#1862 猫にコミットするアイテムが大量に!?
「出たーーーー!! 〈金箱〉3つだーーーー!!!!」
「ん!」
「猫さんたち、ちょー強かったのです!」
「です。ルクス様まで猫津波に呑まれたときはどうなるかと思いました」
イエス〈金箱〉バンザイ!
ニーコは純粋に、カルアは猫津波でトドメを刺した〈猫キング〉に勝利のドヤ顔だった。
あとはボスが強かったという話題に移る。ルルやシェリアなど、猫津波の威力におののいた者も多かった様子だ。
「今までのボスで一番強かったわね」
「あれだけの猫モンスターが押し寄せてくる。あの〈猫ダン〉の禁足地も納得ですわ」
「これは次の周回、どうやって攻略しようかしらね?」
「そうですね。猫津波はばらけることはせず、全ての猫が同じ方向に向かっていました。挟撃した時も、全員が反転していましたし、分散せず一方向にしか進めないのだと思います。そこにチャンスがありそうです」
ふむふむ。みんなもう周回に頭を捻っているな。
今回、〈エデン〉史上稀に見る、ギリギリの勝利だったからな。
まあ、実際光になったのは召喚体やテイムモンスターだけで、戦闘不能者は出なかったんだが。出てもおかしくはなかった。猫津波に呑まれたリカとかノーアとかな……。
危うく〈エデン〉から初の戦闘不能者を出すところだったんだぜ。
あとエステルが正解。猫津波はかなり強いように見えたが、その特性上、猫津波は一方向にしか進めないため、二部隊以上で囮と攻撃を繰り返せば勝てる。
リスクはあるけどな。猫津波に追いつかれないくらいの移動速度が求められる。
受け止めると大抵は呑まれるので、囮は逃げの一手を推奨。
それを後ろから追いかけながら挟撃し、猫たちが反転したらこちらも反転、囮役と攻撃役をスイッチするという戦法だ。
これもあとで周回するときに試してみよう。やるには適切なタイミングと事前知識が必要なのでさっきは言えなかったが、今なら作戦を練られるからな。
それはともかくだ。
「みんなー! 反省はあと、まずは〈金箱〉のお楽しみタイムと行こうじゃないかー!」
「いいじゃないか!!」
「〈金箱〉タイムね! 難しい話はあとだわ!」
「はい! 今回はどんなものが入っているのでしょうね?」
「また猫のコスプレ装備かもしれないのです!」
「となるとこれには~、すごく猫なものが入ってるかもしれないの! アリスも猫さんになりたいの!」
「はう。今キュンと来ました……」
アリスは、仲の良いキキョウとゼルレカが獣人だからか、自分も獣人のコスプレをしたいらしい。今度叶えてあげようと思う。
それはそれとしてルルとアリスのやり取りに若干1名、胸をキュンとされて倒れたが、エリサが救助していたので気にしない。
〈金箱〉は3つ、いつも通りクジ引きで決めると、なんと最後の2本まで当たりが残ったんだ!
50本中、48本が抜かれ、最後に残ったのは2本、1本は当たり、1本はハズレだった。すっごいドキドキしたよ。そんな最後のクジを引くのは――シエラだ。
やや半眼のシエラがドキドキ震えている俺を見ながら右のクジへ、左のクジへと手を彷徨わせてな。そのたびに目で追いかけてしまったんだ。俺、シエラに試されてる!
「シエラさんが珍しくゼフィルスさんの反応を楽しんでいますわ」
「なによあれ! 私も最後に引けば良かったわ!」
「シエラさん、いい加減に引いてください」
「仕方ないわね」
最後はアイギスに促されて右のクジを掴みゆっくり、それはそれはゆっくりと引き抜いていったんだよ。シエラめ、分かってる!
ドキドキは最高潮。引き抜かれる寸前は誰もが息を飲んだ。
そして引き抜かれたクジは――ハズレ。
俺が手を広げて残ったクジを見てみれば、そこには赤色の当たりクジが残っていたんだ。
「ひゃっほー! 俺の番だー! 今回は絶対良い物が入っているはずだー!!」
「はずなのー!」
「たはは~!」
今回クジを引き当てたのは俺、アリス、そしてミサトだった。
良い人選だ! クジ引きの結果だけど!
「俺からいくぞ! みんな、刮目して見よ!」
「いいわ! みんなで一緒に祈るわよ!」
「ああ〈幸猫様〉〈仔猫様〉〈愛猫様〉! いつも素敵なものをありがとうございます! どうか、どうかどうかどうか! 今回も良いものをお授けください! よろしくお願いします!」
柏手を打って真剣にお祈り!
いざ!
パカリと〈金箱〉を開ける。
そして中に入っていたのは――1枚のレジェンドレシピ!
「ガクン」
「あれ!? ゼフィルス先輩がガッカリしているよ!?」
「レジェンドレシピに不満を表しているってどういうことですの!?」
はっ! しまった。態度に出ていたようだ。
〈猫界ダン〉レイドボスのドロップには、あれが入っている可能性がある。
もしかして、来るか!?
そう思ったのだが、出たのはレシピ、これじゃない。それが表に出てしまったようだ。まったくカグヤとサーシャは鋭いんだぜ。
「こほん。ルル、『解読』を頼む」
「おまかせあれなのです! 〈幼若竜〉、いくのです! 『解読』!」
〈幼若竜〉を両手に抱いて呼ばれるのを待っていたルルに頼んで『解読』。
レジェンドレシピに書かれた文字が、徐々に読めるようになっていった。そこには。
「これは、〈猫のなりきり装備シリーズ全集〉だ!」
「「「「〈猫のなりきり装備シリーズ全集〉!?」」」」
「にゅ! 猫さんになるのです!?」
「なるの~??」
「〈ヘルプニャン〉みたいな感じです?」
「お、キキョウのそれが一番近いようだな。全身に装備する猫の着ぐるみ装備みたいだぞ。道中出たネコミミとネコ尻尾とは、また別の扱いの装備みたいだぞ」
「それレジェンドですの!?」
「伝説の猫の着ぐるみってちょっと興味あるよ!?」
〈ヘルプニャン〉とは、うちの〈幸猫様〉のボディガードを任せているアイテムだ。
なぜか全身猫の着ぐるみを来ている可愛いやつである。あれ? 今は兎の着ぐるみを着てるんだっけ? まあいい。
要はあんな感じだと伝われば良いのだ。
すると、アリスがとてもキラキラした瞳でレシピを見つめていることに気が付いた。
「アリス、それ着たいの!」
「ふむ」
ちょっと考えてみる。猫の着ぐるみ全身装備を着たアリス。良いじゃないか。
レジェンドレシピなので見た目に反して能力は鬼のように高い。
この前当たった〈真の猫クラミハマネ〉のように、装備スキル『猫ダッシュ』や『猫まっしぐら』などの、猫系モンスターが使う移動系スキルを使えるようになるので、ギルドバトルや特定のダンジョンでは猛威を振るった装備でもある。尚且つ可愛いので、ゲーム時代はそれはそれは色んな女の子キャラに着せたものだ。
俺的にはありである。しかし、それに待ったを掛ける者が居た。
「ちょっと待ってアリス! 着るのはいいけど、これでダンジョンの中は危ないと思うよ!」
「確かにな。ダンジョンに入らないってんなら、さすがに製作コストが重めだし、作るのは無理じゃねぇか?」
「えー!?」
そう、キキョウとゼルレカだ。
まあ着ぐるみ装備でダンジョン潜るとか正気を疑われるかもしれない。そりゃ待ったを掛けるよ。
しかも無駄に性能が良いレジェンド装備なので、製作コストを考えると遊びで作るのも躊躇われる。レイドボスのドロップとか使うし。
だが、ここでハプニング。
「お兄ちゃんー!」
「よーし、お兄ちゃんに任せとけ! しっかり良いのを作ってやるからな!」
「わーい!」
「こら」
はふん!
誰だ、俺の脇腹をつついたのは!?
振り向くとそこにはシエラの顔があったのだ。分かってたよ。俺の脇腹をつつく人なんて、シエラ以外に居ないもん。最近、シエラに俺のブレーキの位置がバレている気がする。
そしてシエラの目は、とってもジト目だったんだ。こ、これは俺が「お兄ちゃん」という言葉に屈したとバレてる!?
「まあ、1つくらいならいいけれど、あまり簡単に承諾しないの。あと、重要な装備の方が優先度が高いから、この装備は余裕ができてからにしてね」
「シエラ~!」
さすがはシエラ! 話が分かる!
サブマスターの許可が出たぞーー!
こうして〈猫のなりきり装備シリーズ全集〉は今後余裕が出たら作ることに決定。それを聞いたアリスだけじゃなく、女子たちも燃えているように見える。
あれ? もしかして1つじゃ収まんなさそうな感じ?
「次はアリスが開けるのー」
「おっとそうだった! 次はアリスの番だな!」
「お願い〈幸猫様〉〈仔猫様〉〈愛猫様〉。アリスにいいものください!」
こ、こんなお願いされたらいいものを与えないわけにはいかないよ!
〈幸猫様〉はいったいどんなものをくださるのか!?
アリスが宝箱を開けると、中から出てきたのは、金色の猫じゃらしだったんだ。
「お? おお~! 猫じゃらしだ~!」
「これはまさか、テイムアイテムなのかい!?」
「すぐに『解析』プリーズ!」
フラーミナとシヅキが即反応。
今まで出た猫じゃらしは、全てテイム補助アイテムだった。
もしかしたら最上級ダンジョンのモンスターがテイムできるかもしれない。
フラーミナたちの期待が高まる。しかし、これはもっと凄いものだった。
「『解析』なのです! これは、〈猫にコミットする黄金じゃらし〉って言うみたいなのです。猫の気を一瞬引く効果のある猫じゃらしとあるのです!」
「「へ?」」
「え? 待ってルル。それってもしかしてボスも? ボスの気も引けるの?」
「そうみたいなのです!」
それは猫の気を引くアイテム。
テイムするのに気を引くことができるのはもちろん、ボス戦中、ボスの気をちょっとだけ逸らすことが可能になるという性能だったのだ。
これな、〈猫津波〉に使用すると、なんと襲い掛かろうとしたところへ待ったが掛けられるんだ! 引き寄せるまではいかないまでも、「その津波、ちょっと待った」が可能になる。回数は4回。
凄まじく有用なアイテムだというのが分かるだろう。誰でも使えるというのもポイントだ。
〈猫津波〉戦で大変活躍するに違いない。まさに大当たりだった。
「たは! 最後は私だね~」
「オチが見えるな」
「な、なんてことを言うのかなメルト様!?」
ミサトが〈金箱〉の前にしゃがむと、メルトが珍しく負け惜しみ!
きっと当たりクジが引けなかったことが悔しかったに違いない。俺には分かるんだ。
「ゼフィルスよ。何を考えているのかなんとなく分かるが、それは勘違いだ」
「だからなんで俺の考えていることが分かるんだよ?」
ふむ。本当に勘違いなのか。見極めなければならないな。
ミサトはお祈りを済ませると、勢いよく宝箱を開いた。中には、召喚盤が入っていたんだ。
「あ、これ召喚盤だ!」
「ん!!」
「召喚盤だとーーー!?」
「レイドボスの召喚盤がドロップしたの!?」
なんとドロップしたのは召喚盤。
そう、レイドボスからドロップした召喚盤だ。
つまりはこれ、レイドボスを召喚できる召喚盤、ってことだよ!
フラーミナが一瞬で食いついていたな。
「ルル、頼む!」
「お任せあれ、なのです! 『解析』! これは――〈猫津波の召喚盤〉と出たのです!」
「これは是非私に使わせて欲しいんだよ!」
「待ってフラーミナちゃん! 今回拠点が壊されちゃったじゃない? ここは拠点の防衛に使うのが良いと思うんだよ!」
「私も使いたいんだけど! 大魔王様たちを倒しちゃったレイド猫ちゃんたち!」
誰もが予想したとおり、これは〈猫津波の召喚盤〉。
あの最強の猫津波を召喚できるようになる召喚盤だった。
速攻で召喚盤を使うことができるフラーミナ、シャロン、シヅキが立候補していたな。
フラーミナのモンスターはチーちゃんを残して全滅し、シヅキの大魔王も1体を残して呑み込まれ、最後にシャロンとヴァンが作っていたお城まで占領されたし、当然だな。
結局これはシャロンが使うことになった。
拠点の守りを厚くする必要性が勝った形だな。レイドボス戦で安全地帯の作製はマジで重要なんだ。
「シャロン、〈猫津波〉と拠点を頼むぞ!」
「防衛猫ちゃんで拠点を強化するよ!」
こうして〈猫津波〉の〈金箱〉回も無事終了。
しかし、今回の〈猫津波〉はあまりにも戦闘不能者が出かかったため、周回はもうちょっとレベルが上がったらということになった。
となると、目指すは60層で周回だな。
ここ、〈猫界ダン〉の60.5層レイドボスは、レベルキャップが85まで解放されているんだ。




