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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第十四章 上級へ進む道。生産職は覚醒する!

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#733 タバサ先輩と作戦会議。Dランク昇格試験の準備




 それぞれのメンバーが動き出す。

 ハンナたちの様子をこそっと確認しながらも、みんな準備を進めてそれぞれ出発していく。

 目的はそれぞれだ。


 ダンジョンの攻略階層を進める者、ドロップを狙う者、そしてレベルの低い〈アークアルカディア〉のメンバーを鍛える者などなど。


 そうして俺たちも、今日から5つ目の中級上位ダンジョン、〈ランク10〉である〈宵闇の祭壇ダンジョン〉の攻略へ向かう。

 というところでギルドメンバーの1人に話しかけられた。


「ゼフィルスさん、ちょっといいかしら?」


「タバサ先輩? もちろん構わないよ」


 話しかけてきたのは〈エデン〉の最年長にして頼れる最上級生、タバサ先輩だ。

 レベルも攻略階層もこれ以上あげようが無いということもあり、後進の育成に努めてくれている。

 今では〈アークアルカディア〉を中心とした新メンバーの指導係に就任してその敏腕を振るっていたりする。頼りになる先輩だ。


 タバサ先輩の教えは評判も良く、その経験則から導かれた指導によって、〈アークアルカディア〉を中心にメキメキ実力を上げてきているという報告が上がってきている。


 元々タバサ先輩は〈テンプルセイバー〉にいた頃から下部組織(ギルド)の育成に力を入れていたらしいので、教えることにとても慣れている様子なのだ。

 安心して任せられる、俺も時間が出来たら新メンバーとダンジョンに行きたい。


 さて、そんなタバサ先輩であるが、いったい何の用なのか。


「そろそろ〈アークアルカディア〉もDランクを目指しても良い頃合いだと思って、相談したかったの」


「Dランク昇格試験の話か!」


 親ギルドである〈エデン〉がCランクギルドになったことで、その下部組織(ギルド)である〈アークアルカディア〉はDランクまで昇格出来るようになった。

 しかし、Dランク昇格試験の条件が満たせなかった影響と、10月はギルドバトル禁止令によって、未だにDランクにはなれていなかったのだ。


 Dランク昇格試験を受けるために必要な条件は『ギルドマスターを含む10人の中級中位ダンジョン三つの攻略』。


 試験内容が〈10人戦〉なため『10人以上のメンバーが必須』なのと、これが結構ネックになりやすいのだが『中級中位ダンジョン三つの攻略』の二点が条件だ。

 本当は他に『Eランクギルドである』なども条件なのだが、これらは(はぶ)いていいだろう。


「元々最上級生だった【ナイトメア】のエリサと【アークエンジェル】のフィナリナは条件をクリアしているわ。他に中級中位ダンジョン三つの攻略を果たしているのは、元々のメンバーだったセレスタンとニーコの2人。あと6人条件を満たせればDランク昇格試験に挑めるわ。もう少しで条件をクリア出来そうなのがサチ、エミ、ユウカ、カイリ、そして【堅固盾士】のトモヨの5人ね」


「なるほど」


「そして【深窓の令嬢】のカタリナ、【犬力者】のフラーミナ、【姫騎士】のロゼッタ、【人魚姫】のオリヒメ、【姫城主】のシャロンを組ませて今はレベル上げと、オリヒメの攻略者の証を入手するために初級上位ダンジョンを攻略中ね。中々に実力を上げてきているわ」


 タバサ先輩の話を咀嚼する。


 つい先日〈道場〉でLV40になった〈新学年〉組が三段階目ツリーを開放したので色々と伝授したばかりだ。

 そこから現在はそれぞれにあったダンジョンに潜り、順調にレベルと攻略階層を更新しているらしい。タバサ先輩が言うには順調とのことだ。


 Dランクギルドに昇格するのは、早いほうが良い。

 人数の上限も増えるしな!

 実はシェリアから1名紹介したい人物がいるのですが、と面接の申し込みがあったばかりなのだ。


 シェリアは俺がヒーラーを求めているのと、男子が欲しいという話を受けて、どうも要望に沿う人を紹介してくれるようなのだ。

 もしこの人物が採用となると〈エデン〉〈アークアルカディア〉の席はいっぱいになってしまう。


 すると素晴らしい人材を見かけたとして、それがスカウト出来なくなってしまうのだ。

 これは問題である。即刻枠を設けなければならない!


 しかしである。

〈エデン〉がBランクに上がれば上限が10席増え、所属メンバーが30人になる。

 だがBランクの〈ランク戦〉をする条件がやや難しく『一度Dランクギルドから〈ランク戦〉を挑まれ、勝利する事』、これが面倒なのである。

 誰か〈エデン〉に挑んでくれるギルドはいるだろうか?


 そんなわけで手っ取り早く枠を増やすのであれば、ダンジョン週間中に〈アークアルカディア〉を育て、11月になってギルドバトル禁止令が解禁したところでDランク昇格試験に挑ませることが最短だ。

 俺もタバサ先輩から話が来る前より考えていた事だった。


 そして実は俺もそれを見越して準備していた事がある。


「その様子だと、何か考えがあるようね」


「もちろんだ。実は四台目の〈馬車〉である〈最上級カラクリ馬車〉がもうすぐ完成予定でな。それをロゼッタに与えて、このダンジョン週間中に中級中位ダンジョン三つ攻略までこなしてもらおうと計画していたりする」


 そう言うとタバサ先輩がやや目を見開いて俺を見つめてきた。

 タバサ先輩と〈馬車〉には小さくない因縁がある。

 もう終わった話ではあるが、まだ全てを流すには心の整理がつかない、といった感じだろうか。

 しかし、少しの間を置いて元の表情へ戻ると俺の言った意味を理解し、頷いた。


「〈ダンジョン馬車〉による高速攻略。ほんと、反則級に強いわよね」


「どうだ?」


 俺は〈アークアルカディア〉の育成責任者となりつつあるタバサ先輩に問うた。

 元々この案はロゼッタが【姫騎士】で加入したときから考えていた事で、コツコツ素材を集めていた。集めていたのは主にアイギスが率いるパーティだったけどな。

 アイギスは自分専用馬車である〈シャインブレイカー号〉のお礼のために、四号車の素材を集めてくれたのだ。

 アイギスたちには感謝しかない。


 おかげで先日、ガント先輩のところに四号車の作製依頼を出す事が出来、完成は明日を予定している。なお、まだみんなには秘密だ。

 本当は明日、アイギスとサプライズでお披露目と思ったのだが、タバサ先輩なら話してもいいだろう。


「いいと思うわ。話を詰めましょう」


「おう。まずはレベリングだが、もちろんボス周回をして素材をゲットしつつレベルを上げる」


「その方法もだいぶ反則よね。どうりで〈エデン〉全体の成長が早いはずだわ。普通は〈道場〉を使うのよ?」


 タバサ先輩はシエラと同じことを言うな。そんな感想を抱きながら俺は自分の頭の中にあった計画をタバサ先輩に引き継いでいく。


「10人いればDランク試験に挑めるけれど、ゼフィルスさんは全員の条件を満たしたい考えなのね」


「ああ。というのも以前に大規模な〈エデン〉昇格テストをした事があったんだ」


 俺は〈エデン〉がDランクになって上限が増えたときに〈アークアルカディア〉から〈エデン〉に4人を昇格させた時の試験内容を話した。


「〈アークアルカディア〉のEランク昇格試験に〈エデン〉の昇格試験も混ぜたのですか。確かに一石二鳥の策。それを今回も実行したいということね」


「おう。〈アークアルカディア〉のDランク昇格試験では、同時に〈エデン〉がBランクになったときに〈エデン〉へ昇格する人材を見極めるテストとしたいんだ」


 前と同じだ。サチ、エミ、ユウカ、カイリは以前昇格ならずだったからな。燃えている事だろう。

 しかし、チャンスが無いメンバーがいるというのはいささか問題だ。それは〈エデン〉の基本方針、『楽しめ』に反する。

 全員に平等にチャンスを与えるべきだ。

 つまりは、今〈アークアルカディア〉で出遅れている、カタリナ、フラーミナ、ロゼッタ、オリヒメさんを重点的に育てようという訳だな。


 その後〈10人戦〉に出場出来るのは10人まで、4人は出場できないが、そこは各自頑張ってほしい。

 とはいえ、〈エデン〉に昇格する気のない、セレスタン、ニーコ、アルルはおそらく参加を辞退するだろうから、希望者は11人だろうな。

 誰がDランク昇格試験に挑めるのか、注目だ。


 俺はその展開を含め、タバサ先輩と打ち合わせをし、話を詰めた。

〈アークアルカディア〉Dランク昇格試験の準備も着々と進行中。


 その後、俺はタバサ先輩と別れて、最後の中級上位ダンジョン。

 ランク10〈宵闇の祭壇ダンジョン〉通称:〈(さい)ダン〉へ挑んだのだった。

 ここは中級ダンジョンの中で唯一〈馬車〉が使えないダンジョンだからな。

 じっくり進んで行こう。まずは20層まで攻略だ!




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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
[気になる点] このランクアップ条件は一体どんな理由で決められたものなんだろう? 下のランクから挑戦される事って、侮られてるように思えるけど。
[気になる点] サクセスブレーン
[気になる点] ランク戦に挑むのに費用がかかる事は分かっているのに 強いところに申し込むギルドはないのでは? Cランクに上がったギルドの初戦に限り無料で申し込めて 挑戦された側が相手を自由に選べるなど…
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