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ある国の秘密  作者: 藤咲 乃々
第3章
18/61

おまじない


不思議な夢を見た

城の中に1人ぼっちの夢


妙にリアルで、どの部屋を探しても誰もいない


なぜかエマの部屋だけ開けれなくて、扉に触れると涙が流れたところで目が覚めた




目の前は見慣れた天井

起き上がり周囲を見渡すと、いつも通りの俺の部屋


時計は5時30分を差している


ベッドから出て、着替えると長テーブルのある広間に向かう


まだみんなが起きてくる時間じゃない、と分かっていても“さっきの夢が現実だったら”と不安になってる自分がいる


ゆっくりと広間を覗くと、サラがいた


何か飲みながら読書をしている

俺の視線に気づいたサラと目が合う


「おはよう、ココア飲む?」

「おはよう、サラ。もらうよ」

本を静かに閉じて、ココアを淹れてくれた


サラの向かい側に座ると、ココアを持って来てくれた


「はい。今日は早起きね」

「ありがとう。うん、ちょっとね...」


さっきまで座っていた椅子に座り直すサラ


「当ててあげようか?」

「うん」


「怖い夢見たんでしょ?」

言い当てられてしまった


「当たり...なんで分かったの?」

「ふふ、怖い夢見たって顔してた」


そんなに顔に出てたか?


「小さい頃のレオンにそっくり」

「どういうこと?」


「私とレオンは17歳になる前からここにいたのよ」

サラは懐かしそうに話し始めた



「10歳の時だったかな?レオンが今のルイみたいな顔して起きてくる日が続いたの。『どうしたの?』って聞いたら『怖い夢見た』って大泣きよ」


冷静でカッコいいレオンも小さい頃は泣き虫だったのか、としみじみ思った


「レオンは眠ることを怖がるようになって、私がおまじないをかけたの」

「おまじない?」


「額にキスするやつ。あれでレオンが泣いて起きてくることはほぼ無くなったわ」

サラがココアを一口飲んだ


「いつからか、レオンが私にもおまじないをしてくれるようになった。で、私は他の兄妹にもかけるようになったという昔話でした」



あれにはそんな意味が込められていたのか...

ただの寝る前の挨拶かと思ってた


「たまにおまじないが効かなくて、起きてくる人もいるけどね〜」

ふふふと笑うサラ



「レオンはカッコいい!って印象だったんだけど、今の聞いたらレオンってなんか...かわいいな」

俺の率直な感想

レオンに言ったら殺されそうだけど...


「ふふ、レオンに聞かれたら...あ、遅かったか...」

「え?なに、がっ!」

いきなり後ろから首を絞められた


「ん?俺がなんだって?」

レオンの声⁉︎

しまった...話を聞かれてたのか!


「そうかそうか。そんなに俺に訓練つけて欲しいのか。分かった分かった」

「そんなの、言って、ねぇ...」


レオンを止められるのはサラしかいない!


と思ってサラの方を見るが、被害に遭わないようにカップを持ってキッチンへ向かっている


「あ、今日の朝食何がいい?」

「スクランブルエッグ。あと、2人分の昼食は訓練場に持って来てくれ」

「は〜い」


呑気な会話が繰り広げられる中、今日の俺の日程だけだ決定した

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