て呆れるレオン
「どうしたの?あぁ...そういうこと...」
サラは立ち止まったレオンを不思議に思ったようだが、2人を見ると納得している
「ほんとお前らは学習しないよね...一番最初に部屋に入るのは、大体ディックじゃん」
リトが正論パンチを繰り出した
「ディックも手加減すればいいのに」
セツは完全に他人事
「懲りないね〜」
1人楽しんでいるローザ
「うぅ...みんなの気配が凄いせいだから。普通の人にはしない。ね、ルーシー」
ルーシーと呼ばれた少女は、うんうんと首を縦に振る
「この前も“確認しなさい”って言ったでしょ?」
2人は常習犯だったらしく、サラは溜息をつく
「「だって...」」
「お前ら、反省してないな?」
レオンとサラは頷き合った
「ザック、ルーシー、帰ったらそれは没収だ」
短剣を指してレオンが判決を言い渡した
「「えぇー⁉︎」」
「自業自得だね」
「ま、仕方ないよね」
リトとセツが言った
没収の決まった2人は分かりやすく、うな垂れる
「それ誰?」
俺が目に入ったのか、ザックが尋ねた
「ルイだ、1ヶ月前に来た」
レオンが簡潔に答えると、ルーシーが叫んだ
「あー!エマの話に出てくる王子様と同じ名前!」
「え、王子?」
ちなみに、俺は王子ではない
「ルイの力、剣術でしょ?」
「そうだけど...」
初めて会った2人に力を言い当てられた
ハッとしてローザを見る
が、俺の考えていることがわかったのか首を横に振っている
ローザは2人に俺の能力は伝えていない
「なんで...」
「「だから、エマが言ってたの!」」
「おい⁉︎」
突然、焦った様子のディックが戻ってきた
「エマがいねぇ!」
「「「「⁉︎」」」」
レオンがザックとルーシーの肩を持つ
「おい、エマはどうした?」
「エマは来る時に捕まった...」
「レーゼル家って言ってた...」
悲しそうに呟く
「バルドから依頼内容は聞いてないのか?」
レオンの質問にブンブンと首を横に振る2人
「バルドに連絡しましょう」
「それは無理。連絡手段がない」
サラが提案するが、リトに論破される
「くそっ!」
ディックが壁を殴る
振りかざした腕をローザが両手で受け止めた
「ディック。苛立つのは分かるけど、自分の力を考えて行動しなよ〜?」
ディックはチッと舌打ちし、ローザの手を振り払う
ローザはザックの方に向き直った
「ザック。城を出る前、距離があっても連絡できる物作ってたよね〜?あれ、バルドに渡してないの?」
「コレのこと?」
ザックはポケットの中からピアスを取り出した
「そう、それ〜」
「コレならバルト持ってるよ」
「これでバルドに連絡できるね〜。みんな落ち着きなよ。私達なら大丈夫。エマも救い出せる」
ローザの言葉でみんなが落ち着きを取り戻した
「リトはバルドに連絡取って計画立て直せ」
「了解」
「ザック、リトにピアスの使い方教えろ。あと、ピアス有るだけみんなに配れ」
「はーい!」
「ルーシー、すぐ出発できるように服頼む」
「分かったー!」
レオンが指示を出し、それぞれが準備に取り掛かった




