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#236 これが【勇者】の実力だ! サターン震える。




「ゴ、ゴビュゥゥ……」


 ナイトゴブリンが膨大なエフェクトをまき散らして沈んで消える。


 ナイトゴブリン戦は簡単に終了した。

 俺が本気を出した結果だ。1分持たなかったな。

 他の5人は呆然とそれを眺めていた。モナ以外は若干引いていた気もする。


 いや、実はボス戦に挑む前にちょっとしたトラブルがあったのだ。

 最初は彼ら4人にボス戦をやらせようと思ったんだけどな。だけど気がついた、俺、今日は全然ダンジョンで楽しんでないって。


 だから最後のボス戦くらい俺も参加しようと思ったわけだ。

 だけど、そこで4人から意見が上がった。


「まず貴様の実力を見せてもらおうか。我に散々ダメ出しをした貴様の実力を、な。もし(たい)したことが無ければ相応の扱いをさせてもらおう」


 そんなことをサターン君が言い始めたのが切っ掛けだった気がする。

 さっきまで凹んでいたはずなのに復活だけは早いサターン君。しかし、俺に対するライバル精神はいっちょ前で、何かとマウントを取ろうとしてくるのだ。未だにその成果は出ていないようだが。


 そして、その意見に他の前衛3人も同意を示す。


「ふふ。ちょうどボス戦ですし、いい機会ですね」


「俺たちの上に立ちたいというのなら出来ないなんてことはないよな」


「なんなら俺様にリーダーの枠を譲ってくれてもいいんだぜ?」


 いつ俺が上に立ちたいと言ったのだろうか。いや、実際LVも実力も上だけどさ。

 俺の胸に光るこの攻略者の証が目に入らぬか? ちょっとアピールしてみよう。キラリ。


「くっ、だがそれは仲間が良かったに過ぎない。〈エデン〉は伝説の職業(ジョブ)ばかり、だからな!」


 俺の耀く証を見つめて一瞬怯んだサターン君が苦し紛れに言い訳を放つ。彼の足が震えている気がするのは気のせいだろうか?

 俺がここのレアボスをソロで倒したと知ったらどんな顔をするだろうか、ちょっと見てみたい。

 ということで言ってみた。


「俺はここで初挑戦の時ちょうどレアボスがポップしてな、ソロで倒したぜ?」


「ふふ!? ふふふ。そんな、ありえませんね。計算するまでもありませんよ」


「つ、()くならもっと、マシな嘘を吐いてほしいものだな……」


「俺様もソロは無謀だと分かるぞ。そ、そんな嘘には惑わされない」


 否定しつつもキョドる3人。全員目が泳ぎまくっている。

 なんとなく今の話が実はマジだと分かったのかもしれない。


 サターン君なんて顔色が青くなっている。


「まあ、全員の意見は分かった。なら俺も本気で挑もう。次のボス戦は俺も参加する」


 ということで俺も戦闘メンバーに加わることにしたのだ。


 彼らが知りたいのは俺の実力だろう。

 確かに、教える側が貧弱では教わる側も思うところがあるだろう。

 故に、今回は本気を出すと決めた。


 モナには門を潜ったところで待っていてもらい、いざ戦闘開始。

 俺はやってくるお供ゴブリンを無視してナイトゴブリンに肉薄すると、ユニークスキルを2つ発動して一気に叩き込んだ。

 一気に大ダメージを負ったナイトゴブリンがクリティカルダウンしたのでチャンスとばかりに猛攻撃を掛けたらそれでHPが0になってしまい戦闘が終了してしまった。


 呆気ない戦闘であった。やっぱり初手でクリティカル決まったのが大きかったな。

 こういうのも楽しいから良しだ。


 ちなみにお供はボスが消えた時点で一緒に消えている。


「こんなところだが、足りていたかな? 俺の実力は」


 そう聞くと、唖然としていたモナ以外の4人がブンブンと首を縦に頷いた。

 ちょっとやり過ぎたかなぁと思ったが、ちゃんと認めてくれて良かったよ。


「じゃ、とりあえず今日はお疲れ様。また明日も頑張ろうな」


「!」


「ふ!?」


「きょ、今日だけじゃないのか!?」


「俺様はもう十分だと思うぞ!」


 何故か明日も遊びに誘うとビクッとする4人。ちなみにモナは目を輝かせている。


「明日は練習場に行こう。サターン君のこともあるが、まだまだ君たちはスキルの使い方が分かってないからな。それに今後取得した方が良いスキルも説明したいし、放課後空けておいてくれよ」


「「「「いぃ!?」」」」


 一度やり始めると育成って止まらないんだよなぁ。

 まあ、俺も〈エデン〉の事もあるのでたまにしか出来ないだろうが、せっかく仲良くなったのだし彼らともたまにダンジョンに行こうと思う。その前に要練習だけどな。


 モナも、今日は少ししか教えられなかったからまた時間を作ろう。


 そんなこんなで今日はここで解散。明日の楽しみが増えたな。


 今日のドロップは全部売却して後日山分け予定。採取物についてはモナが8割、連れてきた俺たちに2割としていたのだが、今日のお礼と言って〈魔力草〉を結構多めに分けてくれた。

 モナ、超良いやつ。




「さて、じゃあ今日の本番と行きますかね」


 俺以外の全員が転移陣で帰還するのを見届け、俺は一人救済場所(セーフティエリア)に戻っていた。

 彼らからは訝しがられたが、一人でやりたいことがあるからと言って帰ってもらった。


 俺はバッグから〈笛〉を取り出す。

 せっかく〈野草の草原ダンジョン〉に来たのだから、久しぶりに〈エンペラーゴブリン〉と遊ぼうかと思ったのだ。


 今はソロなので、〈笛〉の代金が多少(かさ)んでも報酬は独り占め出来るので収支はギリプラスになるだろう見込みだ。

 ということで、8回全部使ってしまおう。さて、何回〈エンペラーゴブリン〉ツモれるかなぁ。早速1回目を吹いた。


「〈エンペラーゴブリン〉、あっそぼうぜ!」





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[一言] 〈エンペラーゴブリン〉「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ」
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