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#224 10層のフィールドボスはボス部屋にいない。




「やっと10階層に到着ね!」


「ラナは元気だなぁ。気持ちはすごく分かっちゃうが」


 もうね、ゲームしてたら元気になるよねっていうね。

 女の子がスイーツを食べれば問答無用で元気になるのと同じだ。


 俺たちは午後2時、目標階層の10層に到着していた。


 まだ10層なのにも関わらず時間は午後2時なのはこの中級下位(チュカ)の階層自体が広いから。1層を探索するのに結構時間が掛かるのだ。それに、やはり初めての中級ダンジョンだ、モンスターに慣れたり罠に慣れたりする必要もあったためゆっくりめに攻略していた。

 なんだか初めてゲーム〈ダン活〉をプレイしていた時を思い出したぜ。


 また、進行の途中いくつか宝箱も発見した。

 中級ダンジョンからは行き止まりに宝箱が湧く場合がある。

 俺の経験則からこの辺かと当たりをつけて確認したところ合計で3つの宝箱をゲットできた。まあ全部〈木箱〉だったのだが。ちなみに罠は無し。


 隠し扉の方も順調に開放中だ。

 10層までに2箇所の隠し扉があり、そこの宝箱もゲットしてある。ちなみに〈銀箱〉が2つだ。

 〈銀箱〉の1つはこのダンジョンのマップだった。第2層で手に入る。

 もう1つの〈銀箱〉からは釣り用アイテムの『耐久ロッド』だった。いつか釣りをするときにでも使おう。


 採取の方も順調だ。このダンジョンは人気が低いという話は本当だったようで、手がつけられていない採取ポイントが数多く残っていた。というかまったく手をつけられていなかった。こりゃラッキーだな。


 普通ならこの〈丘陵の恐竜ダンジョン〉はキャラのステータスさえ高ければさほど難しくないダンジョンだし、採取も豊富なので俺の感覚ではかなり優良のダンジョンなのだが、このリアル〈ダン活〉ではその高ステータスを誇る高位職が少ない。

 そのため人気の低いダンジョンに認定されてしまっているわけだな。


 今後1年生が追いついてきたら人気のダンジョンになるだろうし、今のうちにたくさん採取しておこう。『量倍』付きの〈優しいスコップ〉で大量ゲットだぜ。



「ねえゼフィルス君、10層にはボスがいるんだよね? でもボス部屋が無いよ?」


 ハンナが辺りを見渡し不思議そうに聞いてくる。


「ああ。さっき言ったとおりここ(10層)にいるのはフィールドボスだからな。ボス部屋みたいなものは無いんだ。ボスは門番として次の階層の入口付近にいることが多いな」


 たどり着いた10層はこれまでと同じ普通の階層だ。

 ボス部屋と救済場所(セーフティエリア)があるのは最奥の空間だけだな。途中の階層はいつもと同じ。

 普通に探索してフィールドボスとも戦わなくちゃいけないので少しばかりハードである。

 さすがは中級ダンジョン。


 俺は先ほど隠し部屋でゲットしたダンジョンマップを広げ、大体ボスはこの辺にいると指で示す。


「ねえフィールドボスと戦いたいわ! 早く行きましょ!」


「待てラナ、フィールドボスがいるのはこの階層の終わりだって言っただろ。まずはこの階層を探索しよう」


「そんなの待ちきれないわ。1層くらい探索を飛ばしても良いじゃない!」


 おっと、久しぶりのわがまま発揮である。いや、ラナは割といつものことだったか?

 最近はラナのわがままをわがままと思わなくなってきた俺がいます。

 エステルやシズたち同様、俺もラナに魅了されてきたとでも言うのか?


 ジッとラナを見つめてみる。


「…な、何よ」


 銀色の髪を(なび)かせてラナがたじろぐ。


 確かにラナは可愛いし明るいし、笑顔がとても似合うし素敵である。

 学園には「王女親衛隊」やら「王女の笑顔を守り隊」なんてものが存在するらしいしラナの魅力にやられる人は後を立たない。不思議な魅力があるのだラナは。


 というか魅力度が最初会ったときより上がってないか?


「まあいいか」


「いいの? やったわ! さ、エステル、ハンナ、シエラも行きましょ!」


 そして俺もそんな笑顔にやられている存在の1人なのかもしれない。

 結局許可を出してしまった。

 ラナに対して相当甘いな、俺もエステルたちのことは言えない。


 笑顔いっぱいに喜んで先へ進むラナを見るとまあいいかと思ってしまう。ちょっと緩みすぎているのだろうか、気を引き締めなければ。


「あ、おいラナ、そっちじゃないぞ。フィールドボスがいるのはこっちだ」


 でもポンコツ具合は変わっていないので道を間違えていらっしゃった。

 慌てた様子で戻ってくるラナが顔を真っ赤にしている。


「ちょ、ちょっと慌てちゃっただけよ。もう気付いたからセーフだわ」


「なんの言い訳だ?」


 それと多分セーフではないと思うぞ?

 とりあえず正しい道を指し示すと、ラナは足早にそっちに進んでいく。照れ隠しだろうか?


「私たちも行きましょうか」


「だな。多分、ラナは道わかってないだろうから」


 シエラに促されて俺たちもラナの後を追った。

 ただ思ったとおり、ラナはすぐに戻ってくることになる、道を聞きに。

 分からないなら先頭を進むなよ。

 相変わらずラナはポンコツンデレだ。




 直線距離で15分ほど。途中何度か戦闘を行いウォーミングアップを済ませたところで俺たちはそいつと出合った。


「ね、ねえゼフィルス? なんだかすごく怖いわよアレ?」


 さっきの勢いはどこへやら、ラナが恐竜型のボスを見てちょっとビビッていた。

 まあデカイ恐竜ってビビるよな。思ったより大きいし。


「あれが話に聞いていたフィールドボスね。道中に出た〈サウガス〉のボスかしら」


「シエラが正解だな。突進力が増してるから十分注意してくれ。攻撃力だけはかなり高いから」


 10層のフィールドボスは道中に出た〈サウガス〉型のボスモンスター〈ジュラ・サウガス〉である。まだ距離は遠いが、近づくとアクティブモンスターになって(おそ)い掛かってくる。

 また、道中のザコモンスターと違いボスはスキルを多用してくるのでそこも警戒が必要だ。スキルは通常攻撃と違って非常に強いからな。


 スキルや行動パターンも含め掻い摘んで皆に周知する。


「なるほどね。分かったわ」


「じゃ、準備が出来次第挑むとしよう。ラナ、全員の回復を頼む」


「任せて。『回復の祈り』!」


 そうして挑む準備を済ませ、俺たちはフィールドボスへ戦いを挑んだ。





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