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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第四十章 卒業とお別れと思い出作りの最上級ダンジョン

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#1806 徘徊型決着!〈幸猫様〉の頷きが深い!!




「…………一気に追い詰めるわ。『シールド・テラ・クワトロ』! からの―――『オープン・ザ・サウザンドシールド』!」


「コンガーーーーー!?」


「もう逃げられませんわ! 『四戦兵砲・エーテル・バスター・クワトロ』!」


「たたみ掛けるのよ! 『大聖光の無限宝剣』!」


 カイリのスキルで〈キングコンガ〉お得意の奇襲戦法が封じられると、そこからは〈エデン〉のメンバーズの独壇場だ。

 元々壁に潜らせないために準備していたシエラが、一瞬ジト目になるも小盾を巨大化し、千の盾を展開して〈キングコンガ〉を捕らえた。


 そして動けなくなったところをリーナとラナの攻撃を皮切りにしてがっつりダメージを与えたのだ。

 逃れようとしても壁には入れず、周囲はシエラの千の盾が囲っているため逃れることはできない。

 面白いようにダメージが入ったな。


「! 攻撃パターンが変わったわ!」


「次は木の根を武器にするパターンか!」


 ならばと〈キングコンガ〉が次にしたのは壁の樹をむしり取るようにして武器にする方法だった。

 樹をぶん回し、投げつけ、ぶっ叩く。しかも武器はそこら中から補充出来る。

 これがなかなかに厄介だった。だが、俺たちにとってはまだまだ対応可能。


「ミサト、カタリナは防御優先! メルト!」


「任せろ――『グラビティフィールド』! 『グラビティ・メテオ・エクスボール』!」


 ミサトとカタリナの結界で防ぎつつ、メルトには相手を中心に重力の力場を発生させて動きを制限させる。

 それでも暴れようとする〈キングコンガ〉は、続いてメルトに向かって巨樹をぶん投げようと振りかぶった。


「トモヨ!」


「うん! 『天使の破魔結界』!」


 これはトモヨの〈五ツリ〉。

 相手を中心にドーム状の結界を張り、攻撃すればドーム状の結界がそれを反射し相手に返してしまう大技だ。


「コンガーー!?」


〈キングコンガ〉の渾身の投擲は、目の前に張られてしまった結界により反射されてしまった。

 良い感じにダメージが入ってノックバックしたな、今だ!


「トモヨ解除! ――クイナダ!」


「うん!」


「任せて!」


 この隙を逃さず近くでずっと『必殺の溜め』をし続けていたクイナダが斬り込んだのだ。

 トモヨが結界を解除すると同時にクイナダの剣が大きなエフェクトに包まれる。


「『必殺・大神抜閃(おおかみばっせん)破邪銀狼華(はじゃぎんろうか)』!」


「コンガ!?」


 ズバンと超強力な一閃。

 クイナダの上級ユニークスキルが〈キングコンガ〉をぶった切り、とんでもないダメージを与えたのだ。

 だが、ここでアクシデントが起こる。

 やはり精神的に少し動揺があったのか、いつもならばそのまま回避運動に移るクイナダが、なぜかそのまま振り向いたのだ。


 だが、そこに居たのはまだHPを残す〈キングコンガ〉。

 しかも大ダメージを受け、怒りで攻撃した者へ無条件に反撃するモーション中。

 巨大なこぶしが隙だらけなクイナダに迫ったのだ。


「クイナダ回避!」


「『エンプレス・オブ・カバー』! ダメ、重いわ!」


「うっ!?」


 ズドンと最上級ダンジョン徘徊型の強烈な拳がヒットした。

 ギリギリでシエラがカバーしたことで受け止める事に成功はしたものの、攻撃があまりに重すぎて小盾ごとクイナダが吹っ飛ばされたのだ。


「クイナダちゃん!? ――『ヘブンヒール』!」


「『完全魅了盾』!」


「コンガーーーーーー!!」


 すぐに仲間がフォローする。

 ミサトが回復魔法を飛ばし、シエラがタゲを奪い、間にトモヨが入ってクイナダへの追撃を止めさせた。


「『ゴッドドラゴン・カンナカムイ』!」


 俺は万が一があれば転移でフォローするつもりだったが問題無さそう。

 なので側面から雷のドラゴンを嗾けて動きを止めると同時に大きなダメージを与えておいた。その間にクイナダが復帰する。


「みんなごめん、少しミスしたよ」


「大丈夫だ! それよりもまだ行けるかクイナダ?」


「う、うん! 今ので目も覚めた感じ、名誉挽回だよ!」


「よし、ついてこいクイナダ!」


 少しぼーっと気味だったクイナダも、今の衝撃で少しいつもの調子に戻れたらしい。

 ならば、後もう少しのHP、ここで削り切らせてもらおう!


「コンガーーーー!!」


「フォローする! 『アーカーシャ・グラビティ』!」


「コン!?」


 ここで〈キングコンガ〉が大ジャンプからのフライングボディプレスを敢行。

 懐かしい。中級レアボスの〈ドンコンガ〉のユニークスキルを思い出す。

 だが、これはメルトが重力で叩き落としたのだ。


「コンガーーーー!」


「一度こちらを見てくださいな――『わたくし、輝け』! 『超カウンターブラスター』ですわー!!」


「コンガ!?」


「あら?」


「お嬢様、無茶はしないでください! 『千剣の翼モード』!」


 怒りに燃える〈キングコンガ〉、HPがとうとうレッドゲージに突入し怒りでヘイトが入り乱れるが、シエラの『完全魅了盾』が切れたところでノーアが自分にタゲを向けてのカウンターをズドンと決めていた。

 ナイスカウンター! と言いたいところだが、怒りモードの〈キングコンガ〉は大してノックバックもせず反撃。ノーアを狩りに来る。しかしそこは従者クラリスが『千剣の翼モード』で無事ノーアの回収に成功していた。従者の面目躍如さすが!


「どこを向いているのですか――『彗星槍(すいせいそう)』!」


「そこ、隙だらけです――『ドラゴンファング』!」


 クラリスへ追撃の巨樹投擲をしようとする〈キングコンガ〉。だがそんな隙を見逃すはずもなく、エステルとシズの攻撃が容赦無く刺さった。


 HPが残り10%を切っているように見える。

 

「私が先行するデース!」


「助かるパメラ! 任せた!」


「『究極忍法・多重分身の術』デース!」


「コンガーーーー!」


 今度はパメラの番。

 大量のパメラ分身が大暴れせんとする〈キングコンガ〉を大量攻撃で抑えに掛かる。


「『忍法・影分身雷竜落とし』デース!」「『忍法・(えん)爆裂丸(ばくれつがん)』デース!」「『忍法・影分身爆裂丸(ばくれつがん)』デース!」「『巨大手裏剣の術』デース!」「『毒手裏剣』デース!」「『三属性手裏剣乱舞』デース!」「『豪炎斬波』デース!」「『氷結斬躯』デース!」「『雷斬り』デース!」「『くノ一流・一雨一度(ひとあめいちど)』デース!」


「コンガーーー!!」


 だが、ノックバックしない〈キングコンガ〉は分身パメラに容赦なくコンガパンチ。

 軽快な拳の連打で一気に10人もの分身パメラを仕留めてしまったのだ。

 なんて近づきがたい存在になってしまって。

 だが、クイナダの名誉回復のため、なんとか攻撃の隙を作りたいところ。

 こういう時に頼りになるのが――うちのシエラである。


「そのまま突っ込みなさいゼフィルス、クイナダ」


「頼んだぜシエラ」


「コンガーーー!!」


「「「うひゃあああデース!?」」」


 分身パメラの攻撃を強引に突破した〈キングコンガ〉が、その巨体に見合わないフットワークの軽さでシエラに向かって拳を放つ。

 シエラの体よりも大きな拳がシエラを襲わんとする。


「見切ったわ――『カウンター・レイ・ストリーム』!」


 見切っちゃった!?

 それはカウンタースキル。

 シエラの盾に拳が当たる瞬間。シエラの盾が光り、その衝撃ごと光の奔流となって〈キングコンガ〉にお返ししたのだ。


「ガッ!?」


 ズドンと強烈な衝撃。

 カウンター成功。むしろ失敗したところを見たことがない。


 ノーアのカウンターでも一瞬怯んでいた〈キングコンガ〉。

 シエラのカウンターでもやはり怯む。この隙、このチャンスは逃せない。


「クイナダ、仕留めるぞ!」


「うん!」


「いくぜ大技―――『天光勇者聖剣あまのひかりのゆうしゃせいけん』!」


 ズドンと巨大な聖剣が〈キングコンガ〉をぶった切る。

 聖剣の一撃を受けた者は、一時的に動けない。

〈キングコンガ〉の残りHPは、1%ほど。

 ここだ!


「トドメは任せたぜ、クイナダ!」


「はあああ! ――『狼王剣アルマーレイ・エスパーダ』!」


 ズドバーン!

 トドメのクイナダの一撃が凄まじい衝撃で〈キングコンガ〉をぶった切る。


「コン…………!」


 そしてズドーンと後ろに倒れる巨体。そのHPは、見事にゼロになっていたんだ。

 後ろには誰も居なかったのでセーフ。ここまでデカいと、ちょっと倒れるだけでも要注意だ。


 HPがゼロになった〈キングコンガ〉はそのまま膨大なエフェクトを発生させて消えていく。


 そしてエフェクトの消えた後には、金色に光る〈金箱〉が残されていたのだった。


「おっしゃ〈金箱〉だ! バンザーーーイ!」


「〈金箱〉よーーー!!」


「やったわね! クイナダ、あの暴れる〈キングコンガ〉によく飛び掛かったわ!」


「最後ヤバかったデース。近距離戦を仕掛けた私の分身が10体一瞬で消えたデース!」


「えへへ~、でも、パメラやゼフィルスが道を開いてくれたおかげだよ~」


 俺とラナが恒例の〈金箱〉バンザイをしている傍らで、シエラやパメラたちがクイナダを労っていた。

 最後の〈キングコンガ〉の暴れっぷりは凄かったからな。

 ノックバックもしないので暴れまくりだし、近づくこともままならない。

 だが、そこへパメラが分身ならばと投入して大きくダメージを与えつつ気を逸らし、シエラがカウンターで隙を作って聖剣でドン。


 トリをクイナダに任せてフィニッシュした。


 いやぁ、熱かったわぁ。

 こういう戦闘ってすごく熱くなるわぁ。


「どうだったクイナダ? 次もいけそうか?」


「うん。ごめんねぼーっとしてて。でももう大丈夫だよ! 明日にはみんなとさよならなんだもん。最後のダンジョン攻略、目一杯楽しまないと!」


「その意気だ!」


 やはり明日のことを考えて軽く落ち込んでいた様子のクイナダだが、どうやら吹っ切れたらしい。

 最後のトドメを譲って正解だったよ。


「それじゃあ、次は〈金箱〉だな! クイナダが開けて良いぞ。みんな、どうだ?」


「そうね! クイナダは今日が最後になるかも知れないんだもの、開けるといいわ!」


「ラナ様がそう言うのでしたら、決まりでしょう」


「ええ? ぼくも開けた――むぐっ!?」


「はいはいニーコ君はこっち来ようね~」


 俺とラナがオーケーしたことで満場一致。

 一部カイリがニーコを連れていったように見えた気がしたが、きっと気のせいだろう。満場一致なのだ!

 クイナダは少し照れたようにお礼を言って〈金箱〉の前にしゃがんだ。


「〈幸猫様〉〈仔猫様〉〈愛猫様〉。最後の日ですが、良いものください。お願いいたします」


 じっくりお願いをするクイナダ。

 俺には見える聞こえる。〈幸猫様〉たちが「その願い、叶えてしんぜよう」と鷹揚に頷いてくださっているのが! これは良い物が当たる予感!!

 お祈りが終わったクイナダが〈金箱〉をパカリと開ける。


「これは、アクセサリー?」


「おお! 現物のアクセとは珍しい! ――エステル頼む!」


「はい! 『解析』! これは――〈キングの加護腕輪〉と言うそうです。効果は、凄いですよ。STRの1.2倍ブーストです!」


「「「STRブーストの腕輪!?」」」


 これには〈エデン〉メンバーも思わず声を上げる。

 今まで通常の装備の能力上昇値は『+50』などのプラスだった。

『ブースト』となるとシリーズスキルで『×1.1』があるがその程度。 

『×1.2』、しかも単体の装備でこれとか破格も良いところだ。

 これがどれだけ凄まじい装備なのかが分かるだろう。

 これも間違い無くレジェンド級だ!


「となれば、恩恵をたくさんたまわれるよう、STRが高い人が装備するのがいいだろうな!」


「そうなると、やっぱりクイナダかしら?」


「わ、私?」


 ブーストとなれば、元のステータスが大きければ大きいほどその数値は伸びる。

 そして〈エデン〉の中でトップクラスのSTRと言えば、クイナダだ。

 その素の数値は1500を軽く超える。1.2倍なら300以上増える! すげぇぜ。

 ちなみにSTRの次点はエステルだが、エステルには〈乗り物〉を装備してもらわなくちゃいけないからな。


「ということだクイナダ。使うと良い」


「でも、私明日帰るのに」


「気にするな」


 俺がそう言って微笑めば、ギルドメンバー全員が頷く。

 それを見て、クイナダも腕輪をギュッと胸に抱いて笑ったのだ。


「みんな。ありがと」




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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
シエラったら、おっとこ前ぇ~。 カッコいいぜ!
よいシーンでした
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