2:悦楽の贄
それから俺は【デモリッシュ】の仕様を把握するべく、地道な試行錯誤を行った。
そして分かった事がいくつかあった。
まずやはりというか、レベルは一晩経ってもレベル2のままでリセットはされなかった。更に、【デモリッシュ】を再び使用し、人間に戻って、再度迷宮に潜っても、やはりレベルは同じ2のままだ。ただしジョブも元の黒騎士に戻っており、ステータスも元に戻っていた。
そして人間の状態で街に戻ると――レベルはリセットされ、レベル1になった。
「……やっぱりこのリセットの【法則】は、迷宮から出る際に適用されるんだな」
つまり出る時に、種族:悪魔でさえいれば、リセットされないのだ。
更に、悪魔騎士についてだが、体感で言えば、レベルの上がりにくさは黒騎士と同様だった。だが、初期ステータスが高い分、問題は全くない。
いやあゴブリンを倒せるのがこんなに嬉しいとは思わなかった。
こうして試行錯誤を終えた俺はもうずっと悪魔の状態のままだ。どうせ当分一人だし、瞳孔もよっぽど近くで覗き込まれなければ、バレないだろう。というか、あのステータスを知ってしまったら黒騎士なんてやってられん。
「希望が見えてきた……というかこれもしかして……俺めちゃくちゃ強いんじゃね?」
「あれ? トルネさん、珍しく顔を出したと思ったら、なんだか浮かれた顔ですね」
そう声を掛けてきたのは、俺のお気に入りの酒場――【廻るドラム亭】の看板娘であるイーシャだ。テーブル席に座る俺の前で、豊かな栗色の髪と胸を揺らし、注文したビールの大ジョッキを目の前に置いた。
「良い事があったからな! ふふふ、見とけよ……俺は一流の探索者になるぜ」
俺はそう言ってビールを喉に流し込む。いつもの倍は美味く感じるね!
「あら、頼もしい。あれだけ、黒騎士は地雷だ~って騒いでたのに」
「ふ、もう黒騎士は卒業さ」
「何か、秘策でも?」
「まあな」
「ふふふ、また今度聞かせてくださいね」
そう言って去っていくイーシャの後ろ姿を見つつ、俺は今後の計画を立てていく。
「まずはとにかくレベル上げだ。とはいえ、死ねば元も子もないから慎重にレベルを上げていこう」
正直いえば、今のステータスならば、どのパーティにも入れるだろう。
だが俺の脳裏に、断られ続けた過去の経験がよぎる。
――あいつらの為に働くのはごめんだ。
俺は、良いパーティメンバーが見つかるまではとりあえず1人でレベル上げをしてみることにした。
それに、レベルがリセットされないという事がバレると、種族:悪魔について話さなければならなくなる。それはそれで厄介な事になりそうな気がする。
俺は信仰心がほぼないので、気にしないが、悪魔という言葉を毛嫌いする連中は一定数いるのだ。
とりあえず今日はB3F辺りまで行ってみるか、なんて思っていると――
「こんにちは」
ん? 背後から声を掛けられた。
振り返ると――そこには美少女が立っていた。その子はまばゆいほど白い、金の刺繍が施されたローブを着ていて、綺麗な銀髪の上に繊細な金の装飾が眩しいサークレットを装備している。胸元には銀の十字架がぶら下がっていた。
装備を見たところ、僧侶だろうか? ……もしかして悪魔ってことがいきなりバレたか!?
「あの、私、イリスって言うのですけど、お兄さんは探索者ですよね?」
「ん!? ああ、そうだよ!! 平凡な探索者さ!」
俺が慌ててそう言うと、少女――イリスがホッとしたかのような表情を浮かべた。
「ああ……良かったです。実は私達、パーティメンバーを探しておりまして」
「へ? パーティメンバー?」
「はい――私の護衛が二人いて……彼らがそうです」
そう言ってイリスが背後へと手を向けると、そこには二人の男女が立っていた。
「こんにちは。あたしは聖騎士のレーゼ」
そう言って、優しく微笑んだのは金髪でスタイル抜群の美女だった。身体には銀のメイル、腰には銀のロングソード。背中には銀のシールドを背負っている。
「俺は聖騎士のガムドだ」
人の良さそうな笑みを浮かべている黒髪の大男は同じく銀のメイルを装備しているが、彼は剣と盾ではなく、銀のメイスを二本、腰にぶら下げていた。
「お、俺はトルネだ。ジョブは悪……じゃなかった黒騎士だ」
「実はこの迷宮に詳しそうな人を探していたのです。貴方が良く1人で迷宮に潜っているのは知っています」
「ああ……いやそれにはわけがあってだな……」
「きっと、彼はとても迷宮に詳しいのよイリス。普通はだってパーティを組むもの。そうじゃないってことは……つまり凄腕よ」
そんな事をレーゼが言うが、勘違いにもほどがある。
「俺も同意する。この自信に満ちあふれた姿。あえて貧弱な装備をしているのにも深い意味があるのだろうな」
貧弱で悪かったな! いや、確かに自信は出てきたけどさ!
「……どうでしょうか? 私達の案内役をしてくれませんか? 勿論報酬は出しますし、道中の素材やドロップ品、装備品は全て貴方にお譲りします。私達は教えによって装備が決まっていますし、収集が目的ではありません」
そう言って、イリスは俺の手に革袋を握らせた。それはずしりと重く、チャリチャリと軽快な音が中で響いている。口からチラリと覗くのは金貨の輝きだ。
「……まずは半分をお支払いします。案内が終わりましたら、残りをお渡しします。仮に案内が何かのトラブルで途中で終わってしまっても、返金はしなくても構いません」
おいおいおい……これ多分、1万ガルドぐらい入っているぞ。それが前金で、しかも失敗しても返さなくてもいいとか、やばいな。
……話がうますぎる。
「どこまで案内すればいい」
「1階層の階層主まで、で結構です。まずはそこまでお試しということで」
階層主とは、それぞれの階層の最後に待ち受ける難敵だ。こいつを倒さないと先に進めない上に、階層主の部屋――通称ボス部屋は探索者が4人入ると同時に封鎖されるので、他パーティが戦っている隙に通り抜ける、といった戦法は取れない。そして倒したパーティとは別の存在がボス部屋に入ると即座に復活するという鬼仕様だ。
つまり頑張ってパーティを組んで倒さない限り、先には進めないということだ。ちなみに下から上に戻る時は、一方通行だがボス部屋は通らなくても戻れるようになっている。
いずれにせよイリスのパーティを見る限り、1階層は余裕で突破出来そうな装備と編成だ。
聖騎士は初期ステータスがかなり高い。その上、回復魔術と魔物全般に通りやすい聖属性攻撃スキルを覚えられるので、とても重宝されるジョブだ。名前含め、黒騎士とは正反対だ。
そんな装備も万全な聖騎士が二人もいるのだ。更に回復と援護に特化した僧侶がいるとなれば、もはや3人だけでも余裕だろう。
うーん……彼らはまだこの街に来て日が浅いのだろうか。だとすれば、案内役を探すのも頷ける話だ。普通はみんなパーティを組んでいるから俺のようなソロ探索者の数は少ない。
提示してくる条件からしても世間知らずっぽいし……きっとイリスはどこかの修道院付きの聖女で、後ろの二人はそれを守る騎士か何かだったのだろう。
とりあえず報酬が破格なのでこの依頼は受けても良いかなと思いつつも、下手に動いて悪魔だとバレるのも困る。
なので条件を付けよう。
「案内だけなら受ける。戦闘は基本的に3人に任せる形になるが、それでも構わないのなら、喜んで案内しよう」
「本当ですか!? やったわ!」
嬉しそうに跳ねるイリスを見て、俺は悪い気分はしない。可愛いしね。
だがこれで俺は戦わなくて済むし、金は貰えてドロップ品は独占できる。最高の依頼だぜ。何より――誰かとパーティを組めたのが素直に嬉しかった。
「心強いな!」
「うむ。戦闘は我ら2人に任せれば良い」
レーゼ達もそう言ってくれた。
「よし、そうと決まれば早速行くか?」
「もちろんです! 私達はいつでも準備出来ていますよ」
「良い心がけだ。よし、じゃあ行こう!」
こうして俺は、随分と久しぶりにまともなパーティを組んだのだった。
だが、やはり俺は馬鹿だった。浮かれていた。
そんなうまい話が……あるはずなかったのだ。
☆☆☆
【監獄迷宮パンデモニウム】――第1階層B5F〝鬼のねぐら〟
ここまでは順調だった。
「余裕だな!」
なんせ本当に、レーゼもガムドも強かった。危うげなく魔物を屠っていく姿は頼もしい。俺は一応イリスを守るというていで彼女の側で剣を構えていたが、全く出番はなかった。
そして同じパーティのおかげで、倒していない俺にも経験値が入る。おかげでおそらく他のメンバーよりは低いものの、俺のレベルは少しだけ上がっていた。
***
名前 :トルネ
種族 :悪魔
ジョブ:悪魔騎士
レベル: 4
体力 :430 ランクE
筋力 :542 ランクD
耐久 :484 ランクE
敏捷 :348 ランクF
魔力 :542 ランクD
スキル
・【デモリッシュ】
称号
***
ついに、筋力と魔力がランクDまで伸びている。ステータスの上昇値が馬鹿みたいに高い。
俺は、内心ほくそ笑む。
油断し、無警戒だったといってもいい。
だから俺は、階層主と戦う前に少し休憩しようと言われた時に、イリス達の目が怪しく光っていた事に――気付けなかった。
今思えば……不自然だった。
「正直、レーゼもガムドも強いし、レベルも上がっているだろうから、階層主は全く問題なさそうだ。イリスの援護があれば危うげなく倒せ――ん? どうした?」
俺がそう言って、ボス部屋へと続く複数の待機部屋のうちの1つに入り、壁際に座ろうとした時。
なぜかレーゼもガムドも、戦闘態勢を解いていない。
「ん? おいおい、やる気があるのは良いが、通路が閉じてるから多分、今誰かが戦っている最中だよ。終わったらまた通路が開くから、今は休んでお――っ!!」
突如レーゼが、凶悪な笑みを浮かべると同時に斬りかかってきた。
俺は座った姿勢から無理矢理横へと回避。
「おらああ!!」
そこへガムドのメイスが払われて、俺の胴体へとまともに直撃。俺はその勢いで吹っ飛び、ごろごろと床を転がっていく。
痛てえええええ!! 視界が真っ赤に染まるし、腹部が死ぬほど痛い。耐久がランクEもあるのに、なんでこんなに痛いんだ! と思ったところで気付く。
そうだ……悪魔は……聖属性に弱い。そして聖騎士であるこいつらは、聖属性を武器に付与するスキルを持っている。だからか! くそ……! 油断した! まさか自分に向けられるなんて考えもしなかった!
「あはは! やはり黒騎士が弱いって本当だったんだな! 虫みてえに動いてやがる」
「次はあたしの番よ?」
くそ、なんでこんな事になった!? 精神汚染の罠なんて1階層にはないはずだぞ!
レーゼが近付いてくるのが分かる。俺は何とか這いずってイリスを逃がそうとする。こいつらに襲われたら、後衛職であるイリスが耐えられるはずがない。
「イリ……ス! 逃げ……ろ!」
そうして俺がイリスへと手を伸ばそうとすると――その手をイリスが思いっきり踏んだ。
「汚い手で触ろうとするな――ゴミ」
その目には、酒場で会った時のような純真な、聖女のような光はない。弱者をいたぶるのが楽しくてたまらない、と言わんばかりの嗜虐心で溢れている。
暗い目をしたイリスが何度も俺の頭を足蹴にするので、俺は咄嗟に腕で頭をガードする。
「きゃはは!! ねえねえ見てみて!! ダンゴムシみたい!!」
「イリス様、あたしにもやらせてくださいよ」
「こいつクソ雑魚だから、剣使ったら死んじゃうじゃん」
「確かに」
「がはは、俺のメイスを貸してやろう」
俺は嫌な予感がして、身体を転がして、迫るメイスを回避。俺の顔の横にメイスが振り下ろされた。
「ちょっとレーゼ。頭は流石に死ぬわよ」
「メイス使い慣れてないんだよ」
転がって仰向きになった俺に、レーゼがまたがった。
「おらあ!!」
メイスが俺の胸へと振り下ろされる。
骨が折れ、肉が潰れる音が響いた。
痛い。痛すぎて、もう何も考えられない。
「あー、底辺探索者を釣って虐めるの最高。迷宮万歳ね」
「おい、次は俺にやらせろ」
「待ちなさいよ。イリス様、回復を掛けてくださいね。すぐに死んじゃうと面白くないので」
「はいはい。あ、渡した金はちゃんと回収しときなさいよ――【ヒール】」
俺の身体を緑色の淡い光が包む。すると、痛みが引いていく。
だが、次の瞬間にまたメイスが振り下ろされた。
「アガァ!!」
再び、暴力的な痛みが俺を襲って、口内に血が溢れる。涙で視界が滲むが、レーゼもガムドもイリスも歪んだ笑いを浮かべていることだけは分かる。
俺は腰に付けていたポーチを奪われ、金貨の入った革袋も取られてしまった。
くそ……! こいつらは最初から報酬なんて払う気がなかったんだ……!
「見てよ、この顔。あー、傑作」
「おい、代われって」
「待ってって。もう一回だけ……ね?」
「ふざけるな。次は俺に殴らせろ」
目の前で口論を始めるレーゼとガムド。
俺は痛みと悔しさで、頭と身体が死ぬほど熱かった。俺が何をした。勿論、欲に負けた事は認める。だからといってこれはないだろう。
再び回復が俺に施された。そして嬉しそうにレーゼがメイスを振り上げる。
俺は思考がスッと醒めるのを感じた。心の奥に黒い炎が灯るような――そんな感覚。
俺はいつの間にか黒いオーラを纏っていた。手を、横に置いてあった銀のロングソードへと伸ばすと、それを掴み素早く上へと振り払う。
「ぎゃあああああ!!」
レーゼが振りかぶっていた右腕を切断。俺はレーゼを蹴飛ばし、跳ね上がるように立ち上がると、そのまま銀のロングソードで、驚いた表情を浮かべ横に立っていたガムドの首を――刎ね飛ばした。
その瞬間、ガムドの身体だけが消え、まるで魔物と同じように経験値の光となって俺の中へと吸収される。ガムドの装備が地面へと落ち、不協和音を鳴らした。
「……っ!! お前ええええ!!」
レーゼが鬼の形相を浮かべるが、片腕がないせいで上手くメイスを振れず、空振り。俺はレーゼへと肉薄すると、剣を彼女の心臓へと突き立てた。
血が噴き出し、俺を赤く染め上げる。
不意打ちでなければ、ステータス差で俺の方が上だ。
「あっ……がはっ……」
絶命したレーゼが装備品だけ残して光となって消えた。
血塗れになって振り返る俺の目にイリスの姿が映る。
「うそ……なんで……レーゼ! ガムド!」
俺は無言で剣を握り直した。しかし、イリスの目はなぜか俺ではなく、俺の背後へと向けられている。
そういえば後ろは――
俺が振り返ると、そこにはボス部屋へと続く短い通路があった。既に階層主は倒され、そして復活したのか、その通路は開かれている。
「っ!! 【フォース】!!」
イリスが必死な表情を浮かべながらスキルを発動。それは僧侶が使えるスキルで、攻撃力はないものの不可視の衝撃波で、どんな相手でも強制的に吹き飛ばすことが出来るという。
それをまともに受けた俺は――ボス部屋へと続く短い通路へと吹き飛ばされた。
「お前のような悪魔は……殺されろ!!」
イリスが、まるで悪鬼を見るかのような表情で俺を見つめた。そして俺の目の前で通路が閉じられ、強制的にボス部屋へと叩き出される。
「くそ!!」
今すぐあの部屋に戻る術はない。
そして俺の背後で、地響きが鳴った。ボス部屋は円形状になっており、奥には二階層へと続く階段が見えるが、半透明の結界で覆われている。
「ブモオオオオ!!」
部屋の中心にいたのは――醜悪な二足歩行する化け物だった。逆さ向きに生えた牙に、ブタのような醜悪な顔。4mはある背丈に、筋骨隆々な肉体の上に骨で作った鎧を纏っている。
手には、血がこびり付いた幅広の片刃剣が握られていて、見る者を恐怖を与えていた。
こいつこそがこの第1階層の階層主であり、数多の駆け出し探索者の命を吸ってきた……正真正銘の怪物――【肉砕く悪鬼】、通称〝オーガ〟だ。
推奨パーティ平均レベルは10~15。
俺は素早く自分のステータスを確認すると――
***
名前 :トルネ
種族 :悪魔
ジョブ:悪魔騎士
レベル: 5
体力 :475 ランクE
筋力 :590 ランクD
耐久 :530 ランクD
敏捷 :390 ランクF
魔力 :590 ランクD
スキル
・【デモリッシュ】
・【黒の衝動】(NEW)
・【サモンデーモン】(NEW)
称号
・聖職者殺し(NEW)
***
見れば、レベルが1上がってるし、スキルと称号が増えている。おそらくレーゼとガムドを殺したせいで、あいつらの経験値がそのまま俺に入ったのだろう。
「ゴオオオオ!!」
ステータスは悪くないが、流石に階層主と1対1は無理だ。回復魔術もなければ、援護もない。オーガが片刃剣を振り上げると、俺へと豪速で振り下ろしてくる。
俺は迷った末に、【サモンデーモン】を使う事にした。スキルの詳細を見てのんびり考える暇はない!
「イチかバチかだ!――【サモンデーモン】!!」
俺が血塗れの手を差し出して、そう言うと同時に目の前に魔法陣が現れた。俺の手から滴る血が黒い炎となって魔法陣から溢れ出る。
オーガの凶刃が俺へと迫る瞬間――
「かはは……あたしが召喚されるなんて……何千年ぶりだ?」
魔法陣から現れたのは、露出度のやたら高い服を纏った、赤毛の美女だった。頭に髪色と同じ色の豹のような獣耳と、お尻からは細い尻尾が生えていた。
「あ、危ない!!」
俺が迫る刃に思わず声を上げるが、その赤毛の美女は気にせずオーガに背を向け俺へと視線を向けた。その顔には、それはそれは嬉しそうな笑みを浮かべている。
その赤い瞳の瞳孔はやはり縦長だった。
「お前がマスターか? 良い男じゃねえか気に入ったぜ……って、てめえ邪魔だなこら――【黒炎撃】」
赤毛の美女がめんどくさそうにオーガを見すらせずに、雑に手を払った。
「ブ……モ……ッ!!」
その瞬間に黒い炎が美女の手から放たれ、それがオーガの目の前で爆裂すると――
オーガの肉体があっけなく弾け飛んだ。
「は?」
オーガが光となって俺に吸い込まれる。
「んーいまいち調子悪ぃな。ま、ボチボチ行こうぜ。あたしはハウレス。よろしくな、マスター」
こうして俺は、というか俺が召喚したらしき美女――悪魔ハウレスは、あっさりと一撃で階層主を倒したのであった。
命名で分かる通りこの作品で出てくる悪魔はソロモンの例のアレから取っていますが、そのものではないです。ハウレスさんは、割りと気の良い?悪魔ですね。場合によっていきなり襲ってくるやつもいるとか……