カレン
「みんな、おかえりなさい。サラ姉とレオ兄は相変わらずラブラブね」
ゲートを通りオルレアン城に帰ると、また見た事ない人がいた
「「あ、カレン!」」
「双子も行ってたの?あら、あなたは...」
長テーブルで紅茶を飲んでいる女の人
年齢はレオン達に近そうだ
「ルイです」
「おかえりなさい、ルイ」
「た、だいま」
少しぎこちなくなったのは仕方ない
アンジェと言うだけあって、綺麗なのだ
「双子は早く変装を解きなさい。その姿でウロウロしないで」
カレンの口から変装と言う言葉が聞こえた
誰が変装してるって...?
「もー!カレンはなんで言っちゃうかなー」
ザックがそう言うと、ルーシーが指を鳴らした
すると、2人はあっという間に背が伸びて、12歳くらいの姿になった
「ネタバレすんなよなー」
「ルイを騙せてたのに!」
「え⁉︎」
双子がデカくなった...
この状況に頭が追いつかない
「いい反応〜」
「こっちが本当の私達なの。びっくりした?」
ザックもルーシーも小悪魔のように笑っている
「これはルーシーの能力“変装”。姿形を思うままに変えられるんだ〜」
ローザはこれ見よがしに説明してくれた
「ザックは知ってるでしょ〜?」
ザック...どこかで...
「ああ!ベルトの」
「俺の事は知ってんのか。あのベルトすごいだろ?」
収納ベルトの発明者がこんなに若いとは思っても見なかった...
「ああ、てっきり年上が造ったと思ってた」
「そんなに褒めんなよ。照れるだろ」
ザックは意外と素直そうだ
「ったく、カレンがバラさなかったらなー」
「ん?何か言った?」
「なんでもないです」
どうやら上下関係はカレンが上らしい
カレンの能力はなんだろう?
今のところ女勢は表現系が多いから、カレンも表現系か?
1人で考えていると、足が治ったサラが話に入って来た
「それにしても、今回のカレンの仕事は随分時間がかかったのね」
「お前にしては珍しいな」
サラに続いてレオンも参加
確かに、俺がここに来てから1ヶ月
エマ、ザック、ルーシーはタイミングが合わなかったので会えなかったが、カレンは帰ってきた形跡自体なかった
今日の仕事ですら1日で終わったのにおかしな話だ
「そう!聞いてよ、サラ姉、レオ兄〜」
「どうしたの?」
「なんだ?」
サラとレオンが優しく尋ねた
「バルドがさー立て続けに3個も仕事入れてきたの!終わっては移動の繰り返しで、本当にしんどかった!」
カレンは2人に愚痴をこぼした
なんか意外だ
ザック達には“姉”という印象が強かったが、サラとレオンには“妹”に見える
「あ、噂をすれば!バルド!」
最後に帰ってきたバルドを見つけると、カレンは叫び出した
「また依頼があったのよ⁉︎3件も!保留にしてるからバルドが確認してきて!」
「えーまた入ったの⁉︎シエンナって遠いんだよねー。疲れたし明後日行くよ」
バルドは軽く答えるが、この場の空気は重たい
「バル「この1ヶ月、カレンに3個も仕事させたってどういうことかしら?」」
レオンの台詞をサラが奪う...かなりお怒りのようだ
「いや、それは...その...」
バルドの目はかなり泳いでいる
「まさか、カレンには休み無しだったのに自分は休もうとしてないわよね?」
「えーっと...」
「明日、シエンナへ必ず行け。分かったな?」
不憫に思ったのか、レオンがバルドに助け舟を出した
「はい!明日早く行くので、今日は休ませていただきます!」
と言い残し、バルドは姿を消した
「逃げたわね...」
「ずっと仕事だったんだろ?カレンもしっかり休め」
バルドを逃して悔しそうなサラと、カレンを気遣うレオン
「サラ姉、レオ兄、ありがとう!」
カレンは嬉しそうに部屋を出て行った
カレンの力は聞けなかったが、また見る機会があるだろう...
「みんなも今日は早く休めよ?」
レオンが夕食を食べようとするみんなに声をかけた
「俺はもう寝る」
あくびをしながらゆっくりと移動する
「夕食はいいの?」
「ああ、食欲より睡眠欲の方が勝ってる。ん、」
前髪を上げて、サラに額を近づける
「おやすみなさい」
サラがレオンの額にキスをすると、今度はレオンがサラの前髪を持ち上げる
「おやすみ」
と、サラの額にキスをしたレオンは自分の部屋へ消えた
これが寝る前の決まり事
他のみんなの額にもサラはキスするが、サラの額にキスするのはレオンだけ
レオン曰く『サラだけ誰にもされないのは、不公平』とのこと
食事を終えたみんなも続々と自分の部屋へ移動し始めた
俺も額にキスしてもらい、自分の部屋で眠りについた