#1945 生産職の超力作ウォーターアトラクション!
「なんですかあれは!?」
「ちょっとスイカ割りに夢中になってたら、なんかすっごいものができてますよ!」
「あの滑り台、海に伸びてるー!?」
フェンラ、クラ、マルティの1年生ズも気が付いたようだ。
いつの間にか第二拠点が建ち、それをベースにして滑り台、否、去年のただの滑り台とは違う、なんか大がかりのウォータースライダーとも呼べる施設ができていたのだ!
ほんと、びっくりしたよ!
「ふっふっふ、驚いたかゼフィルス兄さん」
「その声はアルル!」
さらにウォータースライダーへ意識を向けていると、背後から声が!
まさか、俺に気付かれずに生産職が背後をとるだって!? よほど驚かされたらしい。
「あれはアルルの仕業か!」
「うちやマリー姉やメイリー先輩たちで作った合作や! 去年のあの氷の滑り台にインスピレーションを受けて1年掛けて造ったんや!」
「な、なんだってー!」
すげぇ。改めて見ると、波打ち際に建つのはヴァンの第二拠点。
しかし、観覧車のような回転するエレベーターがくっついていて人を上へと送り届けてくれる構造。アトラクションと実用の併合だ!
そして拠点の屋上から伸びるのは様々な滑り台。
まずは普通のカラーウォータースライダー、4つの長ーい滑り台がただただ海へと伸びている。ヴァンの拠点の屋上は4階くらいの高さがあるので中々の迫力だろう。
4色でそれぞれカラーリングされているのがアクセントだ。
続いて筒状で上も覆われた滑り台。
これが凄いんだ。どこかで見たことのあるようなレジャー施設のように、途中までは筒状の滑り台だが、最後はすり鉢状の大きな施設に放出され、渦巻くようにクルクル回って下に落ちてゴールする作りだった。端的に言って、超楽しそう!
それだけに終わらず、ある意味もっと凄い滑り台がもう1つ。
浮き輪を使うことを前提とした筒状の滑り台。ここまではさっきのすり鉢状と同じだが、放出された先にあるのは、急な下り坂と、その先にあるウォールだ! まるで谷のような作りの施設。
急な下り坂でスピードを上げ、ウォールを一気に滑り登る! だが登り切れずにUターンし、後ろに戻っても急な下り坂を登り切れずに再びUターンしと、Uターンを繰り返しながら谷を下っていって、最後は海へと流れていく作りだ。
なにこれ、これも超面白そう!!
「アルルたち、これを1年で作りあげたのか!? ヴァンの能力を前提で!?」
「せや!」
すげぇ。さすがはこの世界のトップの生産職たち。
どうやったらこんなの作れるんだろうか? 大きさ的にドックを使ったのか?
いや、細かいことはいい!
「いやぁ、最初は1つだけにするつもりやったんやけど、思いのほか手が入りすぎてなぁ。気が付いたらこんなのが完成してたわ。わははははは!」
「ふははははは! これは高笑いしたくなるわ! 早速遊んでくるぜ!」
「あ、あの! ゼフィルス先輩、行くなら私たちも一緒にいいですか?」
「ゼフィルス先輩、いいですよね?」
「ご主人と一緒に行きたいなぁ」
「よし、みんなで一緒に行こう!」
「「「「「わあ!」」」」」
アルルにおすすめされて早速楽しむことを決めると、フェンラとクラとマルティを始め、スイカ割り上級に夢中だった〈エースシャングリラ〉の面々が一緒に行きたい希望を出したので即でオーケーする。
あんなの出されたらもう行くしかないぜ!
リュウジたち騎士男子がまだ山のようにこんもりと盛りまくられた砂山を目隠しで登山し、スイカへの旅を4人掛かりで目指しているのをそのままにして、俺たちはウォータースライダーを目指した。
スイカ割りがちょっと変貌しすぎてしまったのは、俺のせいじゃないと願いたい。
なお、割と男子には好評で、アスレチック目隠しスイカ割りが夕方まで続くことになろうとは、この時の俺には予想できなかったんだ。
「わわ、これ凄いです」
「なにこれ!? どうやって動いてんの!?」
「生産職ってすごいんだねぇ」
拠点の屋上へ向かうための観覧車を見て、従業員組仲良しトリオの、チナノ、マユ、メナの3人組が目を輝かせていた。
確かにこの観覧車、なぜ動いているんだろう? 動力は?
チラリと拠点の中を見ると、がんばって働いている〈伝説の猫〉ゴーレムさんたちを発見。なん、だと? この施設、猫さんたちの頑張りで動いてるのか?
ちなみに猫さんたちは回し車の上で爆走中だ。回し車とは別名ハムスターホイール。ハムちゃんズが運動のための回転するあれだ。あれで動力なりを得ているのだろう。俺はスッと目を逸らし、見なかったことにした。
「よし! まずは俺が先陣を切る! この観覧車に乗って上までびゅーんとひとっ飛びだ!」
「ひとっ飛びはしないと思いますよ?」
フェンラが良いツッコミをする。
俺はそれに親指を立ててグーし、観覧車に乗り込んだ。
スイーッと運ばれる俺。動き続けているので降りるとき気をつけよう。
「おお! こりゃあ凄い!」
屋上に降り立つと、正面に1つ目の滑り台、左に2つ目のすり鉢状、右に3つ目の谷の滑り台へと続いている。これは最低でも3度上ってきて楽しまなくちゃいけないぜ。
お、注意事項の看板発見! ほほう、右に設置されている〈空間収納倉庫〉に浮き輪が入っているので、谷の滑り台を滑る人は使いましょう、と。ふむふむ。
加えて猫ちゃん動力で海水も汲み上げてウォータースライダーに流しているようだ。すごい手が込んでる。
「わ、とっと。降りるときがちょっと怖いですね」
「じゃーん! 天辺到達です!」
後続がどんどんくる。
フェンラとクラはさすがは前衛、フェンラがちょっとおっかなびっくりしていたが、無事に観覧車エレベーターから降りられて、クラは全く心配もなく降りてきた。続いてマルティだが。
「フェンラ~、クラ~」
「「マルティー!?」」
降りられず。そのまま下っていったんだ。
まるでスキーのリフトで降りられなかったアレのよう。
多分もう一周して戻ってくるので、その時手を貸すべし。
なお、チナノ、マユ、メナは普通に降りられた。
マ、マルティー。
「どれから行きますか? やはり、最初はスタンダードからでしょうか?」
「一番楽しそうなところがいいなー!」
「最終的には全部やろうね~」
チナノもマユもメナもマイペース!
最初は彼女たちが1つ目の滑り台で海へと滑っていったんだ。
「「「きゃー!」」」
うんうん、いい悲鳴だ。良き黄色い悲鳴と書いて良黄と読んでほしい。なんちゃって。
なお、その後はミト、ユナ、ミアハ、と続いて上がって来たが、マルティおらず。
「なんか猫と遊んでたんね」
「それ動力! 遊んじゃダメなやつ!?」
ミトの報告にちょっとビビるが、あとでせっせと回し車の上を走る猫ちゃんたちをポーッと眺めているだけだと知って安心することになるのだった。
そういえばマルティって、濡れるの嫌がってたな。これでいいのかもしれない。
「まずは1つ目のウォータースライダーからいくぞー!」
「はい!」
「おおー!」
「分析によると、これはもっともスピードが出るタイプのようです。危険を予測します」
「まあまあ、ユナもまずは体験して見ろって。最悪ここから落ちたってHPが仕事するから怪我なんて負わないしな!」
俺、フェンラ、クラ、ユナでまずは1つ目のウォータースライダーにチャレンジ。
ユナは【姫侍】だったこともあったのに(3週間くらい)、この4階から滑る滑り台がちょっと怖いらしい。
まずは体験して怖くないと教えてあげないとな。
「ゴー!」
「「「わわわわわ! きゃーーーー!!」」」
滑って、勢い付けて、海にダイブ!
4人で一気に滑り下りてまったぜ!
「ははははは! 超楽しい!」
「なんですかこれは、戦闘の時よりも遅いはずなのに、やけにスリリングを感じました」
「私もです! これは楽しいですよ!」
「なんだかちょっとだけみなさんの気持ちが解りました」
「そうか! よーしこのまま2つ目、3つ目も制覇するぞー!」
こうして俺たちは2つ目のすり鉢状と、3つ目の谷にもチャレンジした。
「おおおお! 回る! 回る! というか回りすぎーー! これなんかバフとか入ってんだろアルルー!」
すり鉢状の滑り台では渦巻きのようにぐるぐると回って下に排出。
いやぁ、これも面白っ!!
続いては3つ目! 浮き輪を使った谷のウォータースライダー、いや、もうこれウォーターアトラクションだろ!
途中までスライダーだが、最後は谷へ直滑降。しかし、Uの字の谷によって向こう岸へと駆け上がる! しかし、途中で勢いが無くなって落ちてしまうのだ。
「あー」
なぜかこれがたまらない不思議。
そのまま何度か谷を往復して、最後は海へと流れてしまう。まるで自然の川のように。
これが自然体験というものか。(違います)
やっべ、3つとも、超面白いじゃん!
え? 3つ目は2人乗り可能? よし、次は1つの浮き輪に2人乗りだ!




