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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第十五章 上級ダンジョン進出と下部ギルド昇格試験!

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#783 まだ中盤戦なのに本拠地攻め。赤チームのピンチ




 場所は中央西地点、最強のソードマンをギリギリで屠った6人は今後の行動を話し合っていた。


「カタリナさんたち、上手く足止め出来ているみたい!」


「よし、本拠地へ突っ込もう」


「さんせ~い!」


 即断即決。

 斥候を嗜むユウカが中央東の様子を索敵しに行き、戻ってきて報告したところトモヨとエリサが本拠地へ攻める案を推した。


 すでに西部隊全員がHP、MP共に回復しきっており、これから小城マス確保に出るか、東へ助けに行くか、それとも相手の本拠地へ攻めるか、または巨城を削るなど、様々な選択肢がとれる。ここで一気に差を付けたいところだった。


「東側を助けに行ったとして、相手を倒したとしても〈敗者復活〉で10分後には復帰されてしまいますからね。足止めが生きているうちに本拠地を取るのは有りだと思います」


 フィナリナの冷静な戦況分析に西メンバーのやる気が上がる。

 すでに半数の3人が本拠地へ攻める案を推しているのだ。

 最終判断はリーダーのサチへと委ねられ、全員の視線が集中する。


「よし、本拠地、いっちゃおうか!」


「「「「「おー!」」」」」


 そういうことになった。


 時間は有限なため即行動を起こす。


 AGIの高いサチとユウカが先行し、南側へと進入。

 マスを取りながら東へ東へと進み、本拠地を目指したのだ。


「『敵探知』! 本拠地、人の気配無し! 『罠発見』! 罠の類いも無し!」


「攻撃、開始するよ!」


 2人がたどり着いた時には敵の赤本拠地は無人だった。

 ユウカの『警戒』や『敵探知』にも反応無し。

『罠発見』にもそれらしい反応は無かった。


 反撃が来ないとわかり、サチが剣を光らせて本拠地の壁に斬りかかる。


「『魔装暴走』! 『魔剣・ノックソード』! 『魔剣・バーストストライク』! 『魔剣・フィフスストライク』!」


 魔装の消費が二倍になる代わりに威力が上昇する『魔装暴走』を使い、一気にダメージを稼いでいくサチ。

 本拠地が落とされれば保有している巨城を全て奪われる、逆転にも繋がる重要拠点のために巨城よりもHPが多い。


 落とすのに時間も掛かるため短期間で落とすためにMP消費を度外視して一気に攻撃していく。


「『魔装暴走』! 『魔弓・シャワーアロー』! 『魔弓・ハイパワーバスターショット』! 『魔弓・光の四矢』! 『魔弓・パワーショット』!」


 周りを警戒していたユウカだったが、敵影無しと判断して一緒に本拠地落としへ加わると、遅れて4人が追いついてきた。


「ユウカちゃんが参戦しているってことは敵影は無しね! 一気に落とすわよ! 『ナイトメアドレイン』!」


「姉さまは無理なさらないでください。城にダークヒールは効かないのですから。では、行ってきます――『ソニックエルソード』!」


「フィナちゃんいってら~」


 すぐにエリサが魔法で城から継続ダメージを与え始めた。しかし、そのダメージは周りに比べれば微々たるもの。

 フィナリナの指摘したとおり、実は【ナイトメア】のダークヒールは城には効かないためにダメージが出せないのだ。


 これは、城にはヒールがそもそも効かず、【城主】系など、一部の回復魔法以外を無効にしてしまう特性のためだ。

 回復出来る相手に相反するダメージを与えるのが真骨頂の『ダークヒール』系は城にダメージを与えられない。

 故に、エリサの攻撃手段はHPを吸い取る『ドレイン』系しかないわけだ。一瞬で奪うわけでは無く、じわじわ吸収する特性のために〈城取り〉では不向きなのである。


 妹のフィナリナはそんな姉の代わりにアタッカーとしてダメージを稼ぎに行く。


「私も負けてられないよー! 『魔装暴走』! 『魔本・マジックブースト』! 『魔本・パワーブースト』! 『魔本・火炎爆撃』! 『魔本・ビッグフレアバースト』!」


「私も微力だけど、ダメージを稼がせてもらうから! 『ダブルシールドバッシュ』!」


 6人の攻撃が加わり、一気に本拠地のHPが削れ始める。

 特に3人娘の火力が凄まじく、ユニークスキルの『魔装共鳴LV10』に加えパッシブスキルの『○○の心得』系を持ち、さらにはエミのバフに加え、魔装を犠牲にするため普通より上昇率の高い威力上昇バフである『魔装暴走』まで発動しているのだ。


 火力に特化した【魔装】系の真骨頂がここに煌めいた。


 サチ、エミ、ユウカがスキルを使う度にがっくんがっくん本拠地のHPが削られていく。


 しかし、そのHPが三割を割ったところでユウカの『警戒』に反応があった。


「! 敵接近! 東側! 『敵探知』! 数2!」


「っ! 了解! 私が行くわ! 良いところ見せちゃうわよ!」


「対人なら私の出番だね」


 ユウカの声に、本拠地落としでろくに活躍出来ていなかったエリサとトモヨが東へと向かう。


 敵は〈ファイトオブソードマン〉のサブマスである戦士男子と〈睡眠〉にされていたが今は目覚めて隣をダッシュしている【フェンサー】の男子。


「うおおお! それ攻撃しちゃダメだーー!! 『バーストレイピア』!」


「『ストライクガード』!」


 フェンサー男子が慌てて押し通ろうとするが、二枚盾のトモヨはそんな攻撃ではびくともしない。


 だが、これは囮だ。


 派手に攻撃を仕掛ける事で相手の気を逸らし、その隙に本命を当てる常套手段。

 相手の密度が高い場所に突っ込ませるのはもちろんタンクの役目だ。

 故に、横から周りこんで戦士男子が本拠地へ取り憑いている〈アークアルカディア〉へ突っ込もうとする。


 だが、1人、忘れてはいけない存在がいる。


「『誘いの睡魔』!」


「! 『戦士の意地』!」


「エリサちゃんの誘いを断るなんて! でも眠っちゃえ! 『ダークバインド』!」


「これは眠りじゃないぞ!? 『カッツァー』!」


 エリサの奇襲に防御スキルで乗り切った戦士男子だが、エリサの虚実にツッコミながらも影の腕を剣でぶった切る。


「それじゃ、これは耐えられる? 『誘いの魅力』! 『悪魔の投げキッス』!」


「そんなものは効かん! そこを退くのだ!」


「素でレジられた!? タンクは厄介ねほんと。仕方ないわね、ご主人様からこれは切り札だからあまり使わないようにって言われているんだけど、やっちゃうわ――『闇の檻』!」


「む!? これは!? 『アーマード・ロック』!」


 タンクは『状態異常耐性』を高レベルで所持する事が推奨されている。

 タンクが状態異常に落ちるとパーティが簡単に崩れるからだ。そのため戦士男子もガッチガチに『状態異常耐性』で固めていてエリサの状態異常攻撃が中々決まらない。

 このままユニークスキルを使っても序盤と同じように弾かれることだろう。


 ということで、そんなときに相手を確実に眠りへ落とすための切り札を使う事にした。

【ナイトメア】には、ゼフィルスが切り札と称するレベルのやべぇコンボがいくつも存在する。

 その一つが『闇の檻』だ。


 これは体外状態異常の〈暗闇〉に強制的にしてしまう魔法。

 エリアを指定し真っ暗な闇にしてしまう。範囲は狭いがその中に入っている者の目を一時的に暗闇の檻に閉じ込め、真っ暗で見えなくしてしまうのだ。

 とはいえ物理的な檻では無いので移動すれば簡単に範囲から出られてしまうしょっぱい魔法でもある。アタッカーなんかにはまったく効きやしない。せいぜい嫌がらせの類いだろう。


 しかし、それが動かない盾タンクであれば事情が変わる。というより盾タンクをピンポイントで狙い撃ちした魔法だ。特性を知っていればすぐに範囲から出たであろう戦士男子は、初めての攻撃にまずは防御スキルを発動してしまう。

 だがこれは防御スキル中の相手でも状態異常が付いてしまうので全くの無意味だ。だって真っ暗にするだけだから。


 そして状態異常にする、これこそが狙いなのである。

 強力な〈睡眠〉への誘いが発動する。


「これで終わりよ、ユニークスキル――『ナイトメア・大睡吸』!」


「!! ――まさか――Zzz……」


 闇の檻の中で、何かがドサリと崩れ落ちた音だけが響いた。

 あれだけ状態異常が効かなかった戦士男子が〈睡眠〉の状態異常になって倒れたのだ。

 つまりは『状態異常耐性』を貫通したということ。

 戦士男子は『状態異常貫通耐性』も持っていたが、それを越える状態異常を受け、昏倒してしまったのだ。


 鍵は【ナイトメア】のパッシブスキル『抗えない睡魔の罠』。その効果は「状態異常の相手に〈睡眠〉を使用したとき、高確率で眠らせる」だ。

 ここで強制的に〈暗闇〉にした『闇の檻』が生きてくる。体外系は特殊で、状態異常耐性でも防げないものが存在する。そうして状態異常を付与したところで『抗えない睡魔の罠』が効果を発揮、〈睡眠〉を受けやすくなったところでユニークスキルである『ナイトメア・大睡吸』のコンボを発動すると、大体眠ってしまうのだ。


 状態異常耐性の高いタンクを〈睡眠〉状態にするやべぇスキルである。


「『睡魔の砂時計』っと! さっすがご主人様に教えてもらったコンボ、大成功だったわ!」


 エリサはすぐに〈睡眠〉状態が解除されにくくなる砂時計を出して腕を組んでむふっとした。

 これにより戦士男子はMPを奪われ、レイピア男子はトモヨを抜けず、その間に赤本拠地は陥落してしまったのだった。


 赤チームが持っていた巨城三つが、白チームに渡った。




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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
[気になる点] 対人も拠点破壊もいけて攻撃回復とオールマイティな天使に比べて、初見殺しが多くて対策されやすくユニークも元々付着しやすい睡眠の全体化、拠点破壊もできないって悪魔って弱いなと思った、この話…
[一言] 上級職のギルマス以外かなり弱いギルドっぽいな。あれだけ強いギルマスいて他も強かったら、もっと上のランクにいるだろうから、適正か
[良い点] これはふがいないというよりは、仕方ない。 エデンで言うと、信じて送り出したゼフィルスが格下相手に一乙するなんて!だし。
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