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#217 体験授業で大満足。待ち人驚愕の新事実。




「ああ、また失敗してしまいました」


「まあ、モナはまだステが初期値だからな。色々とこれからだろ」


 先ほどのブービートラップからいくつかの罠の解除をやらせてもらった。ガイス先生は良い先生だ。あれやりたいと言えばやらせてもらえるし、これやってみたいと言えばやらせてもらえた。罠外しって結構楽しい。

 そして現在、モナの手元が滑って罠が発動してしまった。幸い模擬的な罠なのでほとんどダメージを負わないが、これが本物だったらモナは今頃戦闘不能だろう。


 とりあえず慰めておく。これからこれから。


「ゼフィルスさんとセレスタンさんは良いですよ、全部成功で。でもぼくは全部失敗じゃないですか。あまり才能が無いのでしょうか」


「いや、最初のブービーは解除出来てたじゃないか」


「いえ、あれは設置された矢を取るだけでしたし。誰でも出来るのでノーカンです」


「意欲あるなぁモナは」


 失敗してもへこたれず向上心を見失わないモナ、このまま邁進すればきっと上手くいくだろう。とりあえずLV上げしようぜ。


「出来ました」


「凄いな1年生。こいつは2年生でも出来ない奴は多いってのによ」


 セレスタンの方は、なんだか中級中位ダンジョンで出てくる罠を解除しちゃったらしい。

 ガイス先生がむっちゃ驚いている。

 マジでセレスタンって何者だ? リアル執事って凄い。


 ちなみに俺は中級下位ダンジョンで出てくる罠をいくつか解除してみたが、意外と全部出来た。DEXは50にすら届いていないんだが、『直感』の影響か妙に勘が良くって、なんとなくここをこうすれば〜的な感じでイケてしまった。俺はいつから天才肌になったのだろうか。リアル能力って素晴らしい!


 色々体験させてもらえたので今回はここまでにしておく。いやぁ貴重な体験だった。


 モナはもうちょっと〈罠外(わなはずし)課〉で体験したいというのでここでお別れすることになった。


「じゃ、モナまたな。あ、これ渡しておくから後で読んでな」


「なんですかコレ?」


「俺の【ファーマー】オススメ育成論」


 モナに渡したのはいつものメモだ。少し違うのは最強育成論ではなくオススメ育成論であるところ。

 ギルドメンバーに渡すような最強の到達点が書かれているものではなく、こういう風に育てる方法がオススメだよという類のものでしかないが、下手に育てられると取り返しがつかないので渡しておいた。


 何しろモナはLV0のまっさらな状態だ。今からちゃんと育成すれば確実に〈採集課1組〉を超えられると思う。


「はえ?」


 モナはそれを聞いてとても可愛い声を出した。ちょっと、本当にモナは男子なのか?


 それも少し気になるところではあるが、俺はまだまだ回りたい学科がたくさんある。

 モナにはまた連絡すると約束して〈罠外(わなはずし)課〉を出発することにした。


「ゼフィルス様、罠外しの授業はいかがでしたか?」


「大満足だ。早くもここにしようか迷っている! とりあえず候補だな」


 選択授業は最高で6コマ分の受講が可能だ。罠外しの授業は2コマ分なので選んでしまうと早くも残り4コマになってしまう。とりあえず候補にだけ入れておき全部見てから決めるとしよう。


「よっし、どんどん行くぞ!」


「お供いたします」


 宣言通り、セレスタンとどんどん回った。


 〈生産専攻〉に行き、武器、防具、アイテムの作製を体験したり、〈営業専攻〉ではスーツに着替え、窓口業務なんかも体験した。



 〈生産専攻〉では、やはりDEX値の差はいかんともしがたくセレスタンに惨敗だった。

 とはいえ〈腕輪LV1〉系の装備で作った初心者装備とアイテムだったのでそんなに差は無いのだが、セレスタンは何故か高品質をいくつかたたき出していた。

 ちなみに俺は普通品ばっかりだった。失敗はしなかったので誰か褒めてほしい。


 〈営業専攻〉では俺とセレスタンのスーツ姿が何やら脚光を浴びた。

 俺とセレスタンが同時に「いらっしゃいませ、お嬢様」と言うとフラフラ吸い寄せられるようにして俺たちの窓口に殺到したのだ、女子が。

 というか一緒に体験授業を受けて窓口に居たはずの子も何故か並んでいたりした。

 なんだろうこれ、これが勇者の力なのか!?(違う、とも言い切れない)


「ね、ねえあれ。凄くいい」


「うん。カッコイイよねぇ。ダンスとか踊りたい」


「癒やされるわ、あのお二人。何者かしら」


「あなた知らないの? 有名なお二人ですのに」


「え? だ、誰なのかしら」


「装備してなかったら分かりづらいよね、彼らは今をときめく〈エデン〉のギルドマスター【勇者】ゼフィルスと、あの最高の少年執事、〈微笑みの執事〉セレスタンよ!」


「な、なんですって!? はっ、た、確かによく見ると【勇者】君と〈微笑みのセレスタン〉ですわ! ち、違うんですのよ! スーツの魅力に抗えなかったんですの!」


「ふふふ、にわかですわね」


 なんか女子たちが妙に騒がしかったのが印象的だった。

 うーん。〈営業専攻〉はパスしておこう。なんかその方が良い気がした。


 その後も各専攻を順番に回っていき、時にはラナとエステルたち従者メンバーズに出会って一緒に体験授業を受けたり、時にシエラとルルと会って一緒に体験授業を受けたりした。なんか学園祭っぽくて楽しい一日だった。


 まだ全部は回り切れていないが、そろそろ放課後なので〈戦闘課〉に戻る。

 続きは来週に取っておくとしよう。


 そこでふと思い出す。

 そういえばハンナとは会わなかったな。結構〈戦闘課〉のメンバーとはばったり会ったりしたのだが、未だにハンナを見かけない。どこ行っ————。


 ドゴーンッ!


 その時〈練習場〉の方で何やら爆発した音が響いてきた。

 巨大な爆発音に思考が一瞬で切り替わる。


「何事でしょうか?」


「あ〜、分かった。セレスタンはそんな警戒しなくていいぞ」


 一瞬で俺を守れる位置についたセレスタンを手で制する。

 この爆発音は聞き覚えがあった。セレスタンを連れて練習場に向かう。


 ドゴーンッ! ドゴーンッ! ドドドゴーンッ!


 近づくまでに断続的に爆発音が響いてきた。そしてやっと到着する。


「やっぱ音の正体はハンナだったか」


 爆発音が響く中、練習場に立つ影は俺のよく知っている人物、ハンナだった。


「ゼフィルス君! わーゼフィルス君とやっと会えたー。もうどこ行ってたの? せっかく〈戦闘課〉に来たのにみんな居ないし、寂しかったんだから!」


「いや、〈戦闘課〉の選択授業は対象外だっていうか…」


 どうやらハンナは〈戦闘課〉の選択授業を受けていたらしい。周りを見ると何かで破壊された(まと)が散乱していた。ちょっと焦げている。ハンナの新しい武器は着々と磨かれているらしいな。

 ちなみに(まと)はダンジョンの壁みたいなものなので時間が経てば再生するぞ。あ、もう再生し終わってる。早い。


 なるほど、ハンナは〈戦闘課〉を受けていたから会わなかったようだ。

 とりあえず、俺は〈戦闘課〉の選択授業を受講する気は無いと伝える。


「え!? 〈戦闘課〉の選択授業受けないの!?」


「いや、どうせ普通に習うからな。選択授業で取る意味無いし」


「がーん」


 ハンナ痛恨のダメージ。

 思わぬ展開にハンナの膝が崩れ落ちたのだった。


 最後はなんか、締まらなかったけど、これにて今日の選択授業は終了。





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― 新着の感想 ―
[一言] 「勇者x執事」と「執事x勇者」とで派閥が出来そう。
[一言] 男の娘はいいぞ!仲間になったらどのヒロインよりヒロインして欲しい
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