小屋
同じ馬に乗っているがエマとの会話はない
シエンナ以来、忙しいせいもあってまともに喋っていないのだ
「ルイ、」
突然エマに名前を呼ばれた
「後で聞く。今話したら舌噛むぞ」
「分かった」
俺の中でなんとなく気まずいのもある
森を抜けると小さな丘に出た
「もう着くよー!」
カレンが叫んだのと同時にポツンと小さな小屋が見えた
小屋に着き馬から降りると、ドアを躊躇なく開けて中に入るカレン
俺達も馬から降りて小屋に入った
そこにカレンの姿はなく、奥の部屋から声だけが聞こえた
「調子は?」
カレンの声に焦りが含まれている
「さっきより悪い...」
この声...どこかで...
声の主を見て驚いた
「お前ら!」
部屋にはリーシェとうなされているユーリがいた
「処刑されたんじゃないのか⁉︎」
「それは後。エマ、治せる?」
「分からない。私、病気は治したことないの...」
みんなは病気に罹らないから、と難しい顔をしている
ベッドに寝ているユーリに近づくエマ
「頼む。ユーリを治してくれ」
「やってみます。あと...」
エマは返事をすると部屋から出るように言った
指示に従い、カレンとリーシェと部屋を出た
この小屋は部屋が2つ
今俺達がいる部屋と、エマ達がいる部屋
4脚の椅子とテーブル
キッチンも繋がっていて、暖炉も同じ部屋
「待ってろ、お茶を淹れよう」
リーシェがキッチンへ立った
が、慣れていないのか湯も沸かせていない
今まで王族だったのだから、仕方ないか
「変わる。カレン、その荷物はなんだ?」
リーシェが座ったのを確認し、カレンに荷物の中身を聞いた
「城の貯蔵庫から持って来た食材よ。病気の時は栄養の高いものたべないと!」
帰ったらサラに怒られることは確定だろう
「お嬢様方、どうぞ」
沸いた湯に茶葉を入れて蒸らした紅茶をカップに注ぎ、2人に出す
「すまない...」
「“ありがとう”でいい。困った時はお互い様だ」
「ありがとう」
リーシェは意外と素直な人だった
2人が紅茶を飲んでる間に荷物をキッチンへ運ぶ
「まだ何かやるの?」
「ああ、チキンスープ作ろうと思ってな」
病気の時はチキンスープって相場が決まっている
「え、作れるの⁉︎」
「まあな」
貴族の頃、俺は料理を作る変わり者だった
普通の貴族は料理なんてしないが、俺は自分で料理をすることが好きだった




