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#387 20層も無事終了。〈猫ダン〉1日目の終わり。




「これで終わりよ! 『聖光の耀剣』!」


「グニャ!? グ……ニャ……」


「やったわ!」


 ラナの『聖光の耀剣』がズドンと突き刺さり、20層フィールドボス〈波猫のウミニャ〉がエフェクトの海に沈んで消える。

 Bチームが単独でフィールドボスを倒したのだ。

 ラナたちがハイタッチを交わして勝利を喜んでいた。


 俺たちAチームは側で見学中だ。

 ボス戦が終わったようなのでBチームの元へ向かう。


「お疲れ様。見事な勝利だったよ」


「ふふん、でしょ?」


 おお、ラナがドヤッている。

 今回ラナは大活躍だったからな。今回の〈波猫のウミニャ〉も魔法が弱点だったんだ。

 それに、道中攻撃魔法が小さい猫に当たらず、ずっと攻撃魔法をズドンと決められずに不満だったラナだが、今回の戦闘では魔法のオンパレードを決めスッキリした様子だった。


 シエラも話に加わる。


「強敵だったけれど、ゼフィルス抜きで倒せたわ。この先もなんとかなりそうかしら」


「そうだな。シエラはいつも通り素晴らしいタンクだったよ。その調子なら中級はまず問題無いだろうな」


「シエラさんお疲れ様です。お水をどうぞ」


「ありがと」


 今回、Bチームは単独で中級中位ダンジョン20層のボス戦に挑んだ。

 俺たち〈エデン〉にとって最前線に当たるボスを、俺抜きのパーティで挑んだのだ。

 これは、何気に初めての経験である。

 最前線のボスを相手にする時はまず俺が参加していたからな。シエラは口には出さないが緊張していたようだ。俺を頼りにしてもらえているようでちょっと嬉しい。


 しかし、見ている限りシエラのタンクは非常に安定していて隙が無い。

 たとえ初見のボスでも堅実に盾をしており、中級下位(チュカ)を攻略していた時よりさらに腕を上げていた。

 不安にならなくても大丈夫だ。

 そう言い聞かせる。


 補助班のハンナから水筒も受け取り、やっと落ち着いたようだ。

 ハンナが他のBチームメンバーにも水を持っていくと空気が落ち着いてくる。


 戦勝ムードが一段落したところで、お待ちかねの宝箱だ。


「〈銀箱〉ですね」


「なによ。〈小判〉持ってるのに〈金箱〉じゃないわよ?」


 エステルの声に反応し、ラナが俺に振り返って言う。


「まだ〈小判〉は未強化だからな。今日のダンジョンはこれで終わりだから明日までに強化しておくよ」


 〈小判〉の初期能力は〈スキルLV1〉だからな。〈金箱〉が出る確率はほんの少ししか上がらない。

 早く強化したいぜ。今こそ貯めに貯めた〈スキル強化玉〉を使う時だ。


「でもボスの素材ドロップは増えてるわよ」


「あ、本当ですね。これが〈小判〉の能力ですか」


 シエラが指摘したとおりボスの素材は運良く1個多めにドロップしていた。

 エステルが感心した様に言って回収する。

 ちょっと反応が薄いのは道中パメラの装備品〈解体大刀(かいたいだいとう)〉によってたまに起こるドロップ2倍の光景を見てきたからだろう。


 Bチームでは道中のモンスターはパメラが積極的にトドメを刺していた。トドメを〈解体大刀(かいたいだいとう)〉で斬らなくてはドロップ2倍効果が現れない。

 ちょっと不便だが、〈解体大刀(かいたいだいとう)〉には『動物キラーLV5』も持っている、動物型モンスターに特効を持つのでそんなに苦でもないようだ。トドメは刺しやすいらしい。


 全員で〈銀箱〉の前に集まり、じゃんけんで勝利したラナが開けるのを見守った。


「開けるわね! …………何かしらこれ?」


 宝箱から出てきたのは、見た目が完全に猫じゃらしだった。

 ただしピンク色の。ペットショップなんかに売っているような猫じゃらしの玩具だ。


「ゼフィルス、これなにかしら?」


「テイム専用アイテムだな。名称〈(たくみ)の猫じゃらし〉。【魔獣使い】系の職業(ジョブ)持ちなんかが猫型モンスターをテイムする時、成功率を大幅アップするレアアイテムだ。結構出にくい方のアイテムなんだけどな」


 これも猫型幸運系アイテムの1つだ。〈猫ダン〉は確率上昇系が出やすい。


 また、猫型モンスターは非常に強い。

 単体モンスターだからな。能力値は普通のモンスターより非常に大きい。

 だが、それだけにテイムの成功確率は他のモンスターよりかなり悪かった。かなりというか、普通にテイムしようとしても99%失敗するレベル。

 テイムするためには〈匠の猫じゃらし〉のような確率上昇アイテムは必須だった。


 そう説明すると、皆は感心したようにラナが持つ猫じゃらしを見つめる。

 エステルだけが「テイム……」とぼそっと言っているのが妙に気になった。ダメだぞ?


「さて、もう日が暮れる時間だ。今日はここまでだな」


「そうね。なんとか予定通り20層までたどり着けたわね」


「1層で猫の(その)鑑賞会になった時はヒヤッとしたけどな」


 俺が切り上げ宣言をすると、シエラがなんとかなったわと言わんばかりに溜め息を吐いた。ほんと、俺も間に合うかとヒヤヒヤしたぜ。場合によっちゃエステルの馬車でピストン運行も考えていたが、日暮れまでに目標の20層に到達できて良かったよ。


 20層のショートカット転移陣を起動し、みんなで帰還する。

 最後に、ラナからこんな提案があった。


「ねえ。この猫じゃらし、エステルが欲しがっているようなのよ。渡しても良いかしら?」


「……ダメ」


 〈匠の猫じゃらし〉はリアルではなんか危険な匂いを感じ取ったので俺が預かる事になった。

 エステル、普通の猫じゃらしで我慢しなさい。


 その後、寡黙な先輩もといガント先輩の下を訪ね、〈金猫の小判〉2つとも〈スキル強化玉〉でフル強化してもらい、その日を終えたのだった。

 今まで〈銀箱〉でコツコツ稼いでいたので〈スキル強化玉〉はまだまだ残ってる。また〈ゴールデンニャニャー〉出ないかなぁ~。





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― 新着の感想 ―
[一言] 匠の猫じゃらしは普通の猫に使っても効果が……ないかなあ。
[一言] 匠の猫じゃらしは普通の猫に使っても効果が……ないかなあ。
[気になる点] これで金箱の出現率はどのくらいになるんだろう?通常は1%なんだよね?5%くらいにはなる?
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