#787 〈アークアルカディア〉Dランク昇格祝勝会!!
「ではではみんな揃ったな! これより〈アークアルカディア〉のDランク昇格試験合格を祝って打ち上げを行ないたいと思います! 音頭はこの方、〈アークアルカディア〉を見事引っ張り格上だった〈ファイトオブソードマン〉のギルドマスターを見事に下したリーダー、サチに乾杯の音頭をとってもらいます!」
「ふ、ふぇぇぇ!? ええ? ほんとに? 良いのかな? この乾杯はゼフィルス君がした方が良いんじゃない? ほら、ギルドマスターだし」
現在我がギルドハウスにメンバー全員が集まり、打ち上げの音頭を上げる所だ。
そこで今回の功労者で有り、リーダーを務めたサチに乾杯の音頭を取ってもらおうとしたらすごい勢いで遠慮された。
「ほら、今まで乾杯の音頭はゼフィルス君がしてきたじゃない? 他の古参の人たちを差し置いて私が乾杯の音頭を取るわけにはいかないよ。だから今回の所はゼフィルス君が、ね?」
サチがここまで長文をまくしたてるのはレアだ。
そこまで言われては俺がやるしかあるまい。
確かに今まで打ち上げは何度もやったが音頭は全部俺がやってきた。
だからだろう、乾杯の音頭はギルドマスターという認識が強いようだ。
ならばそれに応えよう。
無理にやってもらうようなものでもないしな。
ということで、乾杯です。
「そこまで俺の乾杯が聞きたいというのなら任せてもらおうか! みんなジョッキは持ったかー! 持ってない人はすぐに持て! 〈アークアルカディア〉のDランク昇格試験合格、ギルドバトルの勝利を祝して、乾杯だーーーー!!」
「「「「かんぱーい!!」」」」
イエーイ乾杯だー!
盛り上げていくぜー!
「ゼフィルス君のテンションがいつになく高いよ~」
「何しろ祝勝会だからな! めでたいことなんだぜ! サチも、乾杯!」
「かんぱーい!」
「あー、サチっちだけちょっとずるいよー! 私もゼフィルス君と乾杯するー」
「わ、私も参加する」
「いいぞいいぞ! ドンドン乾杯してドンドン飲もう! エミもユウカも乾杯だー!」
「そこへエリサちゃんもドーン! この戦い、負けるわけにはいかないわ!」
「姉さま、もう戦いは終わりましたよ。教官もお疲れ様でした。乾杯です」
「ってあー!? フィナちゃん抜け駆け! 私より先に乾杯したー!?」
「まあまあ、エリサも、ほれ、乾杯だ」
「かんぱーい!」
「一瞬で笑顔が戻る姉さまがチョロい」
「エリサは今回すげえ活躍だったからなぁ~。相手を眠りに落とした数が半端なかったぜ」
「全部ご主人様が教えてくれた戦法だけどね!」
「フィナも『大天使フォーム』むちゃくちゃかっこ可愛かったぜ~」
「分かる~フィナちゃんの天使姿はやばかったわ~」
「は、恥ずかしいですからあまり褒めないでください」
「フィナちゃん照れてる~~かっわいい~~」
「…………」
「いひゃいいひゃい、ほっへつねんないで~」
うむうむ、仲良き事は良いことだ。
じゃれている双子少女を見てると和み度がすごい。
Dランク昇格試験だが、〈ファイトオブソードマン〉を見事に下したことで〈アークアルカディア〉は文句無しの合格。Dランクギルドとなった。
もう完膚なきまでの勝利で会場の盛り上がりも凄かった。特にあのソードマンを2度も正攻法で倒した連携は高く評価されていた。
「しかしあの【アイ・アム・ソードマン】の彼は凄かったな~」
ガチ寄りのネタ職業と言われていた【アイ・アム・ソードマン】をあそこまで使いこなすとか、凄まじく参考になった。俺がリアルで会った中でもトップレベルのプレイヤースキルを持ってるんじゃないか? 俺もちょっと戦いたくなったもん。
【アイ・アム・ソードマン】の最大の魅力はやはり『ブーストソードマン』だ。時間が経てば経つほどパワーアップするあの強力なスキルだろう。正直なところ最大強化状態の『ファイナルブーストソードマン』を使われた日には〈上級姫職〉を相手に勝てるほどパワーアップしてしまう。中位職として意味わからんほどの強さとなる。
だが、ブーストのギアを上げるために相手を攻撃するという条件が非常にネックで大問題だったんだ。最後までパワーアップするにはそれなりの攻撃を加えなくてはならず、そして『フォース』や『ファイブ』の時点で相当な攻撃力を誇っているため、大体相手を倒してしまい、決着してしまうので『ファイナル』までたどり着けないというジレンマ。
全体系の物理攻撃に滅法弱く、良さと悪さの落差が非常に大きなネタ職業だった。
ダンジョンの通常モンスター相手だとほとんど役に立たないためボスくらいしか使い道が無いと言われていたほどである。
しかしなるほど、リアルのギルドバトルだとプレイヤースキルがものを言うから単体で攻めれば鬼回避しながらブーストのギアを上げることも可能ってわけなんだな。
活かす機会はあまりないかもしれないが、今後対策を練るときに参考にさせてもらおう。
「ご主人様がすっごくソードマンさんを褒めているよ!」
「やっぱり、それだけの強者だったってことですね」
エリサやフィナたちが俺の反応を見て顔を見合わせていた。
ほんと、みんなよく勝てたよ。
さて、そんなわけで1週間後にはDランク部屋に引っ越すことになった〈アークアルカディア〉だが、その前に打ち上げをしないと始まらない。
俺的には昇格できる確率は高いと思っていたのでこの日のために色々準備を進めていたのだ。
料理専門ギルド〈味とバフの深みを求めて〉のミリアス先輩に料理を頼み、ハンナやアルルも手伝って、こうして豪華絢爛、凄まじく美味しい料理たちが並んで俺の浮いた心を掴んでくれる。
「こ、これは美味い! さすが、ハンナの料理は絶品!」
「ゼフィルス君これも食べて見てください? 〈スーパーモチッコ〉からのドロップ〈スーパーな米〉から作られたごはんなのですが」
「いただこう!」
気がつけばフラーミナが隣にいてご飯が入った茶碗を差し出してきていた。
ただの白米だ。しかし、俺は日本人、おかずを食べるなら米も一緒に食べたい!
おお! この白米、美味い! ただの白米なのに! 噛めば噛むほどに甘みと旨みが出て口の中でほかのおかずと絡んでさらに美味!
やっべぇ、箸が止まらないぞ!?
「ああ! フラウが抜け駆けしていますわ! ゼフィルスさん、ジョッキの中が少なくなっていますわ。注ぎますわね」
「悪いなカタリナ~、というか、本来逆じゃね?」
「??」
右にフラーミナ、左からはカタリナがやってきておかわりを注いでくれる。
なぜか接待されている俺、あれ? これって俺がもてなす側じゃないか?
あまりにご飯が美味くてうっかり逆転していた。
「さあさあカタリナもフラーミナも座って座って、今度は俺が、ってあれ? ロゼッタは?」
「ロゼでしたらあそこでアイギスさんとエステルさんを捕まえて話していますわ」
カタリナの視線の先ではアイギスとエステルと真剣に話しているロゼッタがいた。どうやら『姫騎士覚醒』の使いどころについて意見をもらっているらしい。
効果時間が短いため、効果的な運用のために先輩に意見を聞いている様子だ。
「功労者と言えばオリヒメさんがいないな。それにトモヨは?」
「オリヒメさんでしたらあそこでレグラムさんに寄りかかっていますわよ。トモヨさんはシエラさんとラクリッテさんのところですわ」
見ると大部屋の端の方で2人仲睦まじく座って静かに食事している光景があった。
おいおいレグラムがご褒美のあーんを所望されているぞ。
あそこだけ2人だけの空間が出来ているな。とても入れなさそうだ。
トモヨはロゼッタと同じく意見交換のようだ。
今回トモヨはギリギリ食いしばりが発動して生き残ったが、それがなければ退場していたはずだ。
それを含めて腕を磨くためにタンク組の所に行っている様子だ。
打ち上げが終わった後でも良いはずなのに、真面目だなぁ。
だからこそタンクとして頼りになるんだけどな。トモヨは今後も伸びるぞ~。
ある程度俺も談笑と食事をしてからメンバーを周る。
あんまり俺だけが〈アークアルカディア〉のメンバーと話しているわけにもいかないし、〈エデン〉のみんなとも楽しみたいからな。
それと〈エデン〉がBランクギルドに昇格したとき、〈アークアルカディア〉から昇格させるメンバーの選定も考えなくてはならない。
まあ、それはまだ時間があるので後日他のメンバーとも相談して決めるとする。大事なことだからな。
こうして祝勝会は夜まで盛り上がりながら続いたのだった。
第十五章 ―完―
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