#1868 レイドボス周回してレベル上げ、驚異のLV85!
「それじゃあ、今日も元気に〈ヨウネル〉周回、行ってみようー!!」
「「「おおー!」」」
「…………」
〈ヨウネル〉を撃破してから俺たちはもちろん周回に突入した。
〈猫津波〉は周回に不向きだからな。
〈ヨウネル〉の攻略法は日に日に洗練されていき、ついには最上級ダンジョンの罠を使って足止めし、一斉攻撃する戦法が確立されたほどだ。もちろんその方法を伝授したのは俺さ。こっそりとアドバイスしたからバレていないはずだぜ! ふはは!
あと早々に追加で〈竜笛〉が2個もドロップしたのが大きかったな。
さらに周回が捗ってしまった。
そんなこんなで、4日後には俺たちのLVは、なんと85にまで育っていた。
「これが、〈猫界ダン〉の成長限界でしょうか?」
エステルの問いに、俺はそうだろうなと頷く。
「おそらくな。〈樹界ダン〉でLV75、上級上位ダンジョンからLV10もレベルキャップが解放されていた。ならば〈猫界ダン〉が〈樹界ダン〉よりもさらに10分のレベルキャップが解放されたとしてもおかしくはないな」
「すっごく強くなったわよね! 今では〈フェアリークイーン〉なんて大した相手じゃなくなっちゃったわ!」
そりゃ、初めて〈フェアリークイーン〉と戦った時はまだLV68とかだったからな。あれから17も上がっているのだからそりゃ大した相手じゃなくなるだろうさ。
「なんだか、あれからそれほど経っていないはずなのに、成長度合いがここに来て一気に上がった感じがするわね」
「最上級ダンジョンではランクごとに攻略しなくちゃいけないが、代わりにレベルキャップが10ずつ解放される、か。レイドボスなんて高難度になるはずだな」
最上級ダンジョンはマジ難易度高い。
だが、その難易度に見合う成長率を与えてくれるのだ。
最上級ダンジョンに入ダンした時はLV65しかなかったのに、あれから2ヶ月ちょいでLV85になっているからな。
この分ならさらに2ヶ月後には――ふはは!
「かなり強くなったし、今なら〈猫津波〉も周回できそうな気がするな」
「〈猫津波〉ね! 私も賛成よ! 今度こそ圧倒的に勝ってやるわ!」
「ね、〈猫津波〉と戦うのかい?」
「今の私たちなら勝てる、のかなぁ」
俺がそう話題に出すと、真っ先にラナが了承してくれる。
だが、他のメンバーは二の足を踏む者も多かった。
〈エデン〉があれほどまでに追い詰められた戦闘も他に無かったからな。
猫たちの大群に攻撃を撃ち込まなくてはいけないという側面もあり、〈猫津波〉に苦手意識を抱えているメンバーは多い。
だが、欲しいドロップもあるし、俺はみんなに〈猫津波〉も慣れてほしいのだ。
俺は心を鬼にしてギルドメンバーに〈猫津波〉周回に参加してもらった。
あれからLVが10近く上がっているのだ。
それに初見でもないこともあり、かなりの成果を上げることに成功する。
「え? 勝ったのかい?」
「や、やったぁ! なんだか前よりもだいぶ楽だった気がするんだよ!」
支援職組のニーコとカイリですらこの反応だ。
〈猫津波〉は確かに圧力が高く、初見だと呑み込まれて「ペッ」されることが多いとんでもないレイドボスだ。
だが、慣れてしまえばどうということはない。強すぎる分、攻撃パターンが読みやすいからだ。基本は呑み込むだけだしな。
それに〈猫にコミットする黄金じゃらし〉の存在も大きかった。さすがは猫特効アイテム。あれをひょいと垂らすと、それはそれは大げんかが始まるのだ。猫じゃらしを捕まえられないようにするのが大変だったんだぜ。
あれによって動きを止めた隙に攻撃をするを繰り返し、かなり削れたんだ。
「レイドボス〈猫津波〉のドロップもあまりゲットできていなかったし、ここでいっぱい集めておくに限るぜ!」
「宝箱がいっぱいよ!」
ということで、〈猫津波〉も周回されることになってしまったのだった。
全ては〈金箱〉のため! そしてレジェンド装備のためだ!
ふはははははは!
5月のダンジョン週間がここで終わってしまったので、今は放課後を〈猫界ダン〉ボス周回に充てている。
攻略階層の更新は土日かダンジョン週間の纏まった時間にやることにして、まずは装備を整えようということになったからだ。
おかげで装備が結構充実してきた。
LV85相当の装備品ともなると豪華で素晴らしく、周回を優先させても揃えたい品ばかりだったのだ。
マリー先輩なんか。
「うっひょー! また凄いレシピをこんなに手に入れてからにー!! なんぼでも持ってきてくれてええで!」
なんて言うんだ。くっ、これ以上の度肝を抜くには〈猫界ダン〉だけでは足りなくなってきている気がする!
まあ、いいんだけどさ!
また、〈エースシャングリラ〉の方も順調だ。
「ミツル、ソア、そっちはなにか足りないものとかあるか?」
「だ、大丈夫です! むしろこんなに強くなっちゃっていいのかって、少し心苦しいくらいなんです!」
「も~、相変わらずミツル君は硬いな~。そんなことだとお兄さんといつまでたっても仲良くできないよ~? ほらルル先輩を見習って、ここはぎゅーと抱きついたりしてスキンシップだよ!」
「なにしてんだ姉ちゃん!? 男がいきなり抱きついたりしたらそれこそ仲に亀裂が入るだろうが! ――はっ!?」
相変わらず仲の良い「子爵」姉弟だ。
ミツルは相変わらず俺の前だと丁寧な言葉を意識しているようだが、ソアにはかなり砕けた口調だ。いつか俺にもそんな感じに声を掛けられる信頼を築きたいものだな。
〈エースシャングリラ〉はモニカが昇格してから、実は再度大面接はまだ行なっていない。俺たちが〈猫界ダン〉攻略に集中したいのと、〈エースシャングリラ〉のメンバーもまだまだ自分たちの新しい能力を練習している最中で、さらなる後輩を募集する余裕が無いためだな。
とはいえ、ソアやミツルなど、一部のメンバーはすでに上級ダンジョンに入ってもらっており、過疎っているダンジョンの階層でエリアボス周回してもらいつつ、レベル上げをしてもらっている。五段階目ツリーが開放されるのも時間の問題だろう。
Aランクギルドとしてはまだまだ弱いが、Bランクギルドから仕掛けられるランク戦をはね除ける実力は有しているはずだ。
〈エースシャングリラ〉のメンバーが職業に慣れたら、次は〈ジャストタイムアタック〉を初めとするギルドバトルの戦法を叩き込もうと思っている。
この調子で2学期か遅くても3学期にはSランクギルドに挑戦させる予定だ。
今からワクワクしてくるぜ。
強くなることが楽しいのか、〈エースシャングリラ〉のメンバーも積極的に俺の言葉を吸収して自分の力にしようと邁進してくれているのでどんどん強くなっているな。
こうして日々は過ぎていき、6月6日の土曜日。
「よし、今日から〈猫界ダン〉の深層に突入するぞー!」
「「「「「おおー!」」」」」
5月のダンジョン週間が終わって次の土日、そろそろ〈猫界ダン〉を攻略する!
うむうむ、みんなも気合いが入っているな。LV85だもん。
SPを振ってパワーアップしたスキルや魔法を使い、〈ヨウネル〉や〈猫津波〉を狩りまくった俺たちは、練習も万全だ。
深層から登場する徘徊型も、この最奥に待ち構えている最後の猫のレイドボスも対抗できるだろう。
1日10層ペースで階層を更新していく。
〈樹界ダン〉のちょっぱや攻略を思い出すぜ。やはり丸1日攻略に充てられるの、良き。
こうして俺たちが80層に突入したときのことだった。
「ゼフィルス! なんだかこの階層、嫌な感じがするわ!」
「それ〈樹界ダン〉の徘徊型が出た時も言ってなかったっけ!?」
またもやラナの勘が冴え渡ったのだ。
「全員警戒しろー! この階層には、徘徊型が居る可能性が高いぞ!」
俺は即でみんなに警戒を周知する。
実際ゲーム時代も80層は魔の階層と有名だったのだ。徘徊型がよく出没して、全滅することもあったからな。
「あ、なんか『危険感知』に反応あるかも!」
「ん! 『直感』に来た! なにかこっちくる!」
え? カルア『直感』さんが反応してるの?
俺の『直感』さん!? どういうことですか!?
しかし俺の『直感』さんの反応は無かったのだった。
「あそこ!」
「え、どこ!?」
「なにも見えないよ!?」
「! シエラ! トモヨ! あっちに向けて全力防御!」
「『アブソープション・ワン・フォートレス』!」
「『主の盾』!」
即でカイリが指をさした方向に全力防御を指示。
シエラとトモヨが前に出て、いきなり〈六ツリ〉の強力な防御を展開した瞬間。
ズッドオオオオオオオンという衝撃音が響き渡り、気が付けば、シエラとトモヨの盾に阻まれた、徘徊型と思わしきボスが激突していた。
「エンカウント!」
「アイコンは――6ですわ!」
「これが徘徊型ボス!?」
「猫? いや、ドラゴンなのですか?」
エステル惜しいな。こいつの正体は――〈ドラゴン猫〉だ。
シエラとトモヨの盾を突破出来ずに弾かれたその徘徊型は、奇妙な姿をしていた。
全長10メートルほど。今までのような普通の猫っぽいボスではない。ドラゴンにも似た真っ赤で燃えるような色合いやウロコ、そして翼を持ち、非常にドラゴンっぽいボディなのだが、シルエットやフォルムは猫そのもの。顔も猫という、まさにドラゴンと猫が融合したような姿の徘徊型ボスだったのだ。
「『看破』! 出ました。このボスの名前は――〈融合化・ドラゴン猫〉です!」
「どっちよそれ!!」
「ドラニャー!!」
「今このボスどらにゃーって言った!?」
くっ!? さすがはラナ。的確なツッコミ!
でも俺としては「猫なの? ドラゴンなの?」ってちょっと言ってほしかったぜ!
その正体は、猫だけどな! ここ、猫の世界だし。
「このボスには1班、2班、4班、5班、7班、そして10班が担当する! 行くぞ!」
「え!? ちょ、ゼフィルス私は!?」
「ラナは待機だ! 俺が居ない間の指揮は任せる!」
3班のラナを待機させ、俺たち6パーティで徘徊型に挑む。
ラナを待機させたのには意味があるのだ。
なにしろここは、これだけでは終わらない階層だからな。




