#259 朝礼で大型クエスト発表! 対象はEランクな。
ギルドバトルを約束し、メンバーが決まった翌日。今日は火曜日だ。
昨日の件について他のギルドメンバーにも通知したのだが、やっぱりギルドバトルをやってみたかったメンバーが多かった。というか女子が全員やりたがっていた。
ギルド部屋にいたメンバーですでに決まったことに落胆していた様子だったが、次練習するときは絶対参加させるという約束でなんとか事なきを得た。
セッティングをどうしようか…。
朝の教室では何故かサターン君たちが余裕の貫禄を見せていたのが妙に気になった。
なんだろう、勝者の貫禄か? すでに勝った顔になっているのは気のせいだろうか?
そんなことを思っていると今日も朝礼が始まる。
「あとお知らせです。Eランクのギルドに学園から大型クエストが来ているわ。このクラスでは〈エデン〉と〈マッチョーズ〉が受けられるから、詳細を〈学生手帳〉で確認してもらって、受ける気があれば申請しておいてね。大型クエストは成功すればたくさんクエストポイントがもらえるけど、競争率が高いから良く考えてから決めてね」
壇上のフィリス先生から大型クエストについての連絡があった。
学園クエストかぁ。今までダンジョン攻略優先で進めてきたが、そろそろクエストも進めて行きたいな。
学園クエスト。
〈ダン活〉を攻略する上で学園クエストは欠かせない。
学園側から出される依頼を達成すると〈クエストポイント〉と〈名声値〉がもらえる仕様で、主にギルド単位で受けることができる。
ギルドランクが上がればそれだけ難易度の高い依頼を受けることができるようになり、達成すれば報酬もガンガン上がっていくのだ。
名声値の説明はいいだろう。これが上昇するとスカウトの幅が広がるが、リアルだとすでに有って無い様なものだ。嬉しい誤算だった。
ということで、リアルで最も重要なのはクエストポイントだ。
このポイントは学園側からの報酬や褒美として与えられ、様々な素材やアイテム、資源、装備、設備などと交換することが出来る。アリーナなどの学園施設の利用もこのポイントで支払う仕様だ。
ゲーム時代はこのポイントを使ってギルドハウスの設備を充実させてもらったり、他ギルドにポイントを使って依頼を出したりすることも可能だった。
素材やアイテムに関しても、購買に並ばないようなレア素材や〈上級転職チケット〉などと交換できるためクエストはよくやった。
満足にダンジョンアタックの出来ない平日の放課後なんかにクエストを達成し、土日はダンジョンをこなす。こんな感じのスケジュールをよくやっていた。
また、ギルドが〈ランク戦〉をやるときなどにもクエストポイントは必要だった。
上のギルドほど結構デカイ額が要求されるので、暇なときはとりあえずクエストポイントを稼いでいたっけ。
ただ、リアル世界だと〈上級転職チケット〉の入手が非常に厳しく、ラインナップに並んでいないようだ。また上級ダンジョン以上で手に入るドロップ品などは軒並み全滅だった。中級ダンジョンのレア素材などは結構充実していたが。
そんなことを思い出していると、俺の前に座っている〈プラよん〉たちが一斉に手を上げた。なんだ?
「先生! なぜ我らのギルド〈天下一大星〉は対象外なのですか! 納得がいきません!」
「でもあなたたちのギルド、Fランクでしょ?」
「ぐぅ!?」
サターン君が抗議するがフィリス先生に一蹴されていた。
しかし、そんなことではあきらめないのが〈プラよん〉。
「ふふ、僕たちを舐めないで頂きましょう」
「俺たちだって1組だ、たとえランクはFだろうとも実力は負けてはいない」
「俺様たちを忘れてもらっては困るぜ」
どこからその自信が来るのか、教室中から集まる視線が痛いぞ。
しかも俺も後ろの席にいるので視線に掠られていて地味に恥ずかしい。ちょっと彼らから距離をとりたい。
フィリス先生もちょっと困った顔だ。
「でも、このクエストね、中級下位ダンジョンの依頼なのよ。あなたたち、今のLVはいくつなの?」
おっとーフィリス先生が強烈な一言を放ったー!
LVを聞かれたサターン君たちが見事にピシリと固まり、そして震えだした。プルプルしている。
「ぐぅ……」
ついにぐうの音しか出なくなったサターン君たち。
結局、その後サターン君たちは沈黙し。朝礼が終了したのだった。