#1838 打ち上げとモニカ紹介!Aランク戦の準備完了!
「〈エースシャングリラ〉無事勝利! Bランクギルド昇格を祝って、乾杯だーーーー!」
「「「「「かんぱーい!!」」」」」
「また打ち上げだ!」
「〈エデン〉って打ち上げ多いね!」
ジョッキを上げて乾杯だ。
もちろん内容は〈エースシャングリラ〉対〈天下一パイレーツ〉戦の勝利のお祝い。
また俺が音頭を取ることになってしまったぜ。
「ミツル! ソア! 飲んでるか!」
「は、はい! いただいてます!」
「硬いぞミツル! ギルドバトルでは、常に柔軟な思考と行動が求められる、気を抜けとは言わないが、もっと柔軟性を養うんだ!」
「わ、分かりました!」
「あははは!」
「ソアはどうだった今回のギルドバトル!?」
「へ? えっと、Bランク戦なのにこんなに楽勝で良かったのかなって、ちょっと思ったかな?」
おお! ソアがナチュラルに〈天下一パイレーツ〉をザッコって言ってるぞ!
サターンたちが直接聞いてたら絶叫するんじゃないか?
「ソア、あれだけ楽勝だったのはゼフィルス先輩の作戦のおかげ。私たちの力だけでは難しかった」
「お、シオン、それにユナも良いところに! 作戦Gが完璧に決まってたな!」
「あそこまで読み切るゼフィルス先輩の眼力に脱帽でした。本当に全部その通りになって驚きましたよ」
シオンとユナも合流して話し合い。〈エースシャングリラ〉の主力メンバーを褒めていく。ソアとミツルはサターンたちを除く〈天下一パイレーツ〉メンバーを撃破する別働隊として活躍してくれたんだ。
モニカが「最近ポリスがまともになってきやがりましたから、叩いた方がいいかもしれねぇです」とヒーラー撃破作戦を推奨してくれたので、ソアたちに言って真っ先に叩かせてもらったんだぜ。
「後は、〈学園春風大戦〉だな! さっきAランク戦にエントリーしてきたぜ!」
「いや、創立してからまだ3週間しか経ってないはずなのにもうAランク戦とか、〈エデン〉はハチャメチャだよ!」
「本当にそう。力の差がありすぎて僕たちじゃBランク戦でも勝てないって思ってたのに、楽勝だったし」
「でも油断はダメ。Bランク戦の相手だったギルドは〈エデン〉と昔から何度もギルドバトルをしてきた人たち。ゼフィルス先輩も相手を知り尽くしていたから楽勝だった。次からはそうはいかない」
「だね! 特にAランク戦は〈拠点落とし〉でしょ? 事前に作戦練っていても限界があるし」
「私も全力で頑張りますが、〈拠点落とし〉は初めてですし、不安があります」
「それならちょうどいい子たちがいるぞ」
「え?」
さすがは1年間激動の時代の学園で過ごしただけあってミツルもシオンもソアも現実を見ているな。ユナは1年生だから経験不足を懸念しているようだ。
〈学園春風大戦〉、Aランク戦〈拠点落とし〉は三つ巴どころか、今回は21つ巴だ。
Bランクギルドの枠は全部で30。そのうちいくつかのギルドが解散したため21の戦闘ギルドが参加するらしい。
故に21のギルドが1つのフィールドで争うのだ。さすがの俺でも事前の作戦だけで全てをカバーすることはできない。
故に指揮官が必要だ。
現場で指示を出す、優秀な指揮官が。
ということで、2年生代表たちをその子たちの下へ案内する。
「モニカ、今良いか?」
「もちろん、大歓迎でやがりますよ。今日はお招きいただき、ありがとうでやがります」
そう、その相手とは――モニカだ。
実は今日の祝勝会に呼んでいた。
なにせ〈天下一パイレーツ〉に勝った〈エースシャングリラ〉はその日のうちにBランクギルド証をもらっている。
手渡してきたサターンの顔が今でも忘れられない。顔がハニワになっていたからな。
こほん、つまりこれで上限人数が30人になったのだ。
新しいメンバーを加入しないとAランク戦〈25人戦〉で人数が不足してしまう。
ということで、ここでまず5人のメンバーを追加する。
「モニカに紹介しよう、〈エースシャングリラ〉のギルドマスターソア、サブマスターのミツル、そして幹部であるシオンとユナだ」
ユナは14人ランクアップの時に会っているだろうが、話す機会は無かったはずなのでここで改めて紹介しておいた。すると、ソアたちが反応する。
「し、知ってるよお兄さん。1年生の頃はクラス同じだったし、というかなんでモニたんが居るの?」
モ、モニたん?
え? ソアってモニカのことをモニたんって呼んでるの?
「あれ? ソアは聞いてやがりませんか? あたしも今日から〈エースシャングリラ〉に加入するんでやがりますよ?」
「ええー!!」
「びっくり。というか、ギルドマスター交替の予感」
「わ、私の地位と立場がー!」
モニカの話はサプライズ。
〈天下一パイレーツ〉が賭けに望んだのは〈エデン〉に行こうとしているモニカの確保だったので、モニカが自分たちの〈エースシャングリラ〉に入ることは、ソアたちも初耳だったのだ。ソアがミツルに抱きついて嘆いているな。嘘泣きっぽいけど。
「でも姉ちゃんより頼りになりそう」
「こらミツル君なんてこと言うの!? 姉ちゃん本当に泣いちゃうよ!」
いや、じゃれているだけかもしれないな。
「まあ安心しやがりください。あたしが居るのはAランク戦だけの話でやがりますから」
「どういうこと?」
モニカの言葉にシオンが問う。
するとモニカが、〈エデン〉から〈エースシャングリラ〉に移動することはできない話を初め、故にモニカが〈エデン〉に入る前に一旦〈エースシャングリラ〉に加入したことなどを話していく。
「という訳でやがります。あたしは一時的な加入でやがりますからギルドマスターの地位は争わねぇですよ」
「そ、それを聞いて安心したよ~」
モニカは〈天下一パイレーツ〉の元ギルドマスター、僅か半年ほどでCランクギルドだった〈天下一パイレーツ〉をAランクギルドまで引き上げた、超がつくほどのエリート。
そんなモニカとギルドマスターの地位を争ったら敗北は必至。
ソアがホッと息を吐いていたんだ。
「もしかして作戦って、前に〈天下一パイレーツ〉が使ってたあれ?」
「ご明察でやがりますシオン。私が守るから、全員で倒せ。あの〈天下一パイレーツ〉でもできたシンプルでベストな戦術でやがりますね」
「……これは優勝も狙えるかもしれません」
シオンとユナの目に灯が灯ったのを幻視した。この子たち、クールに見えて内心熱いハートを持っているんだよ。
さっきまでどうすればAランク戦で勝ち残れるか、その作戦指揮などをどうするか途方に暮れていたが、モニカは文字通り、その戦術でAランクギルドに上り詰めた実績がある。
それを聞いて、シオンを始めみんなに希望の光が沸いていたんだ。
「頼んだぜモニカ。〈エースシャングリラ〉を勝利に導いてやってくれ!」
「問題無ぇでやがりますよ。〈エデン〉へ加入するための試練とでも思っておくでやがります」
「頼もしいな!」
モニカ1人で戦況が覆る。
それができるのが、モニカなのだ。六段階目ツリーの力、篤と味わってくれ!
「それじゃあ、モニカの加入話もここで宣言しておこう。壇上まで良いか?」
「もちろんでやがりますよ。――みんなも付いて来やがれです!」
「「「「おおー!」」」」
モニカばっかり紹介していたが、実は他にも4人の【賊職】メンバーも入ってくれた。モニカが直接育てただけあって、良いAGIをしているメンバーが多い。
一通りギルドマスターであるソアたちに挨拶したあと、壇上へと向かう。
「ここで新しい〈エースシャングリラ〉のメンバーを紹介するぞー!!」
「「「おお!」」」
「〈エースシャングリラ〉の次の目標は、〈学園春風大戦〉のAランク戦に出場し、勝利を掴むことだ!! そのためには〈25人戦〉の出場者を集めなくてはいけない! 残り5人、実はここに頼もしい新メンバーに来てもらっている! どうぞ壇上に上がってきてくれ!」
壇上でそう宣言して促すと、モニカを初めとする5人のメンバーが壇上に上がってくる。
「今回〈エースシャングリラ〉対〈天下一パイレーツ〉戦の切っ掛けとなったことでみんなも知っていると思うが、改めて紹介しよう。今回一時的に〈エースシャングリラ〉に加入してもらう――モニカだ!」
「よろしくでやがります! あたしが〈エースシャングリラ〉を必ずAランクギルドにしてみせるでやがりますよ!」
――――おお!
パチパチパチパチ!!
モニカの宣言に多くのお祝いと拍手が贈られる。
随分待たせてしまったが、ようやくここでモニカが〈エデン〉に連なるギルドへ加入できたな。
他の4人の紹介も終わり、これで〈エースシャングリラ〉は25人が揃った。
「〈学園春風大戦〉は金曜日から! まずはSランクギルドの空席である1席がAランクギルドたちによって争われる!」
この空席は――〈エデン〉の席だったものだ。
〈エデン〉がSSランクギルドに昇格したことで、Sランクギルドの席が1つ空いた。
そこを今回Aランクギルドたちによって争われることから〈学園春風大戦〉は始まる。
つまりAランクギルドから昇格ギルドが現れるのだ。
現在Aランクギルドは、解散した〈ミーティア〉と合併した〈カオスアビス〉と〈世界の熊〉の影響で2つの空席ができている。そこにもう1つ空席ができることになるため、席は計3つだ。
出場するBランクギルドは先ほども言ったように21ギルド。
Aランクギルドへの切符は――上位3位入賞だ。




