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#059 メンバー揃って、ハンナが震える。



「これでメンバーが揃ったな」


 シエラを引っ張ってきて一言。全員が俺たちに注目した。


 中でも王女とエステルは、やっぱり、まさかといった表情だ。

 二人とも、そんな気はしていたのだろう。


「まずは自己紹介と行きたいとこだが、王女とエステルはその反応から察するにシエラの事知ってたのか?」


「当然でしょ。〈王家の盾〉の者を知らないはずないじゃない」


「〈王家の盾〉?」


 何かの装備名だろうか? しかし脳内検索してみたが〈ダン活〉データベースにそんな名前の装備は存在しない。


「私の家の異名よ。家は代々優秀な盾職を多く輩出してきたの。王家の子息に当家の護衛が選ばれることも少なくなかったわ」


「それだけではありません。54年前に起こった大規模なダンジョン氾濫ではマルグリット家が国に侵攻するモンスターを防ぎきり、国の被害をほぼ皆無にまで抑えました。その伝説の御業は今でも騎士家で語り継がれております。その褒賞として、マルグリット伯爵家は王家を護衛する名誉を賜ったのです」


 シエラが素っ気なさそうに、しかし自慢の家であると言うように答えると、エステルが頬を上気させながら追加する。

 ちなみにマルグリットとはシエラの姓で、本名はシエラ・マルグリットというようだ。


 エステルも護衛する者として、そんなマルグリット家に尊敬と羨望を抱いている様子だ。

 聞けばエステルとシエラも昔からの知り合いだったらしい。家同士でたまに訓練する程度と言っていたが仲は悪くないようだ。


 王女は〈王家の盾〉の名前と顔だけは全員覚えていた。と、そんなことはなく、単純に王女の成人後の護衛候補だったのでシエラは覚えがあったようだ。


 シエラも16歳で優良職に就けた場合、王家の護衛に抜擢される可能性が高かったらしい。

 シエラは【盾姫】。盾職の最高峰なのでばっちり最有力候補だろう。


 ちなみにエステルは【近衛騎士】の条件を満たしていたため王家の護衛になる事はほぼ決まっているらしい。幼い頃から歳も同じのラナ王女の護衛見習いもしていたようだ。

 職業を【姫騎士】に変えても大丈夫かとも思ったが、【姫騎士】の方が【近衛騎士】より圧倒的に優良職のため家から二つ返事で問題なしがもらえたと言っていた。


 なんか話が長くなったが、

 要は護衛する側、される側で顔見知りであり、自己紹介は不要とのこと。


 となると、残りはハンナだが、ハンナは貴族の子女を前にしてガチガチに固まっていた。

 そっと近くに寄ると、泣きそうな顔で見上げてくる。ちょっと可愛い。


「ゼフィルス君、私聞いてないよぉ」


「ああ。知らせたところで何が出来るわけでも無いし。なら知らせてあげないほうが幸せかなって」


 知らないほうが幸せなこともあるってあれだ。なお、知ってしまうととても不幸になってしまう。


 すまんなハンナ。


「酷いよゼフィルス君~」


「まあ、慣れろ。ハンナの方がレベル高いんだから堂々としてれば良いんだって」


 貴族王族なんて関係ない。

 〈ダン活〉ではレベルこそが正義だ。

 分不相応なレベルは身を滅ぼすけどな!


 まあ、ハンナは俺の指導により寄り道させず錬金に超特化させてるから問題ないだろう。


 そう伝えたのだがハンナの表情は思わしくない。


「大丈夫? 牢屋に入れられたりしない?」


「ハンナは貴族をなんだと思ってるんだ?」


「ゼフィルス君こそ、御貴族様だよ、王女様だよ。なんだと思っているの!?」


 え、優良職に就けるカテゴリーだろ? うん、知ってる知ってる。


「何考えてるのか分からないけど、絶対違うと思う…」


 ハンナが俺の思考を読んで否定するが、ハンナこそ考えすぎだと思うぞ。


「まあ、大丈夫だから話しかけてみな? ――王女さんたち紹介するな。うちのギルドの生産担当。【錬金術師】のハンナだ。〈ダンジョン生産専攻・錬金術課〉に入ることが内定している」


 ハンナの背中を押しながら王女貴族組に紹介するが、何故か最後の部分で驚いたように「私内定してたの!?」という顔でこっちを見るのは何故だ? 

 入学するときに希望を出しただろうが。希望通りの職業(ジョブ)に就けたらあとは自動で内定取れるんだよ。なんで知らないの?

 まあ、それは置いといて紹介を進める。


「今までコンビ組んでダンジョンに挑んでてな。ちなみに【錬金術師LV22】だ。将来有望だぞ?」


 そう言って締めると〈姫職〉組の関心を引くことに成功した。


「レベル高いわね…。1年生で今の時期にLV20超えって歴代でもいないんじゃないの?」


「はい。ゼフィルス殿だけが別格だと思っておりましたが、どうやら優秀なサポーターに恵まれていたようですね」


「入学式以来になるけれど、ずいぶん差がつけられてしまったわね。これから同じギルドの仲間になるわ。よろしくねハンナさん」


「は、ひゃい!」


 ハンナがガチガチなのは変わらないが、彼女たちにも受け入れられたみたいだ。


 というかハンナは入学式の時シエラと普通に話していただろ。あんな感じで大丈夫だって。

 え? あの時は御貴族様って知らなかった? でも無礼打ちとかされなかっただろ、大丈夫だって。


 ハンナが溶け込めるのはいつになるかねぇ。





今日はもう一話投稿します。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 貴族だから、というより、ジョブで気後れしそう ハンナだけ他と比べてやや平凡だからな 普通よりは優秀なんだろうけど、 他のメンバーのジョブが頂点すぎる
[一言] マルグリット伯爵家は王家を護衛する名誉を賜ったのです 当時の王様「この功績を称えてマルグリット家を侯爵に陞爵する」 主人公「盾姫になれなくなってる」 なんてことになる可能性もあったんですね…
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