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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第十一章 〈ダン活〉クラス対抗戦!!

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#536 ー最初の決着ー。最下位クラスと強制退場。




「アディ!?」


「レミちゃん。拠点が大変、セーダンをすぐに拠点へ向かわせて。私が彼を足止めするから」


 アディと呼ばれた「熊人」の少女は拠点方向から合流してきたようだ。体よりも巨大なハンマーを片手で操ると肩に乗せながら告げる。ハンマーが振られる時、ブオォンという風切り音が聞こえてきた。

 普通はデカすぎて持てないロマンハンマーだ。


「そうね。ここで誰かが勇者君を止めないと! 私もやる!」


 レミちゃんと呼ばれたハリセン少女も弓を構えて前に出た。

 しかしアディは辺りをキョロキョロ見回す。


「それで、他のアホバカマヌケ共はどこ?」


「……みんな退場しちゃったわ」


「……あんのアホバカマヌケー!!」


 一瞬、ハリセン少女の言う事に目をパチパチしたあと、アディと呼ばれた少女が噴火した。


「アディ、落ち着いて!」


「フゥー、フゥー。……大丈夫。私は落ち着いて、落ち着いて……、やっぱり後であいつらボコる!」


 どうやら〈2組〉男子たちは俺にボコられた後にもボコられるらしい。やめてあげて! 彼らのHPはもうゼロよ!(事実)


「アディ、いつも通り、援護は任せて。思いっきりあばれちゃって!」


「うん」


「セーダンは拠点へ戻って! 拠点が大変なんだって! 防衛モンスターは例のパターンDよ!」


 レミちゃんが未だリカと戦っていたセーダンに声を飛ばす。


「ああ、聞こえてる。リカさん――この勝負、預けた」


「――む。さすがに追いつけないか……」


 セーダンはそう告げるとリカから距離を取り、そのまま拠点へと全力で駆けていく。

【大拳闘士】のセーダンはAGIがそこそこ高い。タンクのリカではセーダンに追いつけそうに無かった。リカとの戦いはセーダンの不利だったこともあり、セーダンはわき目も振らず、拠点へと撤退していく。


 リカは眉を寄せてそれを見送るとこちらに向いた。


「ゼフィルス、手伝おうか?」


「いや、リカも向こうに合流してくれていいぞ」


「そうか。では、私も拠点へ向かおう」


 そう軽く打ち合わせしてリカも走ってセーダンの後を追っていった。


「隙、あり!」


 そっちに気を取られていると、アディがとってもでかいハンマーを躊躇なく振り下ろしてきた。


「――『インパクトガオー』!」


「おっと『ディフェンス』!」


 これは避けちゃダメなやつ。このスキルは回避追撃スキル。避けると地面にクレーターを作って衝撃で回避した敵を吹っ飛ばす二段仕様のスキルだ。防御スキルで対処するのが正解。

 俺のさっきのスピードを見て避けると判断してこれを選択したのか。本当にやるなぁ。


 巨大ハンマーと天空の盾が激突する。

 そしてそのまま拮抗する。


「く、押し込めない」


「そう簡単にはやらせないぜ?」


「さすが勇者。一筋縄ではいかない。避けてくれればよかったのに」


「はっは。さすがにそのスキルは避けたくないね」


「―――このスキルを知ってる?」


「もちろん。よく知ってるぜ」


「そうなんだ。一つ言いたい、………貴方には感謝している」


「うん? 唐突(とうとつ)だな」


「ずっと、お礼が言いたかった。私の職業(ジョブ)は【森の(ぬし)】。これに就けたのは貴方がモンスターを倒すべきだと教えてくれたから」


「【森の主】、高位職、高の上か!」


「それも知ってるんだ」


「優良職だよなぁ。攻撃力マジ強いし。だが、俺が原因だって誰から聞いたんだ?」


「それくらい分かる。貴方は行動しすぎ」


「ハッハッハ、忠告感謝」


「うん。でもそれとこれとは話が別。簡単には勝たせてあげないから」


「! おっと狙撃か」


 アディのハンマーと拮抗していたら、横から矢が迫った。

『直感』と『超反応』が仕事してスウェーで回避する。

 そのままバックステップすると、アディがすぐに追いかけてきた。


「追撃する。ユニークスキル発動! 『森の王者』!」


「スキル攻撃ができなくなる代わりに自分に強力な強化を施し、さらに通常攻撃の威力が大きく上昇するバフだな」


 スキルが使えなくなるという非常に大きなデメリットがある分、【勇者】の『勇気(ブレイブハート)』よりも補正値の高い強化(バフ)スキルだ。


「!!」


 俺の言葉にハンマーを振り上げた状態で目を見開くアディ。驚いてるなぁ。

 なるほど、スキル攻撃では回避されると踏んで通常攻撃で仕掛けてきたようだ。


「博識」


「そりゃ、どうも! 『シャインライトニ――おっと矢!」


 魔法を使おうとしたところで『直感』が発動する。

 ハリセン少女の矢が予想以上に的確に魔法の発動を妨げていた。


「させない!」


「らぁ!」


 俺はまた足を使って動く。

 そこへアディがバフで強化されたスピードとパワーで突撃する。


 ハンマーの振り下ろし、振り払い、たまに矢が飛んでくる。

 それを『直感』と『超反応』のスキルに逆らわずに回避に専念する。


 凄まじい威力だった。

 ハンマーが薙ぐ度にブオォォンという風切り音が鳴るし、地面に命中すればその部分は面白いように砕けクレーターが出来る。もしくは抉れて消える。

 通常攻撃がこの威力とかマジ半端ない。


 スキルを発動するタイムラグを嫌いスピードのある通常攻撃に切り替えたのは素晴らしい判断だ。ユニークスキルの使いどころも良い。なんだか回避型を相手に戦い慣れている感がある。

 しかし、装備が巨大ハンマーじゃ、いくら通常攻撃に切り替えたところでまだまだ俺を捉えることはできない。


 まあ反撃も出来ないのだが、反撃しようとするとハリセン少女の矢が邪魔をするんだ。

 結構、いやかなり良いコンビネーションだ。この2人、本当に対人で戦い慣れてるな。連携力も非常に高いぞ。


「『ライトニング――おっと!」


「させない!」


 反撃しようにもハリセン少女の撃つ矢がベストポイントで差し込んでくる。


「くっ、当たらない!」


「そりゃ、そんなデカいの当たりたくないからな! 足止めると矢が飛んでくる、し!」


「でも、時間稼ぎには成功している」


「やりづらくはある。あのハリセン女子も良いタイミングで矢を放ってくるな!」


「……ハリセン女子じゃない、レミちゃん。レミちゃんはすごく、優秀!」


「みたいだな!」


 会話しながらもガンガン攻撃してくるアディとレミ。

 俺も避けながら会話しつつ、この後どうするかを考えていた。

 まだ四段階目ツリーのクールタイムが抜けない。それに『森の王者』発動時間は残り少ないと予想する。『森の王者』が解除されたら、――反撃開始だ!


「む、なんで反撃してこない?」


「さて、なぜでしょう?」


「舐められてる?」


「別に舐めてないさ。反撃の糸口を、ちょっと探っていただけだ」


「戯れ言。さっきまでの貴方なら、できる、はず。らぁ――『インパクトガオー』!」


「むっ」


 アディは『森の王者』の効果が切れた瞬間、間髪入れずさっきも使った回避追撃スキルを使った。完璧なタイミングの切り替え、さては計ってたな?

 俺は回避に重点を置いていたので完全に避ける体勢だ。ここから受けに行くのは厳しい。


 俺は盾を前に出し、防御する構えをして――合図した。


「取ったっ!」


 思わずと言ったようにアディが喜色の声を出す。

 ここで俺の体勢を大きく崩せばレミがなんとかすると思っているのだろう。


 しかし、コンビネーションは2人だけのものではない。

 ――こっちにもまだ、味方がいるのだよ。


「――『バリアウォール』!」


「嘘!」


「ナイスミサト!」


 それはずっと〈バリケード〉の外側にいたミサトの結界だった。

 アディと俺を阻むように出現した壁の結界が全ての衝撃を防ぎ、さらに追撃で放たれていた矢も受け止めた。思わずナイスと口から出る。

 チラッと見るとミサトはワンドを向けながらピースしていた。


 さすがはミサト、完璧な仕事(差し込み)だ。

 さて、頼みの綱の『森の王者』が切れたな。


「さ、ここからは反撃の時間だぜ!」


「来るか!」


 今まで振り回していたハンマーを握りしめ、迎撃の構えを見せるアディにスキルを発動する。


「――『聖剣』!」


「――『パワーストライク』!」


 右から回り込むようにして接近し、レミからの矢を回避しつつ『聖剣』を発動すると、振りにくいだろうにしっかりとハンマーを合わせてきた。やっぱり優秀だな!

 しかし、今放つは四段階目ツリー、これは防げないぜ。

 そう思った時だった。




 ―――それは唐突に起こった。


「え!」


「あ!」


 アディの足元に見慣れた転移陣が表れたのだ。

 それは強制退場の転移陣、アディのHPは、未だに減ってもいない。


「きゃ――」


「わ――」


 しかし、アディと、そしてレミも、一瞬で転移陣に包まれて消えてしまうのだった。


 振り切った剣が何も手ごたえを感じさせなくて寂しさだけが残った。


「――え? ゼフィルス君、何かしたの?」


 ミサトも現状を理解できず、俺に聞いてくる。

 しかし原因に心当たりがあった俺は肩を落とすことしか出来ない。


「え~、マジか……。これから反撃だったのに」


 マジか、本当にマジか。反撃の狼煙の『聖剣』が~。

 これは残念過ぎるぞ!


「ゼフィルス君?」


「あ、ああ。俺が原因じゃない。いや、俺が原因なのか? まあともかく〈2組〉の拠点に行くぞ。それで全てがはっきりする」


 百聞は一見に如かず。

 とりあえず、障害(足止め)は居なくなったのだから〈2組〉の拠点に送ったメンバーと合流しよう。

〈MPハイポーション〉を飲みながら、ミサトと共に拠点へ急いだ。


 そのまま、南へ下ると、山の裏側に〈2組〉の拠点を発見する。

 しかし、その様子は少しおかしい。


「おいおいおい、こりゃマジか」


 思わず足を止める。

 そこで見たものは。


〈2組〉の拠点が、胸に〈24組〉と描かれたシールを貼り付けている集団と青のスカーフを巻いた集団によって陥落した光景だった。


 土産を持って帰ると息巻いてた〈天下一大星〉たちはどうした!




 途中経過――〈残り時間:3時間40分00秒〉

〈1年1組〉『残り人数:29人』『ポイント:99点』

〈1年2組〉『残り人数:―人』『ポイント:―点』最下位

〈1年15組〉『残り人数:27人』『ポイント:0点』

〈1年24組〉『残り人数:25人』『ポイント:367点』

〈1年45組〉『残り人数:24人』『ポイント:31点』

〈1年58組〉『残り人数:30人』『ポイント:0点』

〈1年99組〉『残り人数:30人』『ポイント:0点』

〈1年116組〉『残り人数:30人』『ポイント:0点』



挿絵(By みてみん)

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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
主人公に女キャラ倒させたくないんだろうなあってのが透けて見えて萎える
勇者の強さの整合性がとれない。 高位職・上級職とはなんだったのか? レベル差だけで考えても瞬殺できていいじゃないの? 圧倒勝ち出きる要素がこれでもかとあるのにこの様は違和感しかありません。 これまでの…
[気になる点] この戦いで勇者の上級職弱くないかって感じた。上級職のくせに下級職に苦戦してるじゃん。てか4ツリのクールタイム長くない?クールタイム減少のやつあってそれなの?
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