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#073 かっこいい系も良いが、たまには熱血系も良い。




 ギルドバトル〈城取り〉はポイント制の競技だ。

 各フィールドに複数設置された城を落とすとポイントが入る。

 しかし、城には防衛するモンスターが配置されている。このモンスターを倒す、もしくは回避し、城のHPを削っていかなければいけないわけだ。


 フィールドはエリア分けされて平面充填(へいめんじゅうてん)、所謂タイル貼りの形になっている。リバーシ盤を想像してほしい。


 これが面白い仕様でまんまリバーシのように各エリアに2mほどの小城が配置されており、それを落とすと自陣の取得物となり同時にポイントが入る。そして、自陣と隣接されたエリアマスの小城が取得可能になる仕様だ。

 リバーシと同じで離れた所、自陣と隣接していない関係ないエリアの小城は落とせない。落としたとしても取得物にならず、すぐ復活してしまう。


 そうして行進を繰り返し、特大のポイントを溜め込んだ巨城へ向かい、城を落とす。

 ポイントは、小城(こじょう)なら10P。巨城(きょじょう)なら2000Pだ。

 そうやってポイントを稼ぎながら勝利へ突き進むわけだ。


 当然、妨害は――有り。


 〈城取り〉はリバーシに似ている。自陣で取得したエリアを敵陣に奪われる事も当たり前だ。

 城は落とされた後、落としたギルドの所有物となり城はHPが全回復する。これをまた0までダメージを与えれば敵陣の持ち物になる、あとはそのループだな。


 当然ながら奪われないよう防衛に人を配置して城を守るというやり方がある。これを〈援軍〉と呼称している。

 〈援軍〉を配置すれば当然起こるのが、――対人戦だ!


 片や城を守り、片や城を取りに行く。そこに対人戦の熱き戦いが巻き起こるのだ。

 これが最高のエンターテインメントになり、会場は大いに盛り上がる。

 ゲームでも、横からコメントが入って会場が賑わっている事を教えてくれる仕様だった。


 他にもまだまだ細かい設定はあるのだが、そろそろ次に行こう。



 次はフィールドについて、

 今回のフィールドは最も大きく、難易度が最高峰の〈九角形〉フィールド。


 巨城が9つも配置され、各頂点付近(角の近く)に配置された城を巡って大規模な進行があちらこちらで巻き起こる。

 至る所でドンパチが起こるので大衆を飽きさせない人気のフィールドだ。


 今回は〈30人戦〉、つまり両ギルドがメンバーを30人ずつ出し合ってバトルするという形式になる。

 〈九角形〉のように大規模なフィールドだと、これくらい人数が居なければ盛り上がらない。


 そして両ギルド30人というのは、かなりの規模だ。

 例えばBランクギルドは最大30人しか所属出来ない。そのため、もしやるとしたら総力戦になる。当然ギルドには非戦闘員も居るわけだから30人フルメンバー揃えたとしても数合わせ(非戦闘員)がいる時点で相当不利。つまりほぼ負けが決定する。



 〈30人戦〉〈城取り〉、そして〈九角形〉フィールドというのはAランク以上だからこそ成立する、迷宮学園にとって最大級のギルドバトルだ!




 そう(ねつ)を入れて説明すると、全員がぽかーんとした様子だった。


「ゼフィルス君が、熱い…」


「こ、こういうのも悪くないわね。むしろ良いかも」


「男の子って感じね」


「はい。普段の格好良い系も良いものですが、熱血系も良いですね」


 そして何故かギルドバトルとは関係ない感想が返ってきた。


「君たち? ちゃんと話聞いてた?」


「聞いていたわ。ちょっと面食らっただけよ。ありがとう」


 少し頬を染めたシエラが視線を逸らして礼を言った。

 く、なんだその反応、可愛いじゃねぇか。


 他の女子も少なからず顔が赤い。

 なんだその反応は? モテ期か? 俺にモテ期が来たのか?


「こほん。感謝してあげるわ。その、途中から聞きそびれてしまったけれど…」


「ラナ様に代わりお礼申し上げます。――ラナ様には後で私から説明しますね」


 ラナが礼ともつかない事をえらそうに(のたま)いエステルがフォローする。

 いつもの光景か?

 最後の方は二人とも小声だったので聞き取れなかったが。


 隣のハンナを見る。


「はぅ。ち、近い…」


「そりゃ席が隣だからな」


「そうなんだけど、そうじゃないというか。とにかく向こう向いてて。説明してくれてありがとうゼフィルス君」


「えぇ? どういたしまして?」


 追い払われるのかお礼をするのかどっちかに絞ってほしい。あ、追い払うのはやっぱやめて。


「そろそろ始まるわね。ゼフィルス、解説も頼んで良いかしら。ルールは分かったけれどやっぱり初めて見るのだし、分からない事も多いと思うの」


「ああ。いいぞ、任せておけ」


「なんだかゼフィルス君ってシエラさんに甘い気がする…」


 そんな事は無い、と思う。

 シエラはなんでもそつなくこなすタイプに見えるからか頼られるのが新鮮なだけだ。


「お、両ギルドが出てきたな」


 開始時刻が迫り、両ギルドが登場する。


 〈九角形〉の中央付近で向かい合う形で並び、お互いに一礼。その後自分の城へと向かっていった。

 その(陣地)の距離はエリア20マスあるためかなり離れる。

 そして両ギルドは総勢30名を1エリアに納めて準備し始めた。


「見えるか、両ギルドの定位置、あれが〈本拠地〉だ。自陣のスタート地点であると同時に絶対に落とされちゃいけない城でもある」


 東側に構えるAランクギルド〈千剣フラカル〉は赤色の城。

 西側に構えるSランクギルド〈キングアブソリュート〉は白色の城を陣地にしている。


「え? 落とされるとどうなるの?」


「負け。ではないけどな。取得していた巨城が全て敵陣の物になるだけだ」


「ええ? それって大変な事じゃ…」


「当然、大変なことだ。そして最も燃える展開が、ポイントで負け、取得物で負け、人数でも、力量差でも負けていたのに、一発逆転で勝利が狙えるところだな。あれが決まると本当に爆発したみたいな歓声と熱気が会場を包み込むんだ。あの喝采は最高だぜ?」


「へ、へぇ?」


 おっといけない。また熱くなりすぎるところだった。

 俺は咳払いをして空気を一度リセットする。


「そうされないよう、巨城へ割り振る人員、防衛に割く人員、相手の〈本拠地〉へ向かう人員と上手く指揮する必要がある。これはあくまでギルドとギルドの対決であって個人の勇士だけではどうしようも無い。故に俺も含めてギルドは多くの優秀なギルドメンバーを集めているわけだな」





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― 新着の感想 ―
[一言] 〈城取り〉のルールが説明不足です。 ・9つの角があるリバーシ盤って想像できません(奇数の角が問題点)。 ・自軍のものであった各エリアの城への本拠地からの連絡線が敵軍の侵攻により切られた場合、…
[一言] どうにも絵でもないと説明が分かりにくく感じます
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