#1819 第二下部ギルド〈エースシャングリラ〉創立!
〈エデン〉の下部組織、〈エースシャングリラ〉の結成と第三回大面接の終了は、学園にまたもや激震というか突風というか竜巻を引き起こして通り過ぎていった。
通り過ぎた後に残ったのは〈エデン〉の下部組織に入れなかった者たちの屍たちだ。南無。
まさに死屍累々の惨状と言えるだろう。
そんな惨状を引き起こした〈エデン〉と〈エースシャングリラ〉のご本人たちは、全くもってそんなこと関係無しに打ち上げを行なおうとしていた。
いつものあれだ。
◇
「みんな集まってくれてありがとう!! 今日は新しいメンバーと新しい下部組織の結成の記念日だ! 〈エデン〉の下部組織の名は〈エースシャングリラ〉! その初期の10人が決まったぞ!!」
「「「「「おおー!」」」」」
「では入ってきてもらおう! 最初の10人だ! 拍手で出迎えてくれーー!」
場所は〈エデン〉のギルドハウス。
その大部屋で俺たち〈エデン〉と〈アークアルカディア〉のメンバーは、新たなるメンバーの受け入れを拍手で出迎えていた。
万雷の拍手の中、設置された壇上へと上がる10人の新たなメンバーたち。
子爵姉弟のソアとミツルに【人魚姫】のシオン、3人を中心に左右に分かれて並び、会場に居る〈エデン〉と〈アークアルカディア〉のメンバーに全員の顔を見てもらう。
「この10人が〈エースシャングリラ〉の初期メンバーだ! これで今日、Fランクギルドを正式に創立してきた! 全員が来年度からは2年生となる俺たちの後輩。ノーアたちの世代の中では知り合いもいることだろう! 仲良くしてほしい! それでは1人ずつ自己紹介と行こうか! まずはギルドマスターのソアから!」
「こんにちは! 今日は素敵な場に呼んでくれてありがとうございます! ギルドマスターをすることになった双子の姉、ソアだよ! それでこっちがEランクギルドになった時にサブマスターになる予定の弟」
「ミ、ミツルです。き、今日は姉共々、素敵な場に呼んでくださりとても嬉しく思って――」
「硬いよミツル君!」
「おっふ!?」
「もっと柔らかく、もっとフレンドリーにやるんだよ!」
「何をするこのバカ姉ちゃん! ――あ、いえ、その、が、がんばります……」
「拍手ー!!」
パチパチパチパチ!
しっかり者(?)のミツルのあまりの硬さにボディに指でツンを入れる姉。きっと姉弟にしか分からないラブ的なものを注入したのだろう。もしくはアネニウム的な何かを。おかげで緊張がどこかに吹っ飛んだミツルはお姉さま方(〈エデン〉メンバー女子)に受け入れられていったのだった。
ちなみにギルドマスターがソアで大丈夫か? という懸念もある。だって見た目幼女だし。
だがこの幼女、結構計算高い。
少なくともルルやアリスのような純幼女系ではなかった。どちらかというとエリサやフィナタイプ。色々考えて行動する系の幼女で、この10人の中では一番ギルドマスターの座にふさわしかったのだ。加えてミサトの推薦でもある。
あと、サブマスターを弟にすれば完璧だろう。ミツルには姉を支える意味でもがんばってもらいたい。
「続いてはマシロの推薦枠で入ってきた女子、シオンいってみようか!」
「シオン。マシロが本当にSSランクギルドでやっていけているのか心配で来ました。でも下級職でマシロよりも全然弱いので、もっとがんばって実力を上げたい所存」
「うむうむ。クールビューティでとてもいい!」
「ゼフィルス?」
「は、拍手ーーーー!!」
パチパチパチパチ!!
マシロを手助けするには実力が足りない。まずは助けられるだけの実力を得たいというシオンのクールさに「うむ」と満足していたら、俺の横に居たサブマスター様からなんだか迫力のある声をいただいたんだ。
こっそり振り向いてみたらジト目だった。ふぅ。良かった。
「つ、次行ってみようか! メルトから紹介された「騎士爵」男子たち――」
それから残りの7人も順に紹介していく。
紹介するのは、また男子だ!
実は今回採用するにあたって、俺は気をつけていたことがある!
「今回のメンバーは、男女に偏りが無いのね」
「おう! 男子5人、女子5人だ!」
シエラの感想に満足げに頷く俺。
〈エデン〉では初期から最強を目指したために女子ばかりになり、気が付けば男子をかなり入れにくい状態になってしまった。
それを防ぐため、〈エースシャングリラ〉では初期から男女半々にしたのである。
「男子は騎士が多いわね」
「騎士の強さは明らかだからな。それに、〈ホワイトセイバー〉も解散して久しく、騎士系専門のギルドっていうのはないからか、応募もかなりの数だったよ。それにメルトからの推薦もあって、ミツルを除いた4人の男子全員が「騎士爵」になっちまったぜ」
「騎士爵」は〈ダン活〉を進める上で絶対に必要なカテゴリー。入れない選択肢は皆無だ。
〈エデン〉では【騎士】系は4人全員が女子で【姫騎士】だった。偏りすぎ!
故に新しく入ってもらった4人は全員男子にし、その職業は【聖騎士】【暗黒騎士】【ワイルドナイト】【魔装騎士】など、バラバラの職種を求めたんだ。
なお、女子だと【姫騎士】に〈転職〉させかねないため、女子の騎士は採用してないぞ。
これで男子は全員だな。
「それで女子は【ナース】【ドルイド】【ダンサー】ね」
「こっちはみんなノーカテゴリー、じゃなかった。平民から選んだ。ヒーラーにアタッカー&デバフサポート、それとバッファーだな」
これで女子も全員だ。
ちなみに3人の内【ナース】の子だけはオススメ枠だな。ノーアの推薦だ。
【ナース】はヒーラーなのでとてもありがたく採用させてもらったよ。聞けばアイシャ並に頭が良い子らしい。即採用だな!
以上。〈エースシャングリラ〉の10人は、
タンクは【ヒーロー】と【聖騎士】。
ヒーラーは【人魚姫】と【ナース】。
アタッカーは【魔法幼女】【暗黒騎士】【ワイルドナイト】【魔装騎士】。
サポートは【ドルイド】と【ダンサー】。
ポジションの役割分担としてはこんな感じだ。
〈エデン〉で大体の〈姫職〉は網羅したので、今回はノーカテゴリーもそれなりに加える予定だった。
後は、この世界で未発見となっている壁画に描かれた職業なんか先駆者として引き入れたい所存。メルトのように自分のカテゴリーと相性が悪い子のために「貴人」系の壁画を見に行くのもありだろうな。
そんなことを考えながらシエラと会話していると、全員の紹介が終わる。
「ではこの辺でそろそろ乾杯したいと思う! みんなジョッキは持ったか!? 持ってない者はすぐに持て! それじゃあいくぞ! 新たな2つ目の下部組織〈エースシャングリラ〉の創立と、その新たなメンバーたちの加入と門出に、乾杯だーーーー!!」
「「「「「かんぱーーーーーーい!!」」」」」
ジョッキを掲げて乾杯だ!
なんだか打ち上げも久しぶりにした気がする!!
〈SSランクギルドカップ〉で優勝した時以来か? その次はクイナダの送別会がこの前……。
うん。乾杯は何度しても良いものだ!! かんぱーい!
この打ち上げは交流会も兼ねている。
早速と言わんばかりに先輩方が新メンバーとおしゃべりするために集まって来た。
気分は転校生に質問するメンバーたちだ。
みんな新たな仲間に興味津々といった様子だな。
「マシロはもちろん元気にやってるわ! 私の技とかもどんどん吸収していってるのよ! この前の最上級ダンジョンでも大活躍だったんだから!」
うむ。いつの間にかマシロの師匠的存在になってたラナがシオンを捕まえて説いていた。マシロの話を聞きに来たら、王女様が来ちゃった件……。
それを聞くシオンの動揺が顕著だ、マシロにチラチラ視線を送っていたよ。
なお、マシロはラナの隣でちょっとドヤッていて可愛い。
あんなマシロは見たことがない。クラスメイトの友達の前でしかしない仕草というわけだ。いいね。シオンを入れて良かった! パシャパシャ。
「ルルがお姉ちゃんなのです! ルルがビシバシ教えてあげるのです!」
「は、はい! ルル姉ちゃん、よろしくお願いします!」
「ソアの弟が一瞬で取られちゃった!?」
一方こちらでは、先輩風をビュービュー吹かせたルルによって弟ミツルがもう陥落していた。なんだか、自分の姉よりも尊敬している目でルルを見つめて、姉ソアが戦慄していたんだ。
うむ。ルルに掛かれば造作もないな。
騎士たちの方は……うむ、なんだか緊張で固まってるな。
女子が多いからなぁ〈エデン〉は。メルトやヴァンたちが向かったし、大丈夫だろう。がんばってほしい。
今回男子が相当増えたが、普段は別のギルドだし問題は起こらないだろう。起こしたらどうなるかも面接の時に十分説いているので大丈夫のはずだ。
こんな感じで〈エースシャングリラ〉の歓迎会打ち上げは無事成功!
そうなれば次はいよいよ――ランク上げ試験だな! 一気にDランクまでいくぞ!
あ、その前に上級職かな?




