砂漠の中〜サラsaid〜
一方、その頃...
「「「「暑い...」」」」
雲一つない空にジリジリと照りつけてくる太陽
生ぬるい風が吹けば砂が舞い上がり、日陰なんてものは存在しない
「アルマがいればなぁ...」
セツがポツリと呟いた
4人全員が思っていたことだろう
「アルマはまだ見つかってないだろ...」
額の汗を拭いながらレオンが言った
私達14人の兄妹はまだ揃っていない
見つかっていない子達はどこで何をしているのかもわからない
早く見つけ出したいが情報は入って来ない
力が悪用されないか心配で、少し焦っている
「ゆっくり探せばいい」
私の考えていることを悟ったレオンが声を掛けてくる
「分かってるわ」
我ながら可愛くない返事
仕方ない...
私達はずっと兄妹をやってきたんだから
一番近くて一番遠い存在
私は冷静でなくてはいけないのだから
『そろそろこの辺で分かれた方がよさそう』
ピアスからリトの声が聞こえた
「了解。じゃあな、お前ら無茶すんなよ」
「はいはい」
「本当に分かってんのか?」
適当な返事をしたセツとディックの頭をグシャグシャと撫でるレオン
「仲良いのは分かったから、早く行くわよ」
分かってる
無邪気に戯れあえる2人が羨ましいのだ
セツ達と分かれ、ラクダに2人で乗る
「ルイ達はもう着いてるだろうな」
「そうね...」
それにしても、さすが砂漠の国シエンナ
周りを見渡しても砂ばかりで、草木の一本も見えない
タンバさんの家から皮袋に水を入れて持ってきているが、計画的に飲まなければすぐに無くなりそう
「サラ、あれ見ろ!」
レオンが何かを指差して叫んでいる
「あれって...!」
かなりの規模の砂嵐
遠くに見えるが、こちらに向かってきているみたいだ
「どうすればいいの...?」
「.......」
レオンは何かを考えている
「サラの歌でどうにかならないか?」
それは私も考えた
でも...
「あの規模だと精霊も応えてくれるか分からないわ」
私はただ精霊に好かれているだけ
応えてくれる保証はどこにもないのだ
「やってみないと分からないだろ?」
そう言うと、レオンはラクダから飛び降りた
声が明るくて、驚いた
「それにここで食い止めないと、ディックとセツが危ない」
砂嵐がこのまま進むと間違いなく2人は巻き込まれるだろう...
私を見上げ「まあディックは生き残りそうだけどな」と笑っている
私も自然と笑ってしまった
「弟と妹を守ってこその、兄と姉だ」
両手を広げるレオン
「姫、力を貸してくださいませんか?」
前言撤回、戯れるなんて勿体ない
この少年のような笑顔は、私にしか向けられることはないのだから
「喜んで」
レオンに向かって飛んだ
抱き止めてくれて、地面に優しく降ろされる
私は歌おう
愛する人達を守るために
信じてくれる人がいる限り
「♪〜〜」
風の精よ
どうか...砂嵐を鎮めて
歌っても、残念ながら砂嵐は接近してくる一方だった
やっぱり無理なの?
そう思った時、砂嵐が不自然に向きを変えて元来た方へ戻って行った
何が起こったのか、私には分からない
それはレオンも同じようだ
「サラのおかげだ」
「私は何もしてないわ。いや、何も出来なかった...」
「砂嵐が戻ったきっかけにはなったかもしれないだろ?」
ほんと、この人には敵わない
「ありがとう...レオン」
「先を急ごう」
私達は再びラクダに乗り進んだ
砂漠の中の目的地を目指して




