#1821 〈エースシャングリラ〉が色々ランクアップ!
それからも次々と〈上級転職〉が成された。
騎士男子たちはそれぞれ、
【聖騎士】→【ジャッジメントタンクナイツ】
【暗黒騎士】→【邪竜騎士】
【ワイルドナイト】→【竜騎士】
【魔装騎士】→【完全装甲魔装騎将】
に〈上級転職〉!
女子たちはそれぞれ、
【ナース】→【メディカルキャラバン】
【ドルイド】→【ミストルティン】
【ダンサー】→【エージェントダンサー】
に〈上級転職〉した!
「半日、しかも打ち上げが終わった午後の時間のみで全員上級職!?」
「【邪竜騎士】! さ、最近発見されたばっかりの職業なのに!?」
「【竜騎士】だ。すげぇ。え? 【竜騎士】? 本当に?」
「み、見たことも聞いたことも無いスキルが……!」
うむうむ。みんな気に入ってくれたようだ。
男子たちはなんだか半数以上が信じられないみたいな顔をしていたが、現実だぞ?
〈エデン〉に連なるギルドメンバーを名乗るなら、これくらい慣れてもらわなくちゃ困るぜ。ふはは!
「ゼフィルス様、楽しそうですね~」
「楽しんでるのは私たちの職業で、だけどね!」
「いいじゃないの、最高の贈り物だよ? これでもっと舞えると思うと身が入るよ」
なお、女子たちはこんな感じだ。
男子組との温度差よ。いや、【ミストルティン】の子はちょっと抵抗しているな。何に抵抗しているのかはお察しだ。【エージェントダンサー】の子は喜びを舞で表現していたよ。ダンスじゃないんだ?
いやしかし、みんなLV75カンストしていて良かったよ。ちょっぱやで〈上級転職〉できたからな。
まあ、カンストしている子を選んだのは俺たちだけど。
「ゼフィルス」
「シエラ! こっちは無事終わったぞ!」
「…………何があったかは察するにあまりあるわね」
半数くらい魂が抜けたような表情の新メンバーを連れて戻ろうとすると、途中でばったりシエラと遭遇した。
シエラが俺の後ろから力なく付いてくる新メンバーたちを見渡してポツリと呟く。
その表情は、とても見慣れたものを見る目だったんだ。
ジト目ください!
「シエラ?」
「なに?」
「ジト目は――じゃなかった。こほん、ランク戦の申請は終わったのか?」
「……今何か呟かなかったかしら?」
「シエラが気にすることじゃないさ!」
危なかったんだぜ、ちょっと本音が滑った。自重さんをそろそろ戻さなければいけないかもしれない。
「そう……。申請には行ってきたわ。今はどこのギルドも内部の立て直し、合併、引き抜きと大忙しで第七アリーナは空いているとのことよ。ランク戦は明日には可能とのことだったから、明日で申請しておいたわ」
「さすがはシエラだ!」
シエラにはサブマスターとして、下部組織のランク戦申請に行ってもらっていたんだが、思った以上に早くランク戦ができそうな気配だ。
明日早速のランク戦決定に新メンバーたちがザワザワしている。
「それじゃあ時間も無い、早速今からランク戦の練習に向かうぞ!」
「い、今から!?」
「半数以上が魂を持っていかれているのに」
俺の決定にミツルがビビリ、シオンが後ろを振り向いて呟く。
「なーに大丈夫だ! 新しいことをドンドン飲み込んでいけばすぐに過去のことになるさ! さあ、行こう!」
「わぁ。濃厚な時間になる予感!」
「姉ちゃんはなんで元気なの!?」
こうしてランク戦の練習をすることが急遽決定。
聞けばギルドバトル〈城取り〉を授業以外ではしたことがないメンバーも多いとか。
それはいけない! 人生を損しているぞ! これは早くギルドバトルの面白さを伝えなくてはなるまい!
その日の午後は、本当に歓迎会をやった後にすべきことだったのか、ちょっと考えてしまうくらいにはスパルタな練習になった。
〈エースシャングリラ〉を引っ張っていくためには生半可な実力では難しい。なにせ、Sランクギルドを目指しているのだ。もっと言えばSSランクギルドの実力を身につけてもらいたいところ。故に最初はちょっとスパルタ気味にさせてもらった。
「は、ハードだったぜ」
「はぁ~、楽しかったねミツル君!」
「あの訓練を楽しいとか言えるのは姉ちゃんだけだ」
「ソアは元気いっぱい。さすがは私たちのギルドマスターに据えられるだけある」
「あ、シオン。お疲れ~。さっきは回復ありがとね!」
「それが私の役割だから大丈夫」
スパルタな練習でコンビネーションや連携をたっぷり磨いたので、ギルドメンバーの仲もそこそこ深まった気がする。
今まで同じギルドのメンバーでもまだ仲間意識は無かったはずだしな。
そこら辺を重点的に意識させるようなスケジュールを組んだ訳だ。
各自ツーマンセルを組んでもらったりな。
「でも、これだけでランク試験に合格できるのか? 付け焼き刃じゃないか?」
お、ミツルが尤もなことを言っているな。ちょっとそこにお邪魔する。
「そこら辺は安心してくれていいぞ」
「あ、ゼフィルス先輩! お疲れ様です。安心してくれていいとは?」
「Eランク試験というのはいわゆるチュートリアル。合格出来るようになってるんだよ。だからよっぽどのことがない限り不合格にはならないんだ」
「へ? じゃ、じゃあこの練習は?」
「よっぽどのことを無くすための練習だな。つまり、何も知らない素人をギルドメンバーに加えただけのお粗末なギルドバトルにせず、付け焼き刃でも連携の練習をして、ツーマンセルをそこそこスムーズに動かせるようにしたかったわけだ。このEランク試験は、ツーマンセルの行動をよく見直そうという意味もこもっている」
「なるほど!」
俺の説明に納得と頷くミツル。容姿の通り、かなり純粋な子だ。
素直に先輩の言うことを取り入れるのは成長できる証。ミツルは伸びるだろうな。
「みんな聞いてくれ。今日1日で自分が成長した実感を得られたはずだ。明日のEランク試験はまず合格できるだろう。その後も当面はレベル上げよりもギルドバトルの練習に費やす予定だ。みんな、付いてきてほしい」
「「「「おおー!」」」」
お、1日で反応が〈エデン〉っぽく……!
良い感じに染まってきているじゃないか~。
やっぱり成長を実感できるのがやる気を上げるコツだな! 上級職の使い方もばっちりレクチャーしてやんよ!
翌日、〈エースシャングリラ〉初となるEランク試験、〈城取り〉のギルドバトルが開始された。
相手は〈エデン〉。
と言いたいところだが、俺たちと新メンバーでは実力に差が開きすぎているので、先生方を相手にするスタンダード式にしてもらった。
先生は3人、〈エースシャングリラ〉からは5人を出す。
今回一番成長が見られたソア、ミツル、シオン、それに【竜騎士】と【エージェントダンサー】の子たちを選んだ。
残りの子たちは見学だな。選ばれなかったのを悔しそうにしていたので今後に期待が持てそうな予感。きっと次のDランク戦までに色々と成長していることだろう。
Eランク試験の結果は――もちろん合格だ。
〈エデン〉時代にEランク試験で使った戦法を伝授したからな。
付け焼き刃にしてはかなり堂に入っていたのには驚いた。こいつはマジ伸びそうである。
「ゼフィルス先輩! 是非自分にも指導を!」
「私ももっと頑張りたい」
「負けてられないよ~」
「おおー!」
これには観戦席で見ていた残りのメンバーにもかなり気合いが入ったようで、練習に対する意欲がさらに上がっていたよ。
そしてさらに数日後、〈エースシャングリラ〉はDランクギルドになっていた。
Dランク戦は熱かった。10人全員でランク戦に挑み、試験官である古参のDランクギルドを相手に大立ち回りをして、ポイント差で勝った。
見事に俺の教えを吸収していると分かる試合だったんだ。結果はもちろん合格。
これで更なるステップアップが見込めるぜ!
「ゼフィルス様、そろそろ本格的に新1年生が学園都市に到着してくるかと」
「間に合ったな! 〈エースシャングリラ〉も10枠空きができた。これより新1年生の勧誘を始めるぞ!」
〈エースシャングリラ〉は次のステップに移る。
そう、新1年生の勧誘だ!
〈エースシャングリラ〉はDランクになり、最大で20人までギルドメンバーを増やせるようになった。
ここでさらに10人を仲間にし、〈エースシャングリラ〉を本格稼働させるぞ!
あとがき失礼いたします。
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