表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
342/2068

#312 ボス戦やりたい人は挙手!全員だったのでクジ。




 お昼を贅沢にBBQで済ませて再び移動。


 どう見ても法定速度を破っているレベルのスピードで馬車は走る。

 さすが〈からくり馬車〉だ。普通の馬ならちゃんと法定速度を守るだろう。

 無機物の馬はそんなことは関係ないねとばかりに脚を動かし続けた。

 後続のセレスタンが操車する馬車もピタリと後ろに付いてくる。

 すでに操車にも慣れた様子だ。さすがセレスタン。万能執事。


「やっと到着だな。この奥が最奥だ」


「大きな門ですね。しかし最奥ということは救済場所(セーフティエリア)とボス部屋があるのでは?」


 最奥に続く門を前にしてエステルが鋭いことに気付く。


「ご明察だ。エクストラダンジョンといえどダンジョンであることには変わりない。ちゃんと最奥にはボスが居るし、倒せば転移陣で帰れる。帰りの心配をしなくていいのは楽だな」


 何しろ〈食材と畜産ダンジョン〉はとんでもなく広い。

 最下層まで結構な速度で飛ばして来たのにも関わらずもう15時だ。

 帰りのことを考えれば転移陣を使ったほうが効率的だが、ここの転移陣は最奥にしかないのがネックなんだ。


 また、1泊するごとにQPが1万加算されていくため〈乗り物〉持ちでもない限りこのやり方は使えない。

 徒歩なら最短で6日は掛かるらしいからな。つまり6万QP(6000万ミール)、さすがに1回のダンジョンにそこまで出すのは躊躇われる額だ。

 故にほとんどの学生は上層の、さらに浅いところでしか採取しないらしい。


 それって意味あるの? と思ってしまうが、ちゃんとそれなりの数を確保できるようなので、直接市場に出ている食材を買うよりギルド全員で採り放題に参加したほうが安く済むとのことだ。

 なおソースは〈味とバフの深みを求めて〉ギルドのギルドマスター。


 最奥の食材を大量に卸したらどんなリアクションが返ってくるか、ちょっと見てみたい。


「ゼフィルス殿はボスを倒す気なのですか?」


「そうだな。5人にはボス周回をしてもらって残りのメンバーはこの階層で食材採取をしてもらいたい」


 エクストラダンジョンボスの推奨LVは45。

 まあ余裕である。ボスドロップは全て食材関係、しかも高級食材が多いので是非周回したいところだ。


「業者などは入っていないのですか? 農家の方が休まず狩っていそうですが」


「普通はここまで来るのに最短で6日掛かるからな。しかもボスは普通、倒したら転移陣を利用されるまで復活しない。ボスを倒したら転移陣に乗ると決まっているんだ。わざわざここまで来たのに1度回収しただけで強制的に帰らされるんだ、割に合わないのさ。それに6日もあればわざわざここに来るまでもなくバッグいっぱいに採取できるし、そうやって地上に持って帰ったほうが1度のボスより利益が出る。ボスを狩るのは依頼があったときくらいだそうだ」


 という設定で、ゲーム〈ダン活〉時代は人とまったく出くわさなかった。人の出入りが普通より多いダンジョンのはずなのに最下層のボス部屋はいつでもウェルカム状態だ。


 ここはリアルだが、情報収集した限り、同じような理由で最奥のボスを好んで討伐しに来る人は少ないらしい。特に学園(ここ)のダンジョン週間中はここまで来る農家は皆無だそうだ。学生の邪魔をするのはここで働く農家にとってマイナス以外の何物でもないからな。

 迷宮学園・本校は公爵家のお膝元、その辺の管理は行き届いているようだ。


「ということで、ボスを狩りたい人は挙手!」


「「「「「はい!」」」」」


「さて、どうやって決めようか」


「考えてなかったの!?」


 全員馬車を降りたところで聞いてみたら予想外に多くの手が挙がった。というか全員だった。いやリーナはLV的に無理だからな?


 ここからどう決めるか考えてなかったことを漏らすとラナが驚愕の視線でツッコミを入れてくる。


「ま、ならチーム分けるか。どうせ今日は遅くまでダンジョンに居る予定だし、採取だけじゃ飽きそうだしな」


 人数を絞るのもなんなのでチームを分けることにする。


「賛成よ。3チームに分けるの?」


「いや、どうせなら何戦か毎にクジかなんかでメンバーを入れ替えてみよう。固定メンバーの括りは無しで、いろんなメンバーと組んでみてもらいたい」


「いいわね! 面白そうだわ!」


 賛成が過半数以上出たのでササッと紙でクジを作って、赤いクジを引いた5人が先に挑むことにする。


「これよ! この王女が選んだクジなのだから当然――赤い印が無いですって!?」


「ふえ、私も無いよー」


「ルルは赤を引いたのです!」


「私も赤を引いたデース!」


 上からラナ、ハンナ、ルル、パメラと感想を言い合う。

 ラナが信じられないというように何度も確認してきたが、残念ながらそれが現実です。

 印有りを引いた人は、1回だと物足りないので3周回ボス戦を行なうこととした。

 ちなみに印無しを引いた人はボスが3戦ほど終わるまで採取担当である。


 結局、俺、ルル、シェリア、パメラ、リカで挑むことに決まった。


 役割は、

 アタッカー:ルル、シェリア。

 タンク:パメラ、リカ。

 ヒーラー:ゼフィルス。

 である。

 俺は回復担当か。〈エデン〉はヒーラー不足なので仕方ない。

 ミサトの返事はまだだろうか。月末が待ち遠しいな。


 そういえばルル、シェリア、パメラと一緒にボス戦をするのは久しぶりだな、ひょっとしたら先月以来かもしれない。

 3人ともLV40を超え三段階目ツリーが解放されていると聞くし。

 ボス戦で見られるのがとても楽しみである。


 なお、その後のクジで第二陣となるメンバーにはラナはしっかり食い込むことが出来たようである。よかったな。

 ちなみにハンナは第三陣だった。ドンマイだ。


 またリーナだけはLV不足のため参加は見送りとなった。

 後で〈『ゲスト」の腕輪〉だけ装備させて見学だけすることに決まる。


 こうしてまず第一陣がボス戦に挑み、二陣以降は採取を担当することになったのであった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
[気になる点] >法定速度 元ゲームで仮に決まってるとしても「街なかでは走らせない」くらいじゃ? 公道でもないダンジョン内だと、やっぱり違和感が…w
[気になる点] リーナ参加させてレベル上げればよくない?
[気になる点] >どう見ても法定速度を破っているレベルのスピードで馬車は走る。 >さすが〈からくり馬車〉だ。普通の馬ならちゃんと法定速度を守るだろう。 現実世界で作られたゲームを元にした世界なので、…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ