深紅のネックレス
もう少しで結婚式が始まる
意味深なカレンの言葉が頭から離れないが、時間は進む
式場が開放され、各国の王族や貴族が順番に入っていく
「ルイ、行くよ」
俺たちの番がやって来て、カレンと腕を組む
入場した時に見たが、周囲の人達は各国の正装をしていた
「俺達もオルレアンの正装の方がよかったんじゃないのか?」
「王族の結婚式には2種類の服装がある。自国の正装か、式をあげる国の正装」
俺達の格好は間違っていない、ということか
正直、オルレアンの正装を持ってきた方が楽だったんじゃないか...?
「カレンと俺がシエンナの正装をした意味は?」
「それは...」
カレンの言葉が詰まった
俺は生唾を飲み、次に出てくる言葉に期待する
「それは、ルーシーが乗り気だったから」
「......」
こんな理由なら聞かなければよかった...
「あと、オルレアンの正装はシエンナで着ると暑いって理由もある...はず」
「...そうか」
衣装の話をしていると周囲が静かになり始めた
新郎が入って来るみたいだ
新郎カント=ラージャー
水の国と言われてるフルーヴ王国の第5王子
シエンナの水不足が深刻となったことにより、国王同士が結婚を決めたらしい
所謂、政略結婚だ
フルーヴに行ったことはないが、悪い噂は聞いたことがない
カントは式場に入ってくると、神父の前に堂々と歩いて行く
緊張している様子もなく、レオン達と同年代の好青年という印象
ちなみに殺害予告の事は伝えてない、とのことだ
「思った以上にすごいわね」
カレンが苦虫を潰した様な顔をしている
「何が?」
「あの見た目で40手前よ?」
さっきの正装の話の比にならないくらいの衝撃を受けた
20代に見える40歳...
独身は若く見えると聞くが、あんまりだ
リーシェが20代だったはず...どっからどう見ても犯罪だ
ろ
「政略結婚なんてそんなもんよ。親同士が決める事だから、子どもに拒否権なんてないの...」
まるで経験したかのような言い方
続いて、リーシェが入って来た
純白の衣装、そして印象的なネックレス
血を連想させるような深紅の宝石が付いている
「リト、あのネックレス調べて」
今回導入されたザックの新作ピアスがカレンの左耳に付いている
映像がリアルタイムで撮れ、リトのモニターへと送られる優れ物
右耳には前回の連絡ピアス
『依頼内容で聞いた盗賊が付けてるものに似てる』
「セツ姉とディックのところか。分かった、ありがとう」
「リーシェは盗賊の仲間の可能性が高いな」
「んー。普通、仲間の殺害予告出す?」
言われてみれば、そうか
リーシェと盗賊の関係性も分かっていない
「何か起こるまで待つか」
「そうね」
俺達の心配をよそに式は着々と進んだ
盗賊達のことは頭の片隅にはあったが、式を楽しんだ




