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#039 サブクエスト〈注文素材を納品せよ〉! 

本日は5話更新の日です。最新話から来られたからは#035話からお読みください。




 ハンナの思わぬ裏切りっぷりにマリー先輩が「なぁおかしいやろ? うちもう17歳やのにこんな…、5年前から体型も身長も変わらへんねん!」「え、ええっと…」と切ない訴えをしてハンナが狼狽えている頃、まったく知らないゼフィルスはのんきにショッピングしていた。




 ――――――――――




「お! 『MP自動回復LV1』の付いた〈真魂のネックレス〉じゃん! お店の人! これくれ、ついでに13万ミールに負けてくれ」


「帰れ」


 おっと痛烈な返答。

 赤い刺繍の入った白のブレザーに紺の長ズボンという制服を見るに3年生の先輩だが、一瞬で斬ってくる当り相当場慣れしていると思われる。

 まあ俺も30万ミールの商品をいきなり13万ミールでくれと言われたら同じ事を言うかもしれない。


「まあまあ、話を聞いてくれ彫金屋(ちょうきんや)初級下位(ショッカー)素材は足りてるか? 今いくらか持ってるんだけどさ。それに追加で欲しければ取ってくるぜ?」


「………いいだろう」


 お、やはり。

 こういう相手は利益をちらつかせれば交渉は可能だ。

 今は一年生が入学した直後の季節で初級下位(ショッカー)素材が全体的に品不足になっている。どこのギルドもなんやかんや欲しいはずだ。

 確認したら学園の購買でも初級下位(ショッカー)素材の在庫は品薄だったので、そこをついてふっかけてみよう。

 どこに行っても売ってない素材ですと言えば価値が上がるからな。

 幸い、【彫金師】系の素材はマリー先輩のところにあまり持っていかれなかったので交渉の余地はあると思ったんだ。


 寡黙な先輩の後を追いギルド内スペースにお邪魔する。



 交渉の結果、さすがに初級下位(ショッカー)の雑魚モンスター素材で30万ミール分を捻出するのは無理だったので、クエストという形になった。

 まず10万ミールで〈真魂のネックレス〉を仮購入する。残りはツケで素材を卸して支払う形だ。


『サブクエスト〈注文素材を納品せよ〉を受注しました』

・寡黙な先輩が欲しい初級下位(ショッカー)素材を規定数納品する。

・報酬:〈真魂のネックレス:防御力2。『MP自動回復LV1』〉。



 脳内にアナウンスが流れたことで正式にクエスト受注の契約が結ばれた。


「じゃ、多分今日中には集まると思うから、また夕方に」


「ああ」


 それだけで会話が成立する不思議。

 寡黙な先輩は商売人に向いてないなぁ、職人のような気質の人だった。と思いながら店を出た。


 そろそろハンナの方も注文終わってるかな?

 ショッピングしてたらクエスト受けていたからな、少し時間が経ちすぎていたようだ。

 少し、急ぎ足で戻る。


 〈ワッペンシールステッカー〉の店に入ると、何やら空気が変だった。


「あ、ゼフィルス君おかえりなさい」


「兄さん、現実って残酷やわ」


「マリー先輩はどったのこれ?」


 なんかマリー先輩の目が虚ろになっている。

 マンガなんかで見る、顔の上半分に影が出来てどんより、みたいな感じだ。

 ただの注文で何があったんだ?


 視線でハンナに問いかける。


「え、えっと。あはは」


 苦笑いで流された。つまりは言いづらいことって事か。

 とりあえずマリー先輩には触れないようにしよう。


「これからダンジョンに行くんだが、ハンナも来るか? LV的に俺が追いついてないからソロでレベル上げしても良いんだが――」


「い、行く! すぐ行く!」


 とりあえず話をずらすことにして、ダンジョンに誘ったらなんか食い気味にハンナが反応した。


 なんか、ここからすぐに離れたいような意思を感じたが、気のせいか?


 何故か意気消沈しているマリー先輩に声を掛けて、その場を後にした。






 ハンナと共に初ダンにやってきた。


「ハンナ、さっき注文はちゃんと出来たのか?」


「う、うん。それはちゃんと」


「まあ、ならいいけどさ」


 余計なことには触れないで用件だけ訊きだして、そこで話を終える。



 今日は日曜日、休日だ。今日の初ダンも昨日と同じく学生が多く見られた。


 ちなみに曜日は日本と変わらない。


 土日は学園が休みになる。

 あと少し特殊なのが、第四の週は授業が基本無いことだろう。

 迷宮学園特有の方針で、月の第四週は一週間を通してダンジョンに励め、という校風だ。


 実にゲームらしい校風である。すばらしい。


 というか9日間くらい休みが無いと100階層を超えるダンジョンとか時間が全然足りないから仕方ないんだけどな。

 なので月の第四の週は、通称:ダンジョン週間とも呼ばれている。

 ちなみに今日は第二週目の日曜日な。



「そうだ、ゼフィルス君、今日はどこに潜るの? また〈熱帯の森林(ジャングル)ダンジョン〉?」

「いや、ちょっと依頼があってな。今日は別の所に潜る」


 初ダンには〈初心者ダンジョン〉1種と〈初級ダンジョン〉9種がある。

 うち初級下位(ショッカー)は3種だ。

 それぞれ、


 〈熱帯の森林ダンジョン〉動物系、『採取』『伐採』

 〈石橋の廃鉱ダンジョン〉動石(ゴーレム)系、『発掘』

 〈静水の地下ダンジョン〉爬虫系、『釣り』


 名称、モンスター、採集の順に表示するとこんな感じだ。


 今回依頼を受けた場所が彫金屋の生産ギルドだったので、向かう場所は〈石橋の廃鉱ダンジョン〉になる。

 マリー先輩からもここから取れる資源をいくつか頼まれているのでそれも回収する予定だ。


 あと、今回は採掘も行いたい。

 彫金屋から『発掘LV1』の付与された〈ピッケル〉を二つ貸与されているのだ。

 無言で渡されたが、掘ってこいということだな。





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