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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第十三章 第二回大面接と〈転職制度〉にクラス替え

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#692 親睦歓迎会! 新メンバー加入に乾杯だー!




「恒例の歓迎会を行なうぜ! ようこそ新しいメンバー達、俺たち〈エデン〉はとても歓迎する! これから共に切磋琢磨し、楽しくダンジョンを攻略しよう! 新メンバーの加入を祝して、乾杯だーー!」


「「「「かんぱーい!」」」」


 ジョッキを掲げて乾杯だ!

 新しいメンバーが8人、タバサ先輩も含めれば9人が新たに加わり、宴会に突入している。

 昨日はクラス替え直後ということもあり、クラスでちょっとした親睦会をしていたので今日になった形だ。


 現在〈エデン〉のメンバーは20人、〈アークアルカディア〉は14人、〈助っ人〉は3人、となって計37人、とても大所帯になった。

 全員揃うのも難しくなってきたかなという規模だが、今日は皆揃って宴会出来た。良き日だ。


 場所はギルドハウス。

 テスト期間やクラス替え、ダンジョン攻略の合間にちょこちょこ模様替えと荷解きを行なって、今や〈エデン〉風のギルドハウスに生まれ変わっている。


 その一つの大部屋、元〈テンプルセイバー〉の円卓の間だったこの場所は今や宴会場だ。

 普段は皆が寛げる空間ということで、Dランクギルド部屋の時の大部屋みたいな雰囲気にしてある、つまりぬいぐるみで溢れている。

 前より部屋が大きくなったからなのかな? ぬいぐるみがさらに増えた気がしているのだが、気のせいかな?


「本当に、ここは明るくて良いギルドね」


「タバサ先輩、楽しんでるか?」


「もちろんよ。ハンナが色々と世話を焼いてくれるの」


「い、いえいえ、そんな大したことはしていないですよ~」


 俺に話しかけてきたのはタバサ先輩だった。後ろにハンナも一緒だった。

 ハンナは誰とでもすぐに仲良しになるからな。タバサ先輩ともすぐに親しくなったようだ。


「ゼフィルスさん、こんな祝いの席で言う事じゃ無いかもしれないのだけど、私が元いたギルドについて顛末だけ聞いてもらってもいいかしら」


「ああ、いいぞ。ダイアス先輩からも少し聞いているしな」


 例の〈テンプルセイバー〉とギルドバトルがあったのはちょうど2週間前だ。

 あれからダイアス先輩たちの〈ホワイトセイバー〉が親ギルドを務める事になり、この2週間、慌ただしくもなんとかやれているらしい。


「結局〈テンプルセイバー〉のギルドマスターだったレナンドルはそのまま継続。サブマスター、私の後任はルーシェという子が務める事になったの」


 それはダイアス先輩からも聞いたな。てっきりカサンド先輩が務めるのかと思ったのだが、カサンド先輩は今それどころじゃ無いらしい。まだ消沈から立ち直っていないそうなのだ。


「ダイアスの頑張りで〈テンプルセイバー〉メンバーの半数が持ち直しているのだけどね。早く切り替えないと就活がより大変になるとは伝えているそうなのだけど。薬が効き過ぎたみたい。良薬口に苦しとも言うし、たくさん反省するのは良い事だわ」


 タバサ先輩の言葉に若干の棘が、まだ〈白の玉座〉の件を根に持っている様子だ。


「〈テンプルセイバー〉メンバーのうち16人は3年生だし今年で卒業ね。それまでに人もギルドも立ち直らせるとダイアスは意気込んでいたわよ」


「さすがダイアス先輩だ。尊敬するなぁ」


 あの姿こそ騎士の鑑だ。職業(ジョブ)は【騎士】系じゃなくて「貴人」系の【正義漢】だけどな。ダイアス先輩にはぴったりな職業(ジョブ)だろう。

〈ホワイトセイバー〉の報告は以上のようだ。

 俺は他に気になっていた話を聞く。


「そういえばタバサ先輩はノエルたちにも色々教えてるんだって?」


「あら、聞いたの? 私はレベルも一番高いし先輩だからね。色々と教えているのよ」


 タバサ先輩も〈エデン〉に加わり、身の振り方を考えている様子だ。今はこの学園で学んだノウハウを下級生に色々と伝授して回っているとのことだ。

 俺も少し教えてもらったけど、リアル特有の参考になる事が目白押しで面白かった。

 さすが最上級生にして元Aランクギルドを支えてきた実力者だ。その経験はとても濃い。

 今度改めて時間を作って話を聞きたいと約束した。


 ハンナにもどんなポーションやアイテムがどんな場所で役立ったとか、こういう商品が上級生は欲しがっているとか、色々教えているようだ。

 ギルドハウスはC道に店を構える事が出来るため、そこで売り出す商品を今生産職側で決めている最中らしい。


「ハンナはくれぐれも無理しないようにな? 頑張ってくれ!」


「もちろんだよゼフィルス君! でもね、お店出すの今すっごく楽しみなの!」


 ハンナは生産職に目覚めてからダンジョンにはあまり挑まなくなったが、ギルドを支えてくれる頼もしい存在だ。出来る限り手助けしてあげたい。

〈錬金術課〉ではマートと呼ばれるフリーマーケットみたいなところで生産仲間と商品を売ったりしていたらしいハンナだが、やっぱりそれでは物足りなかったらしく、念願のお店を持てることになったことにはしゃいでいる。お店を持つのは色々楽しみな様子だ。


 どうもその生産仲間も巻き込むようなので今度挨拶しなくてはいけないな。うちのハンナがお世話になってます!


「あまりゼフィルスさんを独占したら悪いわね。私は引き上げるとするわ」


「あ、私も、ゼフィルス君またね」


「ああ、二人共楽しめよ~」


 新メンバーの幾人かがこちらの様子をうかがっているのに気づいたタバサ先輩がクスリと笑うとハンナと共にシエラの元へ行ってしまった。


 すると、様子を見守っていた新メンバーの何人かがこっちへ来る。


 先頭は10歳くらいの見た目で髪を紫、目を赤に変えている双子姉のエリサだ。


「ごきげんようゼフィルス様、本日はご招待いただき感謝いたしますわ」


「え、だれ?」


 スカートの片方を摘まんで上げ、令嬢のように挨拶するエリサに思わず素の言葉が出てしまった。


「姉さま、今更取り繕っても手遅れですよ。――教官、お招きありがとうございます」


 その後ろからいつも通りのフィナがやってくる。エリサがした挨拶はしてくれないようだ。普通の挨拶だった。


「ええー、そんな事無いわ。エリサちゃんはやればできる子だって印象付けておかないと」


「なんかあったのか?」


「いいえ教官、姉さまは他のギルドメンバーが強者揃いなので震えているだけです」


「その表現はどうなのかなフィナちゃん!?」


 どうやらエリサは緊張しているようだ。

 そう思ったが、次の言葉にそれだけじゃない事が分かった。


「だって私悪魔ッ娘だし、良い子な印象付けておかないとまずい気がしてね~」


「あ~、なるほど。エリサのそのコスチュームも印象の一環なのか」


 エリサはなんと、髪と目をイメチェンしただけではなく、この親睦会に新たな二つの装備を装着していた。その名も頭装備〈悪魔ッ娘の角カチューシャ〉と背中に着けるアクセ〈悪魔ッ娘の翼コスチューム〉である。

 名前の通り、小悪魔のちびっちゃい角とコウモリの翼のコスチューム装備を着けているのだ。

 エリサが悪魔ッ娘だと自ら強くアピールしていた。

 しかしそれが逆に可愛いと、おかげでみんなにとても良い印象を植え付けている印象だ。


「むしろ自分から見せに行くとは考えたな」


「悪魔ッ娘は可愛いんだゾ! って絶賛アピール中よ!」


 エリサは【悪魔】系職業(ジョブ)の【ナイトメア】だ。

 この【悪魔】系というのがほとんど周知されておらず、印象で悪いイメージを持たれることも無きにしもあらず。エリサはこれを気にしてイメージアップを図っていたらしい。

 それは俺も意識外だった。


「悪いな。本当はギルドマスターである俺がフォローしなくちゃいけない案件だったな」


「別に大丈夫よ? 〈エデン〉はみんな良い人たちだしね」


「ええ、誰一人姉さまをそういう目で見る人はいませんでした。むしろ好意的な目で見つめられました。私を含めて可愛がられています」


「そりゃあそうだろうな」


 だって二人共、むちゃくちゃ可愛いし。

 可愛い物好きの〈エデン〉メンバーたちが注目しない訳がない。

 お人形さんみたいなんだよ二人共。


 しかし、それとは別にエリサが不安に思う事は別件だと思う。ここはイメージアップ、いや仲良し度アップに貢献しようじゃないか!


「よし、二人共来てくれ」


「ん? どうしたの?」


「教官?」


「2人に紹介したい人たちがいるんだ」


 そう言って2人を連れ、やってきたのはルルとシェリアがいる場所。

 先ほどからルルとシェリアの視線の熱がすごい。


 それに俺は燃料をさらに追加してやるのだ。


「エリサ、フィナ、ちょっとお互いに正面から両手握手してみてくれ」


「へ、別に良いけど?」


「はい」


 2人は素直に姉妹同士で両手握手した。

 その姿はまさにあのぬいぐるみの姿に酷似していた。

 ルルのキラキラお目々がさらに増す。そんなルルに俺は2人を紹介した。


「ルル、あの〈天魔のぬいぐるみ〉が人間になったぞ!」


「やっぱりなのです! ルルはずっとそう思っていたのです!」


「わわ!」


「きゃ」


 俺の言葉にルルがエリサとフィナの間に跳び付いた。


「わわわ! 愛! すっごいのです! 本物の人間さんみたい、動いているのです! ルルは衝動的に跳び込んでしまったのです!」


 おお!

 ルルが今の自分を実況しながらエリサとフィナを抱きしめていた。

 だれか、だれかスクショを撮ってくれ!


 普段ならたとえ大好きなぬいぐるみであろうと衝動を抑えられるルルが頬をピンクに染めてエリサとフィナに頬ずりする絵がたまらない。

 エリサとフィナは最初こそ戸惑っていたが、次第にルルを受け入れてなでなでし出した。


「すごいのです! ぬいぐるみさんが人間さんになったのです! ルルのお友達になってください!」


「へ? も、もちろんにょ」


「私も構いませんよルルさん」


「わーぁ!」


 ルルの純粋な目に悪魔ッ娘のエリサがたじろいだのは多分気のせいだ。

 こうしてルルの声が大部屋に響くと、メンバーがなんだなんだと集まってきた。


「きゃー可愛いわね!」


「はい、可愛いです」


「あの子たちって双子なんだ、初めて見た!」


「か、可愛いですね」


「る、ルルだけでも尊いのに、増えました。こんなことがあって良いのでしょうかいえいいでしょうゼフィルス殿はよくやってくださいましたこれぞ可愛くて尊い光景の真理でしょうあまりの可愛さに寿命が延びました」


 集まってきた女性陣、ラナ、エステル、ノエル、ラクリッテ、シェリア、など言葉を皮切りにどんどん人が集まってきた。シェリアは寿命延びたの?

 双子姉妹は目を丸くしてキョロキョロ見渡す。


「この2人は俺がお願いして天使と悪魔の職業(ジョブ)についてもらったんだ。特に姉はすごい気合い入っててな、悪魔に就くのなら自分も悪魔ッ娘スタイルにならなくちゃと言って、髪を〈天魔のぬいぐるみ〉の悪魔ッ娘のように染めて、カラコン入れて、悪魔ッ娘コスチュームまで着ける徹底ぶりだぞ」


「すごい気合ね! それにその格好よく似合ってて可愛いわ!」


 俺の説明にラナが良い相づちを打つ。さすがラナだ、俺の欲しい言葉を言ってくれる。

 それから「可愛い~」とか「自分から悪魔になりきりに行くってすごいね~」とか「本当にお人形さんみたいだわ」とか言われて女子に囲まれる双子姉妹。

 その見た目も相まって一気にギルドの人気者になってしまった。


 ルルだけじゃなく女子は皆抱きしめたりしている。

 これで仲良し度は大上昇だろう。


 揉みくちゃにされる中、僅かな隙間から双子姉のエリサと目があった。

 するとエリサはへにゃんとしたような、緊張が抜け、まるで感謝と脱力が混ざったような笑顔をしていたので、親指を立てて送り出してやるのだった。





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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
[良い点] よかったね、もしこの二人が敵になったらみんなは攻撃が出来なかったかも知れない。
[良い点] ルルかわいいなぁ
[一言] ハンナ様の出番が… ハンナ様ストーリーがあっても、こっちでの活躍もっと!
感想一覧
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