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#316 『大精霊降臨』! 魔法アタッカーシェリア!




「さすがルルです! 後は任せてください! 『古式精霊術』! ユニークスキル発動『大精霊降臨』!」


 隣からユニークスキル発動の知らせが届いた!


 シェリアが自分の体に立てかけていた両手杖を握りしめるとそのまま天に掲げる。


「火の大精霊様、私にお力をお貸しください! 『イグニス』!」


『――――』


 シェリアが唱えると、『精霊召喚』で呼び出されていた〈火精霊〉が金色の光で包まれる。


 おおお!

 ゲームの画面上とは全然違うぞこれ、神秘的な光景だ!


 金色の光が玉状に変わり、一気に大きく育って2m級まで成長する。

 そして一瞬強く光ったかと思うと、光が霧散し、その中央には髪や体の一部がメラメラと燃えている人型の精霊が浮いていた。


 火の大精霊イグニス。

 全身赤い鎧を着込み、腰まである赤く燃える髪に炎より赤い目を持ち、片手に2mを超える大槍を持っている。そして鎧の隙間という隙間から常に炎を吐き出し続けていた。


 こ、これが生イグニス!

 おお! 近いのに熱くない!

 そしてカッコイイ!

 カッコイイなイグニス!


 シェリアのユニークスキル『大精霊降臨』は〈◯精霊〉と入れ替える形で、大精霊を一定時間召喚することが可能になるスキルだ。

 そして次に使用する魔法によりなんの大精霊を呼ぶかを選べる。


 シェリアは火の大精霊イグニスを選んだ形だ。

 また、大精霊召喚前に『古式精霊術』を使うのがテクニックで、これを使うと次に召喚した精霊の能力値を底上げしてくれる。

 大精霊を降臨させるだけで『精霊召喚』『古式精霊術』『大精霊降臨』『○○○○(大精霊の名称)』の4つの魔法を使用しなくてはいけないため時間と手間が掛かるが、その分大精霊の力は非常に強力だ。


「イグニス様、狙いはあの〈ボスコッコ〉です。お願いします!」


『――――』


「コ、コキャ!?」


 ルルに吹っ飛ばされて大きくダメージを負っていた〈ボスコッコ〉が起き上がり、再びルルに向けて走り出すと、そこに立ちはだかる形でイグニスが現れる。

 体中から炎を荒げ、〈ボスコッコ〉と一瞬だけ睨み合うと、右手を挙げて火炎を放った。


「コケッコー!」


『――――』


 軽快なフットワークで横に避ける〈ボスコッコ〉。

 しかし、避けた先にはイグニスが大槍を構えて突撃していた。


「コケッ!?」


『――――』


「コケッコー!!」


 大槍が〈ボスコッコ〉に突き刺さり、そこから振るわれる槍捌き。

 最初はまともに食らった〈ボスコッコ〉だったが、負けるかよと言わんばかりに『鶏拳』で徐々に反撃していく。


 それは、端から見ればモンスター同士の大バトルだった。


「シェリア、オールとゾーンを使っておいた方がいいぞ」


「はい! 『オール』! 『ゾーン』!」


 俺の指示にシェリアが魔法をイグニスに掛ける。

 『オール』は回復魔法だ。大精霊限定だが、ダメージを回復する。

 大精霊は見ての通り自立行動型のユニークスキルで召喚中は勝手に戦ってくれる。

 パメラの『必殺忍法・分身の術』に似ているな。


 遠距離攻撃が得意な大精霊もいるが、イグニスは近距離型だ。

 HPバーを見てしっかり回復してあげないと、HPがゼロになれば大精霊は消えてしまうので要注意だ。


 また『ゾーン』は大精霊の滞在時間を延長する魔法だ。

 大精霊はユニークスキルのLVによって滞在時間が変化する、時間が来れば消滅してしまうので、ずっと呼び出しておきたいなら『ゾーン』で滞在時間を延長するべしだな。


 【精霊術師】の三段階目ツリーは大精霊を中心とした戦術となる。

 しかし、あまりに攻撃しすぎると術者が狙われるので注意が必要だ。

 大精霊が稼いだヘイトは術者に向けられるからだ。大精霊を無視して術者のいる後衛に突っ込まれたら堪らない。

 シェリアのINTだと、大精霊の攻撃は一般学生の一段階目ツリーから二段階目ツリーのスキル威力に匹敵する。

 ダメージが高い分、ヘイトも高く稼いでしまう。その辺、シェリアに伝授していこう。


「『オーラヒール』! ルル! 〈ボスコッコ〉のヘイトを頼めるか!」


「! 任せて欲しいのです! とう! 『ヒーロー登場』です!」


 リカを回復しつつ、大精霊イグニスの出現でほわーっとしていたルルに〈ボスコッコ〉のヘイトを稼いでもらえるよう指示を出した。


 ルルが『ヒーロー登場』を使いシャキンとカッコイイポーズをとってヘイトを稼ぐ。

 『ヒーロー登場』は俺の『アピール』のように注目度アップ系挑発スキルだ。

 く~、ルルのシャキンポーズがグッとクルぜ!


 〈ボスコッコ〉のタゲはルルに任せる。


 当初はリカが〈ボスコッコ〉〈ボスモーギュ〉を受け持ち、アタッカーが〈ボスコッコ〉を粉砕する予定だったが、ルルが思っていたより大きく成長していたために〈ボスコッコ〉のヘイトをダウンで完全に奪ってしまった。

 リカは相殺でヘイトを稼ぐので、一度狙われていない状態になってしまうとタゲを取り返すのが難しい。


 こうなっては予定は変更だ。

 ルルをサブタンクにして〈ボスコッコ〉はルル担当だ。

 臨機応変に対処する!


「コ、コケー!!」


「『ハートチャーム』! 『チャームポイントソード』!」


『――――』


「『ライトニングバースト』!」


 少々予定は崩れたが、その後ルル、シェリア、ついでに俺も援護して〈ボスコッコ〉を光に返す。


「コ……ケー……」


「よし、続いて〈ボスプビィ〉だ! ルル、シェリア、頼むぞ」


「あい!」


「了解です」


 続いてルルとシェリアはパメラが担当する〈ボスプビィ〉の相手をした。


「ブア!?」


「トドメなのです! 『セイクリッドエクスプロード』!」


 ルルの聖属性高威力スキルの直撃を受け、エフェクトの海に沈んでいく〈ボスプビィ〉。

 〈ボスプビィ〉はパメラのぶっ刺さり攻撃によりHPを3分の2にまで減らしていたため、短時間で屠ってしまった。


 これはパメラがたっぷりヘイトを稼いでいたため、シェリアがヘイトを気にせず全力攻撃できたのが大きいな。

 大精霊の他に普通の『精霊召喚』もしてエレメント系のスキルをぶっ放しまくっていた。

 シェリアは現在、大精霊1体と通常の属性精霊を1体ずつ召喚することが可能なのだ。

 〈エデン〉の魔法アタッカーはシェリアがダントツでトップだな。

 ルルも魔防力デバフの『ロリータマインド』を使ってシェリアのダメージを底上げしていたので簡単に削りきってしまった。


「モーー!!」


「さて、ではラスト、〈ボスモーギュ〉を全員で叩くぞ!」


「おーなのです!」


「イグニス様、お願いいたします」


「アタッカーに転向するのデース!」


 俺の指示にルル、シェリア、パメラがやる気を見せる。

 残り1体となり、パメラもアタッカーに転向して〈ボスモーギュ〉を相手にした。

 そしたら、数分もしない間にリカが帰ってきた。


「あれ、もう終わっちゃったのか!?」


「ああ。鎧を着ていたから硬かったが、ルルもシェリアもパメラもすごい張り切ってな。私が防御スキルを使う暇も無いくらいだった」


「哀れモーギュ、良いとこ無しか」


 俺はヒーラーに徹しようと後ろから見ていたら回復魔法を使うまでもなく〈ボスモーギュ〉がエフェクトに消えてしまった。フルボッコにされた模様だ。

 あまり記憶に残らないうちに消えた〈ボスモーギュ〉を哀れむ。

 〈ボスコッコ〉も何もできずにボコボコにされて消えていたが、ルルとシェリアの活躍の、いい引き出し役になってくれたのだからまだ報われるだろう。

 哀れ〈ボスモーギュ〉。


「周回なのです! ルルがあっと言う間に倒してやるのです!」


「頼もしい!」


 今日のルルは耀き具合が違うな。


 見ればシェリアもパメラもイキイキしている。

 三段階目ツリーが使えるようになってまだ間もない。

 3人とも三段階目ツリーの〈スキル〉〈魔法〉〈ユニーク〉が使えるようになってボス戦が楽しいのだろう。

 俺はうむと頷く。


「よっし、もう一周行くぞ!」




「とう! 『ローリングソード』なのです!」


「―――ブア゛!?」


 2周目は作戦を変え、〈ボスプビィ〉を最初に屠ることにした。

 ルルがくるりとでんぐり回避してからの斬撃が耀く!

 相変わらずの格好良さよ。


 ルルたちの動きはどんどん良くなっていき、2周目、3周目とどんどんタイムが短くなっていった。3周目なんて7分を切った。1体2分ちょいで倒した計算になる。

 俺もヒーラーが暇だったのでそれなりに参加したのもタイムが短くなった理由だ。


 皆凄く強くなったなぁ。


 エフェクトに沈む3体目の〈ボスモーギュ〉を見て、俺はそう思った。


「〈金箱〉が出たのです!」


 ルルの声がボス部屋に響く。

 さて、もう一仕事ありそうだ。




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― 新着の感想 ―
[一言] #117では〈火精霊〉だったと思うんですが、〈炎精霊〉に変わったんですか?
[一言] 今回のボスって、道中のように倒し方でドロップが変わるのだろうか? あるいは、ドロップはボス箱なので、倒し方は関係無いのだろうか?
[一言] ダントツは断然トップの略なので、ダントツでトップだと二重表現になっちゃいますね 最近よく使われる表現だし一人称の口語だからどっちでも良いと言えばそうなんですが
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