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ある国の秘密  作者: 藤咲 乃々
第5章
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晩餐会

19時、晩餐会が始まった

7月に入ったので完全に外は真っ暗

そろそろ寒さもピークを迎える季節だ


だが、俺達には関係ない

城はザックの作った発明品で敷地内を一定の温度で保ってあるからだ


作り方は『企業秘密〜』と言って教えてくれなかったが、城壁の外から一歩でも足を踏み入れるとそれまで感じていた暑さや寒さは無くなる


今日の晩餐会もザックのおかげで過ごしやすい気温だ

女に囲まれていなければ...


俺は今、貴族の娘達に群がられて『ルイ様〜』と媚を売られる

この猫撫で声と匂いの混ざった香水は不快でしかない


せっかくのサラと料理長の料理も不味くなりそうだ


いつもサラが料理しているので知らなかったが、この城にも料理長が存在する


サラの料理の“第2の師匠”で2人の合作である今日の料理はいつも以上に華やかだ



女達を適当に交わしつつレオンの隣に着く


「主役は大変だろ?」

シャンパングラス片手に持っているレオンは絵になる


「ああ...香水臭い...」

「チッ、」

ディックも舌打ちしながら逃げて来たようだ


「臭ぇしうるせぇ!どいつもこいつも香水ばっか付けやがって!」

かなりご立腹の様子


さっきまでディックの近くにいたはずのエマが見当たらない

「エマは?」

「あ?あそこだ」

ディックの指した方を見ると、人だかりができている


「前回より酷くなってんな...ルイ、助けて来い」

「ん」

レオンに言われてエマを助けに行く


人と人の間を縫うように通るがエマが見えてこない

やっとエマのいる中心部へ出た


エマは誰かと話しながら作り笑いを浮かべていた


「エマ」

名前を呼ぶと振り返り、いつもの笑顔を向けてくる

喋っていた人には悪いが少しの優越感が生まれた


「なぁに?」

「え、あ、レオンが戻って来いって」

名前を呼んだはいいが、なんと言って連れ出すかを考えていなかった

この台風の目のような状況から抜け出す台詞を咄嗟に思いつくはずもない


「早くしないとディックが大変なことになるので、すいません!」

エマの手を取り、話していた話していた人達から救出した


相手が“俺”ということもあり人が端へ寄り、次々と道が開けた


「フフッ、ディックが大変なことって」

「笑うなよ。他に思い浮かばなかったんだ」

「そりゃ笑うよ。でもありがとう」


そんな話をしながらレオン達がいるテーブルへ無事に辿り着いた


「エマ、前回よりも多かったな。大丈夫かよ?」

さっきまで怒ってたのに心配そうな顔をするディック


「私も人が多くてびっくりした。でも大丈夫」


ディックが微笑みながらポンポンとエマの頭を撫でた


「ステージ始まるぞ」

部屋が薄暗くなりステージの幕が開いた

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