自由を求めて
「作戦は成功した。バルドの言った通り私以外に生き延びた者はいなかった」
ローザの話によると世界から生命が消えてから新しい生命が生み出されるまでそう時間はかからなかったそうだ。
すぐに元通りの文化や文明が神によって戻され、何もなかったかのように時間が過ぎた。
「二千年もずっと1人で生きてたのか?」
ローザは首を横に振った。
「さすがの私でも二千年生きてたらしんどいよ〜。記憶を残したまま生まれて今の姿に戻る。その繰り返し」
石碑の前に立つ俺とローザ。
「最初のみんなはここに眠ってる。全てが終わった後、私が運んで埋葬した」
1人だけ残された上に埋葬まで...
気丈に振る舞っているがどんなに辛かったことだろう。
「ごめん...」
呟くとローザは困ったように笑った。
「その言葉を言う相手は他にいるんじゃない?」
「でも今更...」
大切なことを忘れていたのに会わす顔なんてない。
「エマも言ってたでしょ?“愛したことに後悔はない”って」
今すぐにでも会いに行きたい。
でも、拒絶されたらどうしようと思う気持ちもあって動けない。
「なんで今俺の記憶...過去を見せた?」
「神を殺すため」
神に造られた俺たちにとっては親を殺すのと同じこと。
しかも相手はこの世界を造った張本人。
「なんか違うな〜。あ、神の“力”を殺すの方が正しいかも」
「なんで?」
ハードルは下がったものの、力を消すことも難しいことに変わりない。
「だって、自由に恋愛もできないんだよ?そんなの不公平じゃん」
レオンもサラも、カレンも...そして俺たちも。
このままだと過去の二の舞になるだろう。
「この話はまた今度。エマのとこ行っておいで」
「ローザ」
「ん?」
「ありがとう」
来た道を通り城へ戻る。
いつものルーナ塔のホールへ駆け込んだが、エマの姿はなかった。
「あらルイ、どうしたのそんなに慌てて」
「サラ、エマは?」
「エマなら自分の部屋にいると思うけど...」
「ありがとう」
廊下を進んでエマの部屋の扉を押した。
普通なら開くはずもない扉が開いた。
「エマ」
「え...⁉︎」
エマは1人掛けのソファで本を読んでいたようで、いきなり入ってきた俺を見て驚いた表情を浮かべていた。
「待たせてごめん。全部思い出した」
「...本当?」
立ち上がったと思ったら俺の頬にエマの手が伸びてきた。
「ああ...勝手に死んでごめん」
「ルイ、おかえり...」
あたたかい手が少し懐かしく感じた。
「ただいま」
涙を流しているエマを抱きしめた。
「...俺、エマを愛したこと後悔してないから」
「うん」
エマの手が俺を確認するように背中に回った。
「誰に邪魔されても愛してる」
「私も愛してる」
二千年の時を越えて、やっと戻った記憶
何もかも昨日のように思い出せる
もう邪魔はさせない
愛してる人を愛せる世界に
俺たちの反抗期はまだ終わることはない
本当の自由を得るまでは...
披露目式2日目
全ての予定が終了した




